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「選択的夫婦別姓」に自民党だけが反対 保守層が夫婦同姓にこだわる理由とは?

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Getty Imagesより

 6月19日、東京都議会は国に対して選択的夫婦別姓の法制化を求める請願を賛成多数で可決した。都民ファーストの会、公明党、共産党が賛成票を投じ、反対は自民党であったという。

 選択的夫婦別姓に関する議論は長く続いているが、一向に成熟しない。2015年には夫婦同姓を義務づけた民法が違憲であるか否か最高裁まで争われたが、結果は「合憲」で訴えは退けられた。

 その後も夫婦別姓訴訟は次々と起こっている。2018年1月には、ソフトウェア開発会社サイボウズの青野慶久社長ら4人が、また同年6月には、映画監督の想田和弘氏と舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子氏の夫妻が選択的夫婦別姓を求めて国を提訴した。

 青野社長らの裁判に関しては、今年3月に東京地裁が原告の請求を棄却。しかし、青野社長は記者会見で<『最高裁まで上がってこい』というメッセージかなと、ポジティブに受け取って、裁判を続けていきたいと思っています>とコメントしており、今後も法廷での争いは続いていくことになるだろう。

自民党は「家族の解体」を理由に夫婦別姓を拒否

 自民党は選択的夫婦別姓に一貫して反対の姿勢をとってきた。反対にこだわる彼らの主張は「夫婦別姓を選択できるようになることは“家族の解体”につながる」というものだ。

 安倍晋三首相は下野時代に「WiLL」(ワック)2010年7月号のインタビューで<夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)。これは日教組が教育現場で実行していることです>と答えている。

 選択的夫婦別姓が認められていない国は世界中探しても、日本以外にはほとんど存在しない。日本の夫婦同姓の強制は人権問題として国連から指摘され、女性差別撤廃委員会から何度も改正を求められている。それでもこの極端な主張を覆さないのだろうか。

 アメリカでも韓国でも夫婦別姓は認められているが、では諸外国の家族はバラバラに解体されているのか? 答えはNOだろう。

 すべての夫婦が同じ姓を名乗るよう強制されている日本においても、苗字だけは同じで内実はバラバラになっている家族などいくらでもある。同姓であることが「家族の絆」になんらかの良い影響を与えているという根拠は乏しい。

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