@chablis777
シャブリ

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かなりの費用がかかることを知り喜美子は 穴窯造りの夢を諦めかけていました。
(マツ)喜美子。(武志)お母ちゃん。
♪~
(マツ)ずっと ためてきたもんや。ようやっと使える時が来た。
(喜美子)何で お金?
穴窯を造るんやろ?造りたいんやろ?
俺も出したる。
靴下の穴 塞いで稼いだ 36円や。
ありがとう。
ありがとうございます。大事に使わせてもらいます。
いつか穴窯を造る時に。いつか?
今すぐは無理や。
まずは 力をつけてから。
ええ作品が作れるようになって…それからや。
(八郎)喜美子。
話 しよか。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
穴窯のことやったらな…。うん。
うち 諦めたわけやないで?うん。いつかは やるからな。
喜美子。
僕が 闇市で深野先生の絵を売った話 したん 覚えてる?
覚えてるよ。
終戦から2年ほどたってた。11の時や。
終戦 覚えてる?う~ん… 子どもやったからなあ…。
うん…まあ 僕も よう分からんかった。
何? 何で こんな話?
喜美子。
いつかなんて言うてたら…いつ また戦争起きるか分からんで。
あれは 現実に起きたことや。
僕らの仕事は平和やからできるんや。
薪で焼くんは ぜいたく品や言われへんかった?
芸術品や言われたやろ。
芸術を楽しめるんは 日本が豊かな証拠や。ありがたいことや。
10年後か20年後か言うてんと今 やりぃ。
今 やりたいんやろ?
夢を かなえ。
その夜 2人はめおとノートに夢を記しました。
喜美子は かけらの色を出すための穴窯を造ることを。
八郎は 喜美子の夢を支えることを。
5月 八郎の個展。
(佐久間)大成功とまでは言われへんけどなあ。
(柴田)いや 十分ちゃうけ?
和食器セット 追加注文来てたし。はい。
何や 取材もいくつか来てはったもんな?
おかげさまで ありがとうございます。ありがとうございます。
いや ここで とどまったらあかんでハチさん。もっと高いとこ目指しぃ。
今のハチさんの 熱なる瞬間は和食器セットやねんて。
何です 熱なる瞬間て。
誰にでもあるんや 熱なる瞬間が。へっ?
(三津)あの 百合子さんと サニーで…。あっ 言うてたな ええよ 行ってきぃ。
ありがとうございます すいません。(八郎)ご苦労さん。
失礼します。(柴田)はい。
(佐久間)何ですのん 熱なる瞬間て…。
(百合子)ミッちゃん!個展の片づけ 落ち着きました!
(百合子)お姉ちゃん 様子どうやった?ほっとされてましたよ。
(百合子)ほな… 今日でええやんな!
ついにですねえ!(百合子)ついに…ようやく結婚の挨拶や~!バンザ~イ!バン…!
(大野)百合… 百合ちゃん ごめん…。(陽子)ごめん 行かれへん…。
えっ?
(陽子)全治2か月や…。
(信作)ごめん 百合子…。
張り切り過ぎて 役場からスキップして…。(百合子)わあ~! 大丈夫!?
「個展 無事終了。喜美子 穴窯の勉強を始める」。
「八郎 新しい電気窯で大量生産の注文を受ける」。
「和食器セットの注文を受ける。八郎 穴窯の資金を作る」。
先生 これ 持っていきますね。
頼むわ。はい。
こういう穴窯を目指してるんですけど…。
ここに煙突来るくらいで… はい。どうですかね?
こっちに結構 長い…。ああ 測ってみぃ。
「穴窯 製作準備開始」。
(直子)冗談やないで!? なにが穴窯や!そんなん ずるいわ!穴窯あかん言うてんのと

