
川崎市の多文化交流施設「市ふれあい館」に在日コリアンの虐殺を宣告する脅迫はがきが送り付けられたヘイトクライム(差別に基づく犯罪)を巡り、福田紀彦市長は23日の定例会見で、「差別に基づく脅迫だ。全く許されるものではない」との見解を表明した。市として被害届を県警に提出することと併せ、差別を非難し、否定する明確な姿勢を示した。
年賀はがきに書かれた虐殺予告を確認したという福田市長は「こうした脅迫は決して許されない。人権条例の趣旨に反する行為だ」と断じた。昨年12月に制定した「市差別のない人権尊重のまちづくり条例」も引き、許されない差別であることを強調した。
同館の利用者が前年の7割程度に減るなど地域住民に不安と実害が広がっている現状を踏まえ「非常に遺憾。不安が払拭(ふっしょく)できるよう対応したい」と明言。警備員の配置を準備中で、指定管理者の社会福祉法人が提出を検討していた被害届についても「行政として対応するのが適切と判断した。警察とのやりとりも早くなるはずだ」と説明した。
脅迫年賀状は同館職員が4日に気付いた。「謹賀新年 在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう。生き残りがいたら、残酷に殺して行こう」と書かれていた。同館は1988年、民族差別の解消を目的に在日コリアン集住地区である川崎区桜本に開設された。
【会見要旨】「行政として対応する」
脅迫年賀状を巡る会見の要旨は次の通り。
─はがきの文言をどう受け止めたか。
「こうした脅迫は決して許されるものではない。人権条例の趣旨に反する行為だ。市として被害届を出し、警察と情報を共有していきたい」
─差別との認識か。
「差別だ」
─だから許されない。
「差別に基づく脅迫だと認識している。全く許されるものではない」
─条例に基づく対応は。
「差別を生まない土壌づくりは従来通りしっかりやっていくが、条例の有無にかかわらずこんなことは許されない」
─ふれあい館を利用している小学生から「私たちは殺されてしまうの」という不安の声が出ている。
「何人も差別に基づく脅迫に遭うことがあってはならない。利用者が不安を感じているのは非常に遺憾。不安が払拭(ふっしょく)できるように対応したい」
─被害届は威力業務妨害容疑か。
「恐らくそうなると思うが、警察と相談していく」
─指定管理者が被害届を出す選択肢もあったが。
「市として、行政として対応するのが適切だと判断した。警察とのやりとりも市が直接やったほうが早くできるという思いがある」
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