鬼滅の金庫番   作:新グロモント

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意図的に、鬼殺隊から鬼滅隊に変えております@@
似た世界的な意味でね!!

「鬼滅の刃」面白いです。
なので、こういう展開もありかなと思い投稿してみる。

需要があれば嬉しい。



01:始まり

 人の世をはばかり「鬼」と呼ばれる者が存在する。

 

 「鬼」の主食は人間であり、人とは相容れぬ存在だ。「鬼」は、人より強靱な肉体を持ち、特殊な方法でしか殺す事ができない。極めつけは、全盛期の肉体を持ち、不老不死という特性だ。

 

 それほどまでに人知を超越した存在が、世界の頂点に君臨できないのには理由がある。

 

 「日光を浴びると灰になる」「生殖機能を備えていない」というのが致命的な欠点だ。

 

 「日光を浴びると灰になる」――これは、鬼が消滅するという意味である。世の中、日照時間中、活動ができない。日の出(ひので) 及び 日の入りの時間帯を考えれば、活動時間は大きく()がれる。よって、「鬼」達は、日陰に隠れて過ごしている。

 

 「生殖機能を備えていない」――これは、鬼が子孫を残す事ができないという意味である。ならば、どのように増えるかというと、鬼の始祖的存在の鬼舞辻無惨が血を分け与える事で人が「鬼」へと変貌する。すなわち、一人の男が夜な夜な歩いて、日本各地を回りセコセコと種付け…でなく、血を与えて回って増やすという地味な作業だ。

 

 それだけならば、「鬼」という種族が世界を闊歩(かっぽ)してそうだが、どのような勢力に対しても反抗勢力という物は存在する。それが、鬼を狩る鬼滅隊という組織だ。鬼滅隊は、鬼を駆逐するために、日光が蓄えられた鋼で造られた刀――【日輪刀(にちりんとう)】という刀を作り上げた。その刀で、日輪刀で「(くび)」を落とすことで絶命させられる。

 

 そして、そんな鬼滅隊に勤めているのが、裏金銀治郎という冴えない中間管理職である。

 

 この世に生をうけて、30年……数々の鬼達を葬り、柱にまで上り詰め、五体満足で引退した。その実力は、今の時代の柱と比較すれば一段劣っている。現柱達は、歴代最強だと名高い者達なのだ。

 

 裏金銀治郎……鬼滅隊の資産運用を一任されている男だ。鬼狩で得た給与を資産運用で何倍にも増やした手腕を買われたのだ。

 

 大事な事だが、裏金銀治郎は資産運用が得意という訳ではない。将来的(・・・)に繁栄する会社を知っているだけだ。だからこそ、何の憂いもなく全資産を投資に回せる。言わば、インサイダーというに相応(ふさわ)しいだろう。

 

 だが、別に悪いことではない。将来のため、頑張っているだけにすぎない。鬼退治が終わってからの生活も考えれば、貯金しておくのは当然だ。大正の世は、昭和や平成、令和のように社会保険制度は、充実していない。自分の身を守れるのは自分だけなのだ。

 

 自らの将来を守りつつも裏金銀治郎は、今日も真面目に仕事に取り組んでいた。各所から上げられてくる報告書を取りまとめ、かかった費用を精算する。そして、隊員達の給与が滞りなく届くように手配を怠らない。

 

 鬼滅隊という組織の中で、誰よりも真面目に組織運用を頑張る裏金銀治郎は、今、頭を悩ませていた。

 

「持ってあと一年……【鬼滅の刃】の原作だと、そんな事は無かったぞ。俺のせいなのか」

 

 目下の重要課題は、金の調達方法だ。

 

 裏金銀治郎は、本来の歴史ならば自らのポジションに未来を見通し、資産運用を完璧にこなしていた陰の立て役者がいたのではないかと考えたのだ。

 

 だが、それが事実であったとしても、今更どうしようも無いのが現実だ。

 

 鬼滅隊とは、政府非公認(・・・・・)の組織である。これが何を意味するかというと言わば、個人事業主が日本各地に潜む「鬼」を数百人も居る社員を率いて倒すボランティアだ。なぜ、仕事ではなくボランティアかというと、「鬼」を殺したところで誰もお金をくれないからだ。

 

 勿論、鬼から助けられたという人達が善意で寄付などをしてくれる事も多い。だが、数百人の組織の維持管理費用、お国に納める税金。いかに、産屋敷の家が国内屈指の大富豪であったとしても、限界がある。

 

 現当主の産屋敷耀哉は、鬼滅隊第97代当主だ。病弱ながら知に優れ、築いた財で鬼滅隊を支えているが、それも時代錯誤であった。近代化された社会の中で、家柄が古いだけではどうしようもない。

 