ちゃうよお母ちゃんのへそくりや!
うちに相談もなくお母ちゃんのへそくり使うやなんて!
勝手にしたらええわ!え…。
(鮫島)俺が! 俺が。俺が連れ戻します!
もう… ちょっと…。(百合子)平気や。えっ?
10分。5分。
3分。1…。(戸が開く音)
30秒やった…。(笑い声)
言いたいこと言うて すっきりした?ヘヘッ。 ほんで? どこに造るん?
そこの畑や。あ… 畑 潰すん?うん…。
寂しいな…。
寂しないわ。
ごめんな 畑 潰して…。
やりたいこと やらせてもらいます…。
直子 お金のかかることや。
しばらく 何かあっても助けてやれんかもしれん。
百合子もな? しばらく迷惑かけるわ。お母ちゃんも。
武志も。 ハチさんもな…。
ごめんな…。
ありがとう。
穴窯 造らせてもらいます!
ほんで ええ作品 絶対 作って…。(戸が開く音)
直子さんがいませ~ん!
鮫島ぁ…。
おなか すいてるやろ。え~! すみません。
向こうは鮫島 鮫島いうて盛り上がってんねん。
ここ持ってきたわ。あ…。食べえ。
ありがとうございます!
うん? 何 作ってたん。ああ…。
サニーで喜美子さんのコーヒーカップ見ましたよ。
中に お花が描いてあって…。ああ 可愛らしいやろ。
私 先生のコーヒーカップでコーヒー2杯 お代わりしました。
これ コーヒーカップか。(三津)はい!
先生みたいなの作りたくて。
僕のは 電動ろくろやで?ああ… そうだとは思ったんですけど…。
う~ん…。 教えたろか コーヒーカップ。
えっ。教えたるわ。
あっ… いえ! 大丈夫です。
そうか?はい! ありがとうございます!
う~ん… ほな…。
あ… あ… あの…。
ほらな やっぱり教えてほしい。
いえ そうじゃなくて…。うん?
何や?あ~ やっぱり いいです。
何や? ハハッ…。松永さん 何か 感じ変わった?
えっ。前は ほら もっと何か こう…思たこと何でも言うてなかった?端的に言うと ずうずう

しかった。
大人になったんです。なにが大人や。ハハッ。
誕生日なんです。
えっ。
今日 24歳になりました。
そうかあ…。フフッ 年取っちゃいました。
おめでとう。
あ… ありがとうございます!
何? さっき言いかけたん そのこと?
あ…。
何や もう。 言うてみ?
先生の和食器セット…どんな人が買っていったのかなあって。
私 銀座の個展には行けなかったから…どんなだったのかなあって。
あっ 今頃 こんなこと聞くのあれなんですけど…。
いや せやな。 ごめんな。
松永さんのおかげや。
ディナーセットの話 してくれて団地の話もしてくれて。
ごめんな。 ありがとう。
いえ!
家族連れが多かったけど…若い夫婦も多かったわ。
そうなんですか?うん… うん?
松永さん おなか すいてんちゃうのん?
あっ フフッ ぺこぺこです。フフッ ほな もう座って ごはん食べえ。
あっ いや あ… あの…。
僕も座るで。えっ! え… お話 してくれるんですか?
ええよ 座りぃ。
あ… ありがとうございます!
(戸が開く音)
おはよう。(百合子 喜美子)おはよう。
早いな。
やるで。うん。
せ~の! よいしょ!
ハア… はい! 穴窯で ひともうけしてや高う売れる作品作りぃ?
(百合子)ええ作品 作ってな。
楽しみやなあ。アホか。
楽しみやん。分かった 分かった。
あ~! 楽しいな!うわ~!
何すんの~ん!何やってんねん!
何やって…!ちょっ どいて! お姉ちゃん どいて!
3か月の整地作業が終わり今日から 穴窯造りが始まります。
まずは レンガで穴窯の土台を造ります。
ここ 置いときます。ああ おおきに。
♪~
ひとつき半かけ レンガで形を造ったら今度は 土壁を塗っていきます。
窯の中の熱を逃がさないようにするためです。
ハハッ。おっ 頑張ってんな。
もうちょっとや。
もうすぐ 穴窯の完成です。


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