「グレタさん」は現代の「イエスかブッダ」なのか

「人類史の移行期」に生まれる価値観と倫理

グレタさんの提言に対し、賛否両論の議論が世界的に交わされている。こういった「現象」自体はどのような意味を持っているのか(写真:ロイター/アフロ)
グレタ・トゥーンベリさんの気候変動問題への発言や活動が世界的な注目を集めている。
彼女の提言に対し賛否両論の議論が交わされているが、この「現象」自体はどのような意味を持っているのだろうか。
このたび『人口減少社会のデザイン』を上梓した広井良典氏が、人類が拡大・成長から成熟・定常化への“移行”期にあるという歴史的視点から論じる。

「炎上」か「若者の反乱」か

スウェーデンの高校生グレタ・トゥーンベリさんの言動が世界的な注目を集めている。

『人口減少社会のデザイン』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

二酸化炭素排出に伴う気候変動ないし地球温暖化問題を中心に据え、未来世代あるいは若者やこれから生まれてくる者たちのことを考慮しない現在の“大人”たちや政治家、支配層等々の意識・行動やその“偽善性”を容赦なく批判する内容やそのパフォーマンスが、文字どおり「賛否両論」の反応、あるいは賞賛と非難の両極の反応を引き起こしているのである。

それは世界を舞台にしたある種の“炎上”でもあり、あるいは地球環境問題を軸にした現代版“若者の反乱”という側面ももっているかもしれない。

以上、ここでの議論をグレタさんの話からまず始めたのだが、しかし本稿は彼女の主張そのものを論評することが主たる目的ではない。

そうではなく、グレタさんのような言動や主張、あるいはそれに関連するさまざまな現象が、もっと大きな歴史の流れ――いささか大げさに響くかもしれないが、人類の歴史――の中で、どのような意味をもっているかを私なりの視点から探ることが本稿の目的である。

次ページグレタさんの主張には重要な意味が含まれている
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  • リベラル@日本669091de984e
    世界最大の二酸化炭素排出国である中国は批判しないとか、オカシナことが多すぎませんか。
    up15
    down6
    2020/1/27 08:19
  • かず8534b1b475c6
    先進国はCo2の排出にはそれなりの努力はしている。ただし、原発反対で、火力発電が増えて技術的には後退している。自動車や工業家庭での省エネも随分と進んでいる。問題は、未だに焼畑農業をしている人達だ。森林を燃やしてCo2を発生させ、更にCo2を吸収する植物まで無くしている。グレタは先進国ばかりに言わず、途上国にも目を向けるべきだ。
    up8
    down0
    2020/1/27 08:34
  • 白い猫2c50db10c0c6
    いろんな方がいていろんなことを主張されるのはいいことだと思います。
    しかし、他の方がおっしゃるように「こころの未来研究センター」はいただけませんね。
    これも政府から予算を引き出すための戦術の一つでしょうか。
    学問の惰弱化、ということばが心に浮かびます。
    up4
    down2
    2020/1/27 08:38
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