自身が開業する医院の婦人科を受診した30代の妊婦に乱暴したとして、警視庁捜査1課は、強制性交の疑いで東京都足立区の「矢追医院」院長、矢追正幸容疑者(55)を22日に逮捕した。

逮捕容疑は昨年11月21日午後2時45分ごろから約40分間にわたり、診察室の奥にある個室のベッドで、女性に「先生のことを好きと言ってごらん」と言って体を触るなどの性的暴行をした疑い。

捜査1課によると、容疑者は「好みのタイプだった」と供述している。他にも同様の被害を受けたとの相談が複数あり、同課が調べる。当時、医院には事務員らがいたが、個室は矢追容疑者と女性の2人きりだった。女性が近くの交番に届け出て発覚した。

近隣住民によると、昨年の台風で壊れたという病院の看板は、先週、目立つように大きく派手に、新しく立て替えたばかりだったという。突然の知らせに近隣住民は驚きを隠せなった。自身も受診したことがあるという70代女性は「姿勢の低い人で、親身に診察してくださっていたので」と動揺した。続けて、「身ごもる女の人にそんなことする人ではない」と信じられない様子だった。「1回やってしまったらもう医者はできないね。自分で家庭を壊した。弁解の余地はない」と話した。

10年以上かかりつけ医として産婦人科に通っている女性は、「日曜もやっているし、口コミもいいし、私も他人に勧めていた」と評判の良さを話した。

近くに産婦人科の病院は少なく、インターネットでの評判は良く、町の人からの信頼は厚かった。予約していても1時間半は待つという。

10年間通っても「印象は本当に普通で優しい」。かかりつけ医として通院していた女性は、友人からの連絡で衝撃を受けたという。「すごく意外。私には興味がなかったのかな」と苦笑いし、「10年間分の私のカルテはどうなるのかな。何か貼り紙があると思って来たけど、何もお知らせがない」と今後の対応を心配した。

容疑者を古くから知る女性は「近隣とのトラブルは1回もない。小さいころからいい子でした」と答えた。妻と子ども2人とともに生活していたと言うが、「もったいない。家族がかわいそう」と肩を落とした。

医院は1995年5月に開業。ホームページによると、婦人科や美容皮膚科、女性泌尿器科などがある。