トップ > 中日新聞しずおか > 朝夕刊 > 記事

ここから本文

朝夕刊

浜松5人ひき逃げ 弁護側、再び無罪主張

 浜松市中区鍛冶町のスクランブル交差点で二〇一五年五月、五人が死傷したひき逃げ事件で、殺人罪などに問われ、一審で懲役八年の判決を受けた中国籍の無職于静(ユジン)被告(35)=同市東区=の控訴審初公判が三十一日、東京高裁(朝山芳史裁判長)であり、弁護側は「一審判決は被告の持病の統合失調症の影響について事実を誤認している」として改めて無罪を主張した。

 昨年十一月の一審静岡地裁浜松支部の裁判員裁判判決は、事件当時の被告が「いら立ち発散のためにアクセルを衝動的に踏んだ」とする検察側の精神鑑定を採用。統合失調症の影響は限定的で、完全責任能力があったとして「未必の故意」による殺意を認定した。

 弁護側は控訴趣意書で、統合失調症の影響は重大で「妄想による不安や恐怖感が増し、興奮していた」として「心神喪失状態で責任能力はなかった」と主張。この日の公判で別の精神科医の証人尋問を請求し、認められた。検察側は「統合失調症の影響は間接的だった」として控訴棄却を求めた。

 一審判決によると、被告は一五年五月、赤信号を無視して乗用車を急発進させ、中区鍛冶町のスクランブル交差点に進入。横断中だった主婦水鳥真希さん=当時(31)=をはねて死亡させ、水鳥さんの家族ら四人にも軽いけがを負わせて逃走した。

 

この記事を印刷する

PR情報