 それに危機感を覚えて、裏金銀治郎は、産屋敷耀哉に資産獲得の為の案を提案したことがあった。鬼滅隊を政府高官や有権者達のボディーガードとして派遣し、金銭を得るという物だ。特殊な呼吸法を取得した鬼とも対峙できる人型兵器といっても差し支えない隊員達が守るのだから身の安全は保証されたような物だ。金だけでなく、政府にコネ作りもできて一石二鳥という名案であった。実現の為、賄賂を詰み有権者から政府高官までコネクションも築き上げていた。後は、当主である産屋敷耀哉の承認サインだけであったが、不許可であった。

 

 このままでは、鬼舞辻無惨を倒す前に鬼滅隊が破産する。鬼滅隊の隊員は、特殊な呼吸法を身につけており、職を失えばどうなるか……犯罪者にでもなられたら、笑えない事態になる。

 

「「鬼」という明確な悪がおり、それを恨む者もおおい。そんな対象を殺して、お金がもらえるからこそ、鬼滅隊という組織が成り立っている。やはり、やるしかないか……」

 

 裏金銀治郎は、決意した。生き残り、鬼を駆逐するため、いかなる手段も辞さないと。

 

………

……

 

 産屋敷の館の一室で、産屋敷耀哉と裏金銀治郎が対面して座っている。テーブルには、組織の現状を纏めた資料があり、お付きの者が目が見えない産屋敷耀哉の為に読み上げる。

 

 その内容を耳にし、部屋の空気が重くなる。

 

 頭の良い産屋敷耀哉は、読み上げられた資料だけで事の重大さを理解した。だが、産屋敷耀哉とて、見て見ぬふりをしていたのではない。神職の嫁を貰っている家系である為、親族達の実家に援助の依頼を度々依頼している。加えて、藤の家と呼ばれる鬼滅隊を支援してくれる家に対してもお礼状と共に、支援の依頼をしていたのだ。

 

 だが、その成果は、(かんば)しくなかった。どの家にも生活がある。余剰分を利用しての支援ならまだしも、自らの分まで削って支援など行うはずもない。

 

 現在社会において、情に訴えるという手段は古いのだ。何事もギブアンドテイクの時代である。

 

「お館様、鬼滅隊という組織が大事なのは理解しております。しかし、このままでは破綻を逃れられません。どうか、例の件について、許可を頂けないでしょうか」

 

「どうしても他の手段はないのかい?」

 

 親が子を諭すかのような菩薩の声で、産屋敷耀哉が口を開く。

 

 人は、霞を食べては生きていけない。それに、過去の遺産を食いつぶして、食いつなぐのも限界だ。組織を維持するためには、商売をしないとダメなのだ。

 

 現に、マフィアだって麻薬や銃などを売り、資金を集める。何かしら商売しなければ、金はなくなる一方である。

 

「毎月数百人分の給与。鬼退治で怪我をした者達の治療費。必要物資の手配や各地方警察への賄賂など……このままでは、後数ヶ月のうちに残る資産は、消えてしまいます。現状、資産運用する資金すら確保できていません」

 

 廃刀令が施行された時代……刀を持った鬼滅隊が逮捕されないのは、根回しをしているからだ。それも全国にだ!!

 

「だが、銀治郎が持ってきた案件は、鬼滅隊の根幹を揺るがしかねない内容だ。もと柱である君が理解できないとは思えないが」

 

「人は、食わねば生きていけませぬ。それに、金の切れ目が縁の切れ目という諺もございます。確かに、鬼に恨みがある者達が集まっている鬼滅隊ではございますが、今では金のために鬼を狩っている者達も少なからずおります」

 

 ちなみに、裏金銀治郎は金のために鬼を狩る代表格である。

 

 鬼滅隊という組織に入隊した者達……その大半が、学歴社会においていかれた社会不適合者達なのだ。そんな連中を鬼滅隊につなぎ止めているのが、「恨み」と「金」だ。だが、人の感情は浮き沈みが激しい。時間が経つに連れ、心は癒やされる。すなわち、そんな連中は「金」の為に鬼を殺しているのだ。

 

 真実とは、劇薬だ。

 

  裏金銀治郎がいう事が事実である事は、産屋敷耀哉にも理解できた。二人がいる一室も過去には、壺や絵など価値ある調度品が多数飾られていたが、今では綺麗さっぱり無くなっている。金になる物は、だいたい質屋にいれて金に換えたのだ。

 

「――少し、考える時間をもらいたい。近日中に、回答を出そう」

 

「承知致しました。こういう言い方は卑怯かも知れませんが、お子達により良い形で家を継がせるのは大人の責務でございます。その為にも、ご英断を期待しております」

 

裏金銀治郎は、一礼をして部屋を退出した。

 

