分譲マンションの「悪臭」に悩まされた住人の裁判が、東京地裁で続いている。
調べてみると珍しい訴訟だが、実は同様の“被害者”が多いと見られ、判決次第では今後この訴訟が増える可能性がある。
16年8月、自営業の山田一郎さん(50代、仮名)が千葉県浦安市の新築マンションを購入した。
臨海地区の住宅街に建てられた10数階建て200戸を超える大型マンションは、大きな公園に隣接して環境がよく、上層階は眺望もいい。山田さんは、事業を兼ねて最上階の角部屋と隣室の2部屋を購入した。
「住みはじめると、バルコニーに出た時や、窓を開けた時に異臭を感じることがありました。ただそれは海が近いからと思っていました」(山田さん)
異臭の原因を知ったのは1年後のことだった。
住人でつくるマンション管理組合の理事に就いた山田さんは、組合理事らと共に「1年検査」のために屋上に上った。マンションは住人が屋上に上れる構造ではなく、はしごを用意し、ハッチを開け、屋上に上ったのは初めてだった。
「屋上に上った時、悪臭が漂ってきました。奥に歩いていくと、私が購入した2部屋のちょうど真ん中の上に細い管の排出口があり、悪臭が出ていたのです。排出口に近付いて臭うと、異常な臭いがして顔をそむけてしまいました」(同)
原因は「ディスポーザ」(生ゴミ処理機)である。