2020年1月24日 06:00
メルカリなどのフリマアプリで、新手の詐欺が登場しました。フリマで商品を購入すると、落札者に商品が送られてきます。当然、落札者は受け取り確認を行うことでしょう。すると、出品者に代金が支払われます。しかし、その1週間後、落札者の元に「Paidy翌月払い」の請求書が届きます。フリマアプリとは関係なく、新品の製品の代金を支払うように求められるのです。
これは、「Paidy」という後払い決済サービスを利用したネット詐欺です。Paidyは、メールアドレスと携帯電話番号で利用でき、クレジットカードや住所を登録しなくてもいいのが特徴です。その月に使った料金を、翌月に支払うサービスです。しかし、その支払いをしなかった場合、購入した商品の送付先に請求書が届きます。犯人はこの仕組みを悪用したのです。
ネット詐欺の犯人は、まず手元にない商品を出品し、少しお得な金額に設定します。購入者が現れたら、その人の住所宛に、家電量販店などで購入した商品を送付します。商品を受け取った落札者は、この時点でPaidy決済されていることが分からないので、受け取り確認をしてしまいます。犯人はお金を受け取り、アカウントを消します。落札者のところに請求書が届いたときには、コンタクトが取れない仕組みです。
Paidyはすでに対応策を発表しています。悪用の懸念があるユーザーのアカウントにはPaidyの利用を制限・停止しています。また、フリマアプリを利用した不正取引による被害者には請求をしないとしており、今後は、同じ手口の詐欺は減っていくと思われます。
新サービスの盲点を突いた新しい手口のネット詐欺です。詐欺を防ぐべく、受け取り確認をするまでは料金を支払わないというフリマアプリ側の対策を無効化しているのが賢いところです。しかし、デジタルリテラシーがあれば、実はこのネット詐欺も回避することができます。
まず、商品が手元にないのですから、出品画像はどこかからダウンロードしたたものになります。公式写真しかないのは怪しいと考えた方が良いでしょう。もし、自宅で撮ったような写真でも、ネットから拾った可能性もあります。Google画像検索などで、似た画像がないか探してみましょう。同じ写真が見つかったら詐欺です。
フリマアプリで購入したのですから、ヤマダ電機などの家電量販店から直接届くのはおかしいと気が付きましょう。怪しいと感じたら、迂闊に受け取り確認をしないということも重要です。受け取り確認は、現金の受け渡しに匹敵する手順と考えてよいでしょう。
詐欺アカウントは使い捨てにするので、評価はゼロです。また、同時に多数の罠を仕掛けるので、ユーザーからの問い合わせには基本的に返事はしません。とはいえ、詐欺が進むと評価は増え始めますし、日本語が使えるまめな犯人なら返事をしてくるかもしれないので、参考程度にしておきましょう。
今回は実際の二重支払いはせずに済みそうですが、今後登場する詐欺もすべてリカバリーしてくれるとは限りません。ネットで何かを購入する際は、油断せず、チェックすべき所をチェックすることを忘れないでください。デジタルリテラシーを向上することこそが、ネット詐欺を防ぎ、さらには撲滅する効果的な方法なのです。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
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