東京オートサロンの盛況そのものは、とてもめでたいことだ。自動車メーカーがそれに相乗りしてクルマのコアなファンに訴えかけるのもいいだろう。
だが、今の日本ではクルマを所有しても、買い物や家族の送り迎え、通勤などの用途以外にはほとんど使われていない。自工会調べでは、クルマ保有者の平均月間走行距離は400kmに満たない程度であるという。これは1カ月に一度も遊びで遠出をしないというユーザーが多数派であることを示している。
メーカーはクルママニアに囲まれて
チヤホヤされる世界に引きこもってはならない
時間といくばくかの金さえあれば、24時間、自分の行きたい場所に行けるというのが、クルマを持つことで得られる最大の付加価値である。それに比べればクルマそのものがカッコいい、速いといったハードウェアのファクターは、一般人にとっては取るに足らないことだ。
マジョリティに対して、クルマを使うことでどのような自由が得られるかという訴えかけを欠いたまま、クルママニアに囲まれてチヤホヤされる世界に引きこもっている限り、団塊世代が後期高齢者となってクルマを買わなくなる、俗に言う“2025年問題”のハードランディングを避けることなどできない。
自動車メーカーはオートサロンでファンを喜ばせようとするのと同じくらいの情熱を、パーソナルモビリティの楽しさを広く再認識してもらうことに注ぐべきだ。