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かんぽ不正3社長辞任「官僚の人事」が郵政をいよいよつぶす

民営化が逆回転しはじめた

「民間」とは遠い人物

2019年末、日本郵政の長門正貢氏ら3社長辞任のニュースが世間を騒がせた。事の発端は、日本郵政傘下のかんぽ生命での不適切な商品販売である。

また、この問題が明るみに出たのと同時期に総務省幹部による行政処分情報の漏洩問題が起こっていた。これにより鈴木茂樹前総務事務次官は辞任。その後を追うかたちで、長門氏らも引責辞任となった。

 

新たに日本郵政のトップに就いたのは、元総務大臣の増田寛也氏である。増田氏は「消滅可能性都市」への言及など、メディア露出も多い人物だが、官僚から政治家に転身した経歴の、「民間」とは遠い人物である。

増田寛也元総務大臣(Photo by gettyimages)

1月9日の就任後初会見で、増田氏は行政処分情報の漏洩問題に関して「調査を行うべく準備を進めている」と述べた。情報漏洩とは具体的に、総務省(旧郵政省)キャリアの先輩・後輩の関係である鈴木康雄・日本郵政上級副社長と鈴木茂樹前事務次官とのあいだで行われた。茂樹事務次官から康雄副社長に対し、行政処分内容を伝えたとされている。

昨年の記者会見で長門前社長は「鈴木康雄氏が退職しているので、情報の漏洩問題での調査は行わない」としていた。新体制になり、これを翻したことはいいことだ。

「辞めた人間を調べられない」というのは、民間でありがちな回答で、民間出身の長門氏らしい対応とも言える。一方で、元建設省キャリアで政治家出身の増田新社長は「説明責任」のようなことを考えたのだろう。