2020年01月18日

テレビ東京『やりすぎ都市伝説』、観ましたよ!

中山市朗です。


えー、年始そうそうお騒がせしました、テレビ東京『やりすぎ都市伝説』、モーツァルト、日本の王子、聖徳太子、「未来記」……、私の説丸パクリやん、の件。
1月2日付けの私のブログに書きましたところ、2万人に近い方が読んでくださいました。
コメントもいろいろいただき、ありがとうございました。
ほんとうはお一人お一人にお答えしたかったのですが、なんせ観ていなかったものですから、うかつにモノも言えない状態でした。


で、昨日、ある方の協力によりまして、ようやく観ることができました。感謝いたします。


無題









さてその内容ですが、「世界的大作曲家たちの謎に満ちたメッセージ」と言うコーナーがありまして、バッハやベートーヴェンなどのエピソードを紹介する中でのモーツァルト、ということでした。

お笑いコンビ、霜降り明星の粗品さんが、そのナビゲーターとして登場、大作曲家たちの知られざる(?)謎を紹介するといったもの。
モーツァルトに関しては、こういう構成でした。

「『魔笛』、日本と関係のある曲と囁かれている。他のモーツァルトの曲は貴族社会の為の曲だったが、『魔笛』は庶民の為の曲。『魔笛』は主人公のタミーノという日本の王子が、試練を乗り越えて姫を助け出す物語。そして日本で庶民の声を聞く王子といえば、聖徳太子。タミーノは聖徳太子のことではないかとも言われている。なぜなら、聖徳太子が書いたとされる予言書『未来記』。『未来記』は一説によれば、日本には無く、当時ヨーロッパに渡ったとされている。作曲家モーツァルト、もう一つの顔が、秘密結社フリーメイソン。モーツァルトはフリーメイソン。フリーメイソンは世界最大にして最古の友愛団体。一説では、フリーメイソンの秘密を暴露したことで、毒殺されたとも囁かれている……」

IMG_4878














つまりこれは、番組の構成作家が書いた台本に寄っています。
問題の箇所は、
「タミーノは聖徳太子のことではないかとも言われている。なぜなら、聖徳太子が書いたとされる予言書『未来記』。『未来記』は一説によれば、日本には無く、当時ヨーロッパに渡ったとされている」
というところ。一説ではなく、これは私の説。『魔笛』の主人公が日本の王子である、ということは、『魔笛』のテキストを読んだことのある人たちには、認知されていること。
テキストでは、日本のきらびやかな狩衣を着た王子、となっていて、それ以外に日本人を示唆する場面は無いのです。また、モーツァルトが生きた時代は、日本が鎖国政策をしている真っ最中。モーツァルトも台本を書いたシカネーダーも日本のことを知る由も無く、ただ、エキゾチックな雰囲気を出したかっただけだ、という説が圧倒的で、日本とモーツァルトについて言及しようとした論説は、(当時、私の知るところ)皆無だったわけです。

でも、四天王寺のある重要関係者のある話をきっかけに、この問題に興味を持ち、そこから聖徳太子について本格的に調べるようになった、というのが、その過程でした。
聖徳太子とモーツァルトの関係の話は、確実にここから出ています。


IMG_4877















その過程で、私は3冊の聖徳太子についての著作を書きました

で、出版にするにあたっては出版社の編集、校閲とのやり取りがあって、特にこういう歴史にあたる場合、その出典なりソースはどこにあるのかを全部リストに上げ、引用、参考文献として全部著作物の中に明記しているわけです。これは、説を積み上げる過程に必要なもので、また、客観的な見解を提示することになります。
この作業が、実は大変なわけです。
ところが、番組では、そういうものは無視して、表だけをなぞって、あやふやな都市伝説にされてしまったわけです。

いや、取り上げていただくのはいいんですよ。ただ、そこは著者がいるんだから、取材に来るとか、名前を出すというのは、業界のマナーです。
番組では、粗品さんが進行台本通りに進めているわけですから、粗品さんが悪いのではなく、担当の放送作家の手抜きが原因と思われます。
私も以前は放送作家をしていましたから。こういう場合は裏を取って、ちゃんと著者なりソースにあたって、会いに行きましたよ。それをやらなかった、番組スタッフの、これはミス。

いや、ミスではない、この番組ではそれは日常化していたのかも知れません。

ついでに間違っている点を指摘。
モーツァルトの曲は貴族社会の為の曲だった、というのは違う。確かに注文は貴族や皇族からのものが多かったのですが、ドイツの庶民の為の音楽、特にオペラ(正確にはジングシュピール)は、ドイツの庶民向けのものにできないかと考えていたのです。当時、オペラと言えばイタリア語で歌われていた。それではドイツの庶民にわからない。だからドイツ語のオペラを作ろうとモーツァルトは試行錯誤していたのです。『フィガロの結婚』なんて、庶民でも楽しめるドイツ・オペラです。もちろん庶民も劇場に通いました。
『魔笛』は、ちょっと違う。

確かに、主人公のタミーノという日本の王子が、試練を乗り越えて姫を助け出す物語、として始まる筈が途中で秘密儀礼に参入する話になって、しかも善悪が前半と後半で逆転するのです。これは庶民にも貴族にも訳が分からないと、モーツァルトより台本を書いたシカネーダーが叩かれました。しかし、ゲーテだけは、このオペラの真意を知った、と……。