 二人が会談を行ったテーブルの上には、二つの計画書が残されていた。

 

 一つ目は、「強化人間計画」という物だ。内容は至って単純であり、隊員全員の能力値の底上げ計画である。しかも、費用対効果は特上であるのは間違いなかった。鬼を食べる事で身体能力が向上するだけで無く、治癒能力も上がることは既に臨床実験で判明していた。場合によっては、肉体的な部位欠損すら治癒可能だ。勿論、表だって実行すると隊員達から不満が出る事は必須である為、選ばれた者達のみに施すといった内容だ。

 

「治療費が減るだけで無く、生存率も跳ね上がる。加えて、引退した柱達や実力者を現役復帰させる画期的な方法がコレという訳か」

 

 ため息をする産屋敷耀哉。肉体的欠損まで復元でき、全盛期の肉体に近づけるなど恩恵は計り知れない。歴代最強の柱達に加え、引退した柱達も加われば、一気に鬼を殲滅できる可能性すら見える計画である。

 

 しかも、実践するに当たり手間も費用も全く掛からないというコストパフォーマンスだけをみれば、完璧な施策だった。外部の手を借りずに、鬼を自分の代で駆逐できる可能性が一番高い計画なのは疑いようが無かった。

 

 二つ目は、「資金調達」に関する計画書だ。一つ目の計画から派生といっても過言では無い。世の中、金で健康や若さを買いたいという輩は多い。そんな者達に鬼の血肉を錠剤化して、売るという計画だ。鬼を増やせるのは 鬼舞辻無惨だけだ。この方法で、鬼が増えないのは判明している。更に、薬の売り先は後ろ暗い商売をしている者達に限定するという事なので、万が一副作用があったとしても誰も困らない。

 

「幻聴などに悩まされる副作用があったと報告書にあったが――」

 

 金に余裕があるときならば、下らない計画と破棄できたが、台所が火の車である鬼滅隊だ。

 

 

◆◆

 

 数日後、裏金銀治郎は荷造りをしていた。

 

 産屋敷耀哉からの回答次第では、即日鬼滅隊を抜け出るつもりでいたのだ。理由は、簡単だ。無駄に忠誠心の高い柱達ならば、無給で鬼狩りを続けるだろう。そんな者達が、敬愛する産屋敷耀哉に悩みの種を植え付ける者をどう見るかと言えば、想像に容易い。

 

 更に、都合が悪い事に、裏金銀治郎は、金庫番という職である。資金の出し渋りなどで、色々と難癖を付けられたことも数知れない。裏金銀治郎という存在を快く思っていない柱達もいる、という事だ。

 

 廊下を歩く足音が響く。そして、裏金銀治郎の部屋が開かれた。

 

 蝶の羽根飾りをつけ、ピンク色の羽織をきた小柄な女性が笑みを浮かべていた。

 

「蟲柱の胡蝶しのぶさんが、男性の部屋を訪れるなんて誰かに見られて勘違いされる前に、早く立ち去った方がよろしいですよ。あらぬ噂がたつと宜しくないでしょう?」

 

「ご心配なさらずに、金柱の裏金銀治郎さん。で、荷造りして夜逃げでもするんですか?」

 

 夜逃げ…今は昼なのだから、引っ越しですよと冗談を言いたい気分の裏金銀治郎であった。だが、雰囲気的に冗談が言える場でない事は理解していた。

 

「ご想像にお任せしますよ。で、貴方がここに来たという事は、私の手伝いをしてくれるという事でよろしいので?後、私は、引退したので柱というのは不適切ですよ。元です」

 

 胡蝶しのぶと裏金銀治郎は、少なからず縁があった。

 

 鬼を殺す毒を作るに当たり、生きた検体や隔離施設、違法薬物の手配など様々な事を手助けしていた。言わば、胡蝶しのぶの蟲柱という地位への就任において、裏金銀治郎は最大の功労者でもあった。

 

「そうでしたね。お館様より、話を伺いました。ハッキリ申し上げて、頭おかしいんじゃないですか。なんですか、あの計画書。まともな神経の人が書く内容じゃありませんでしたよ」

 

「でも、その有用性は貴方も理解できたから、ここに居るのでしょう。鬼滅隊が無くなれば、敵である上弦を討つことはもはや不可能になる。復讐のためならば、私の手を取るのが最善ですよ」

 

 裏金銀治郎は、手を差し出す。

 

 胡蝶しのぶは、食えない男ですねと言い、手を取る。

 




鬼って、死なないし怪我も治る。

たしか、下弦に可愛い鬼っ子いましたよね。
頭さえ残っていれば、頸からしたは何度も再生できたよね。

つまり……顔を上手に隠しさえすれば、隊員専用の遊郭すら夢じゃ無いってことだよ。



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