東芝子会社で発覚、広がる「架空取引」の波紋

メガバンク系など5社以上が関わった疑い

東芝の子会社で発覚した粉飾決算。日本製鉄の子会社などを巻き込んだ「循環取引」の疑いが浮上している(撮影:梅谷秀司)

東芝の連結子会社、東芝ITサービスで発覚した架空取引が新たな展開を見せている。

鉄鋼国内最大手・日本製鉄の連結上場子会社である日鉄ソリューショズ、東証1部上場でIT大手のネットワンシステムズ、重電大手・富士電機の子会社である富士電機ITソリューション、さらに、みずほフィナンシャルグループのみずほリースの子会社であるみずほ東芝リースなど、少なくとも5社以上が関与する大規模な「循環取引」である疑いが強まっているのだ。

循環取引とは、製品やサービスの取引を伴わずに3社以上で架空取引を繰り返すことで、帳簿上の売上高や利益を見かけ上、増やしていく古典的な粉飾決算手法だ。東芝や日本製鉄、富士電機といった業界を代表する大手企業はなぜ子会社の暴走を止められなかったのか。

架空取引疑惑に投資家は厳しい目

事の発端は東芝が1月18日、「当社子会社における実在性の確認できない取引について」というリリースを発表し、ITサービスを手がける東芝ITサービスで架空取引があったことを明らかにしたことだ。同社が2019年4~9月期に計上した売上高のうち、約200億円に架空取引の疑いがあり、これは2019年3月期の売上高440億円の実に半分近くに上る。

東芝は2月14日に2019年4~12月の決算発表を予定している。そこで東芝ITサービスの架空取引分を業績に反映する予定だが、「連結全体に与える影響は少ない」(同社)としている。

実際、東芝の2020年3月期の売上高は3兆4400億円(会社予想)で、数字上のインパクトは小さい。「(東芝ITサービスは)利益率も低く、利益のインパクトも小さい」(東芝)という。ただ、2015年にパソコン事業などで不正会計が発覚した経緯もあり、子会社で発覚した粉飾決算疑惑に投資家などからは厳しい目が向けられている。

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  • marya112f01f0d4c
    会計上の利益が如何に砂上の楼閣かわかります。日本航空破綻の教訓は無いのかね。

    もっとも、談合は必要悪とか公言する反社の国土強靭が、マスゴミで取り上げられるのだから、業界全体が腐っているのですよね。

    ゴーンに限らず、組織経費を食い物にする犯罪者は沢山いますよ。公務員は組織的に裏金作って私腹肥やしているし。最高裁や検察の運営費も徹底的に公開してみろよ。パンドラの箱です。

    政治家の裏金なんて、当然です。
    up21
    down6
    2020/1/25 11:09
  • AJRAbdebf3631e11
    間に入るだけの(リスクをほとんど追わない)企業は潰れて欲しい。。
    up11
    down1
    2020/1/25 18:15
  • サラリーワン6d681f5edf45
    この点は、日本は遅れてるんだと思いますよ。
    再来年度から適用(一部企業は早期適用済み)されるIFRS(国際会計基準)とほぼ同等らしい収益認識会計基準では、商流だけ通る(間に入るだけ)は売り上げじゃ無いと言う基準を制定しています。
    なので、循環取引も含めた商流に入るだけっていう仕事は減っていくでしょうね。

    なお、上場企業中、上記会計基準を早期適用した会社は現時点30〜40社ぐらいらしい。
    やはり日本は遅れてるのかも…
    up16
    down6
    2020/1/25 12:08
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