番組では短いコーナーでしたから、いろいろ進行台本に無理があったのでしょうけれども。

私のブログは、ツイッターと連動していて、ツイッターに、映像技術研究者としてUFOの研究をしている藤木文彦氏からこのようなコメントをいただきました。
「この番組、ちゃんとした研究者から相手にされていないことは勿論、かなりデタラメな作り話ばかりつなげて、番組にしていますからねぇ。幸い、あまりにひどすぎるので、素人すら、信じないだろうことが救いです」

あえて抗議は致しませんが、せっかくこのようなテーマ番組を作らせてもらっているんだから、もっと意味のある有意義な番組にしていただきたいと思います。


チャン、チャン♫





聖徳太子対談 飛鳥昭雄×中山市朗 (ムー・スーパー・ミステリー・ブックス)
飛鳥 昭雄
学研プラス
2016-03-28






『モーツァルトの血痕』

WEBマガジン『神秘の國、日本』に連載中。



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kaidanyawa at 10:36│Comments(8)

この記事へのコメント

1. Posted by ?   2020年01月18日 21:38
「私も以前は放送作家をしていましたから。こういう場合は裏を取って、ちゃんと著者なりソースにあたって、会いに行きましたよ。それをやらなかった、番組スタッフの、これはミス。」
いや。
番組スタッフの傲慢。
上司が部下に、著作権の遵守を教えていない or きいた部下が守る気がナイ。
このままにするおつもりですか?
出版社は、なんと?
2. Posted by リンゴ   2020年01月19日 08:08
うちは長野市でテレ東が入りません。どこかの局が再放送するのですが、まちまちで、いつ放送されるか、わかりません。
早く見たい。絶対,みたい。
3. Posted by 都市伝説は"エンターテイメント"として見ろ!   2020年01月19日 13:42
1 てゆーか、都市伝説なんてそんなもんでしょ。
自説を披露したら、それは「都市伝説」では無く「推論」ですから。 テレビで取り上げもされない説な訳なんだし、"一説"という形で紹介されただけ有り難いと思えば済む話でしょ。何をそんなにムキになってんの。 何よりこの機に乗じて自分の本を売り込む気満々過ぎるのが不快。 最後の「チャン、チャン♫」も性格悪すぎ。 あと、藤木とかいうオカルト否定派がコメント寄せたらしいけど、勝てる話でしかオカルトを取り上げて論じない自己満野郎ですから、そいつを話題に出したのも二重に不快ですね…。 正直、ガッカリです。
4. Posted by ひろみつ   2020年01月19日 15:21
中山先生

令和2年は年始早々いろいろ大変な目に遭われましたね。気を揉まれたことと思います。
心労もあったのではないでしょうか。
でもこのゴタゴタが厄落としになって2月3月のダークナイトが大成功することと願い信じています

怪談、古代史、UFO怪談を関西からドンドン盛り上げましょう!
5. Posted by ?   2020年01月19日 22:14
都市伝説は"エンターテイメント"として見ろ! さんへ
再掲載↓してあげます。

権利で食っているのがマスコミ業界でしょ。
それを無視したらダメですよね。
ネタ元があるなら、ネタ元を明らかにして、番組を制作しないと、著作権が有名無実化します。
テレビ東京は、自社の政策著作って権利を、「放棄してる」のですか?

自社のその権利を大事にしてるのなら、他人のその権利も大事に扱わなければおかしいですよね。

それがまず基本でしょ。
それがわからないで、「問題ない論調してる無能」って、頭が悪すぎます。
もーちょっと世間の成り立ちや仕組みをわきまえてから、発言していただきたい。
それともなんですか、就職もしたことはない自宅警備員さんだとでもいうのですか?
6. Posted by ムーンらいと   2020年01月20日 00:23
今回のことで色んな人や、意見が在るのだなとつくづく感じます。
でも起きた事は、中山先生の著作物の内容と、とても似ている話が本人の許可なく
使用され、それが全国放送のテレビ番組だったということです。
そこが大きな問題なんだと思うのですが...
オカルト肯定派否定派とか関係ないと思います。

歴史を突き詰めると、不思議にぶち当たります。
そこに浪漫を感じるのは私だけではないはず...
2月のダークナイト楽しみにしています。
7. Posted by 中山市朗   2020年01月21日 21:41
?さん。

いつもいろいろご意見や、今回の様な書き込み、感謝しております。
今回のことは、これで終わりにします。出版社を巻き込んで意見具申をしたところで、エネルギーを使うわりには得られるものもあまりないですから。
ただ、もし番組関係者が私のブログを読んでいたら、せっかくいいテーマで番組を作らせてもらっているんだから、信用のおける番組作りをしてもらいたいと、エールを送りたいところです。
そして、5、は、その通り。

りんごさん。

あまり期待しなくていいですよ(笑)。

ひろみつさん。

1月はお休みをいただいております(休んでる気がしないですけど)が、そろそろ動き出します!


ムーンらいとさん。

そうなんです。意見はいろいろあるんです。だいたい意見を一つにする、ということは新興宗教か、共産主義の世界。まあそれでも無理があって、うまくいかないですね。
8. Posted by オッペケペー   2020年01月23日 14:39
?… 中山本人だろ? 自演乙。(笑)

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プロフィール
中山市朗(なかやまいちろう)


作家、怪異蒐集家、オカルト研究家。

兵庫県生まれ、大阪市在住。


著書に、

【怪 談】

■『新耳袋』シリーズ

■『怪談狩り』シリーズ

【オカルト・古代史】

■『聖徳太子・四天王寺の暗号』

■『聖徳太子の「未来記」とイルミナティ』などがある。

古代史、聖徳太子の調査から、オカルト研究家としても活動している。







作家の育成機関「中山市朗・作劇塾」を主宰。



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