淡路島5人刺殺、二審は無期 大阪高裁が死刑破棄

社会・くらし
2020/1/27 10:09 (2020/1/27 12:01更新)

兵庫県洲本市(淡路島)で2015年3月、男女5人が刺殺された事件で、殺人と銃刀法違反の罪に問われた平野達彦被告(45)の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。村山浩昭裁判長は、死刑とした一審・神戸地裁の裁判員裁判の判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。裁判員裁判の死刑判決が二審で破棄されるのは今回で7件目。

刺殺事件があった兵庫県洲本市の民家(2015年3月)=共同通信社ヘリから

村山裁判長は判決理由で「被告は犯行当時、妄想性障害による心神耗弱状態にあった」と指摘した。

平野被告には精神障害による通院歴や入院歴があり、控訴審は一審に続いて被告の刑事責任能力の有無や程度が最大の争点だった。控訴審で弁護側は「完全責任能力を認めた一審判決の事実認定には誤りがある」などとして無罪を訴え、検察側は控訴棄却を求めた。

平野被告に対しては起訴前の鑑定留置で検察側が、起訴後の一審の公判前に地裁側がそれぞれ精神鑑定を実施し、いずれも向精神薬を長期間にわたって大量に摂取したことによる「薬剤性精神病」と診断された。

17年3月の一審判決は2度の精神鑑定の結果を踏まえ、事件当時の平野被告には精神病による妄想があったとする一方、犯行前後の行動が合理的で計画性もあることなどから「犯行に至る過程では正常な心理が働き、病気の影響は小さかった」として完全責任能力を認定。その上で「全く落ち度のない5人の命を奪った極めて悪質な犯行だ」などと述べ、求刑通り死刑を言い渡した。

弁護側の控訴を受けた控訴審で、大阪高裁は職権で改めて平野被告の精神鑑定を実施。この結果、一審とは異なる「妄想性障害」と診断され、担当医は証人尋問で「被害者が攻撃してくるという妄想が犯行に大きく影響した」などと証言していた。19年9月の最終弁論で弁護側は、鑑定結果を踏まえ「被告は事件当時、心神喪失か心神耗弱状態にあった」と主張。検察側は「善悪を判断し、行動する能力は十分に備えていた」などと反論した。

一審判決によると、平野被告は15年3月9日午前4時ごろ、自宅近所の平野毅さん(当時82)宅で、毅さんと妻の恒子さん(同79)をサバイバルナイフで何度も突き刺して殺害。同7時10分ごろ、近所の平野浩之さん(同62)宅などで、浩之さんと母の静子さん(同84)、妻の方子さん(同59)を同様に刺殺した。

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