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【首都圏】「#スマホの奴隷をやめたくて」依存と脱却の過程つづる 松戸の忍足さんが体験記
スマートフォンに束縛されていませんか? 千葉県松戸市に住むエッセイストの忍足(おしだり)みかんさん(25)が、自身の体験をまとめた「#スマホの奴隷をやめたくて」を出版した。「快楽」から会員制交流サイト(SNS)の依存症となり、ガラケーに戻り、平常心を取り戻すまでをつづっている。 (野呂法夫) 忍足さんは小学一年で親との連絡用に携帯電話を持った。中学一年でSNSを始め、顔も知らない人とメールを交換。だがスマホへの乗り換えには遅れた。 「ガラクタケータイ」。高校三年で言われ、ショックを受けた。ガラケーはガラパゴス諸島に生息する生物のように、日本独自に進化した携帯の呼び名のはず…。同級生の半分はスマホ持ちだった。 二〇一三年、地元の聖徳大に入学してスマホを手にするとのめり込んだ。「いいね!」が欲しくて見栄えのする飲食物を注文し、撮ってはSNSで発信。読んでくれるフォロワーの数が増えれば喜び、「いいね!」が減ると落ち込む。「承認欲求という強迫観念に陥り、ながらスマホの常習犯だった」と振り返る。 大学四年の時、首が真っすぐになるストレートネックと診断され、視力も落ちた。重度のスマホ依存症を自覚し、帰宅後はスマホから離れようとしたが触れてしまう。会社員となり二十三歳で「現代人失格」と“自己診断”。やっとスマホと決別し、ガラケー生活に戻った。 忍足さんは大学の文学部で太宰治や川端康成ら作家の精神分析を研究。スマホへの病的な依存を、自虐的に軽妙な語り口調で描く。 執筆のきっかけは、一八年四月の本紙発言欄に「目のためガラケーに」と訴える自身の投稿が掲載され、読者の五十代女性から「共感し応援します」との励ましの手紙をもらったことという。 忍足さんは「LINE(ライン)の仲間外れや、インスタ映え自慢などスマホ多数派からの同調圧力は強い。ガラケーという少数派であってもいいよね、という多様性のある社会であってほしい。情報も(ネットなどで)集約せずに、新聞や本、テレビなどを利用することが人生を豊かにすると思う」と話した。 税別千円。問い合わせは文芸社=電03(5369)3060=へ。 PR情報
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