iPhoneの復調でハードウエア部門全体の売上高が8%伸びた(中央はティム・クックCEO)=ロイター
【シリコンバレー=白石武志】米アップルが28日発表した2019年10~12月期決算は売上高が前年同期比9%増の918億1900万ドル(約10兆円)、最終利益が11%増の222億3600万ドルだった。主力の「iPhone」が5四半期ぶりに増収となったほか、腕時計型端末「Apple Watch」などの販売も伸び、売上高と最終利益はそろって2年ぶりに過去最高を更新した。
全体の約6割を占めるiPhoneの売上高は8%増の559億5700万ドルだった。中国景気の減速やスマートフォン市場の成熟に伴う買い替えサイクルの長期化などで18年10~12月期以降、iPhoneは減収傾向が続いていたが、19年秋に発売したより広い範囲を撮影できる広角レンズを搭載した最新機種「11」シリーズがヒットし、5四半期ぶりに増収に転じた。
その他の製品では腕時計型端末Watchやワイヤレスイヤホン「AirPods」などを含む周辺機器部門の売上高が37%増の100億1000万ドルとなり、全体の伸びをけん引した。iPhoneの販売の多くが買い替え需要であるのに対し、Watchの販売台数の75%は初めての購入者によるもので、28日に電話会見したティム・クック最高経営責任者(CEO)は「新規顧客の獲得に大きく貢献している」と強調した。
アップルが次の成長分野として力を入れるアプリ配信やクラウドを使ったデータ保管などサービス部門の売上高は17%増の127億1500万ドルと四半期ベースで過去最高を更新した。同社が力を入れる音楽や動画、ニュース配信などのサブスクリプション(継続課金)型サービスの会員数は1年前に比べ33%増加し、4億8000万人を突破したことも明らかにした。
地域別の売上高は景気減速の影響で前年割れが続いていた香港と台湾を含む中華圏が3%増の135億7800万ドルとなり、5四半期ぶりに増加した。19年8月に米国で独自のクレジットカードサービス「Apple Card」を始めたことなどが貢献し、全体の45%を占める米州の売上高は12%増の413億6700万ドルと過去最高を更新した。
アップルは同日開示した20年1~3月期の業績予想で、売上高が630億~670億ドルの範囲になるとの見通しを示した。前年同期に比べ9%増から15%増の範囲になるとしており、アナリストの事前予想(624億ドル前後)を上回った。市場の想定を上回って業績が拡大するとの期待から、28日の時間外取引でアップルの株価は終値を上回って推移している。