京都市長選、選挙広告に千住博氏「無断掲載」訴え 門川氏側「認識の違いがあった」
京都市長選挙(2020年2月2日投開票)に立候補している現職の門川大作氏(69)の選挙母体「未来の京都をつくる会」が地元紙に掲載した共産党を批判する内容の選挙広告について、名前と顔写真が掲載された元京都造形芸術大学学長で同大教授の日本画家・千住博氏(62)が「まるで千住博がこの様な活動に同意しているような意見広告に、千住の許可なく無断で掲載されたことを大変遺憾に思います」と無断掲載である旨を主張した。
未来の京都をつくる会の事務担当者はJ-CASTニュースの取材に、千住氏が門川氏の推薦人として各種広報物に掲載することは「承諾を得ている」と回答。一方で、広報物の個別の内容まで細かく承諾を得ることは「していなかった」という。
「今回のような、ある特定の党を排他するようなネガティブキャンペーンには反対です」
未来の京都をつくる会の選挙広告は1月26日の京都新聞に掲載。第6面の半分以上を占めている。「大切な京都に共産党の市長は『NO』」と大きく書かれ、各界で活躍する9人の著名人の名前・肩書・顔写真が一緒に掲載されている。
そのうちの1人、千住博氏は27日、自身の公式サイトで「緊急:京都新聞の広告について」と題してコメントを発表。下記のとおり、広告内容に反対の立場を表明するとともに、無断掲載であった旨を訴えた。
「1月26日(日曜日)付の京都新聞の選挙広告について。
千住博は京都造形芸術大学学長当時に候補者を応援してきた経緯から、今回も推薦者として名前を連ねてきておりました。ですが、千住はアーティストとして、意見の多様性や、議論の必要性を大切にしています。今回のような、ある特定の党を排他するようなネガティブキャンペーンには反対です。
まるで千住博がこの様な活動に同意しているような意見広告に、千住の許可なく無断で掲載されたことを大変遺憾に思います」
こうした反論について、未来の京都をつくる会の事務担当者は28日、J-CASTニュースの取材に次のように話す。
「まず事実として、千住氏は前回選挙(16年2月)でも門川候補の推薦人として各種広報物に掲載しており、今回の選挙においても、各種広報物で推薦人として掲載することを依頼し、ご承認をいただいています。千住氏のサイトでも、過去の選挙に続けて今回も推薦者として名前を連ねている旨が記載されています」
一方で、広報物の具体的な内容について承諾を得ているわけではないという。
「個別の広報物の中身まで細かく承諾を得ることはしていません。こちらは広告内容を含めてさまざまな広報物に掲載させていただくことに承諾いただいたという認識でいましたが、ここに認識の違いがあったのは確かだと思います。
今回は踏み込んだ内容の選挙広告になったので、見解の違いがあったのかもしれません。相手側と受け取り方に違いがあったのであれば、事務のほうでニュアンスを丁寧に詰めておくべきであったということはあると思います」(担当者)
千住氏には「連絡を取った」
また、千住氏に対しては「しかるべきところを通じて連絡を取りました。それでサイトの文章の言い回しが変わったのではないか」(担当者)としている。前出した千住氏の公式サイト上のコメントには当初、京都造形大学長時代に門川氏を応援してきたこと、今回も同氏の推薦者となっていることについては言及がなかった。
今回の広告に掲載した他の8人の著名人についても、「各種広報物に推薦人として掲載することを依頼し、ご承諾いただいている関係」(同)と、上記の千住氏と同様の関係。「広報物ごとの個別の細かい文言まで確認しながら、推薦人の名前を掲載するところまでは、従来からしていなかったと思います。相手側との(信頼)関係だと思います」と話した。
今回の選挙では、他の広報やビラでもこの9人の著名人を推薦人として掲載しているが、「そちらでは何のご意見も頂いていません」という。掲載した9人は「門川氏本人とさまざまなところでつながりのある人物であるのは間違いない」としている。
なお今回の広告の内容については、
「あくまで門川氏を支援している団体の政策広告です。選挙期間中に政治団体が政治的主張をすることは認められており、その手法の1つです。また、『共産党の市長はNO』という文言は特定候補を名指ししたものではなく、一般論として書いたものです。政治的な主張を発信するに際し、各所に確認して問題ないと判断いただいた上で掲載させていただきました」
との見解を示している。
今回の京都市長選挙には他に、共産党・れいわ新選組推薦の元京都弁護士会副会長・福山和人氏(58)、元京都市議会議員・村山祥栄氏(41)が立候補している。
ん?おかしくない? 門川の推薦でなく意見広告というなら、当然、意見広告への合意を得ないといけないはず。 逆に、見た目どおりの門川の推薦ならば、個別の確認はいらないという言い分が通ったとしても、「あくまで意見広告」という理屈が通らない。