先日、一日中お酒を飲み続けて朦朧としているときに、立て続けに「日本酒擬人化」の話と「糖質制限で日本酒を禁止されるとは」というお話がきまして。
なんだろうと思ったら、こういう事があったのですね。
上記のヤフーニュース経由東スポの記事によると、日本酒擬人化コンテンツに出演している声優さんがラジオで「糖質制限中だから日本酒は飲まない」と発言。それで降板されたそうです。ただしその発言自体は、該当すると思われる番組のバックナンバーでは確認ができないと。
この件に関しては門外漢なのも甚だしいので言及はここまでにして。せっかくなので「糖質」と「日本酒」についての話を少しだけしようと思います。
お酒はエンプティカロリーだから飲んでも太らないは本当なのか
長く酒飲みをやっていると、おそらく一度は聞いたことがあると思うのがこの言説です。
「アルコールはエンプティカロリーだから飲んでも太らないよ。おつまみが悪いんだよ」
これは残念ながら正しくありません。この場合のエンプティカロリーは、体に必須の栄養素を持っていないという意味で使われています。なので、いわゆる「カロリーが高いものを食べると太る」的な意味でのカロリーは持ち合わせているのです。その熱量は1gに7.1kcalほどと言われています。
お酒のgと言われてもという人がいるかもしれません。ご安心ください! 大好評発売中の白熱日本酒教室にその辺のわかりやすーいことが描いてありますとも!
こんな感じで求められます。
すると、いろいろなお酒のカロリーはどうなるでしょうか。それも(略)
というわけで、純粋なアルコールの持っているカロリーでいうと、当然ながらアルコール含有量が多いお酒ほどカロリーが高くなります。
- ストロングなんたら系350mL:25.2g → 178.92kcal
- 焼酎ロック110mL:22g → 156.2kcal
- 日本酒1合180mL: 21.6g → 153.36kcal
あら。焼酎ロック110mLを飲むのだったら、日本酒1合(180mL)の方がカロリーは低くなることになってしまいますよね。もちろんそんなわけはありません。
あと最近の研究ではアルコールのカロリーは、実際に体内で使われるエネルギーとしてはそこまで高くないのでは? ともされています。これはアルコールの代謝が複雑なところから来ています。というわけで、この辺の数値はあくまで参考程度に覚えておきましょう。
糖質によってもカロリーは変わる
そしてようやく「糖質」の登場です。
先ほどまでは純粋なアルコールのカロリーのこと。他の成分は考えていない数値です。しかも参考数値。実際のところは(太る原因となる)カロリー的に影響が大きそうなのが糖質というわけですね。
糖質とはそもそも何なのか。最近では商品の裏ラベルの成分表に載っていますよね。
消費者庁 食品表示企画課の出した「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」によると
当該食品の質量から、たんぱく質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除して算定すること。
とあります。(46ページ)
ようするに、日本酒の場合はたんぱく質とか脂質とかを抜いたもの。すなわち原料のお米のでんぷんが分解された成分(糖分メイン。この割合がやはり大きいです)や、麹や酵母が生み出した味わい成分と呼ばれるもの(コハク酸やリンゴ酸などの有機酸)です。
これらは蒸留酒にはあまり含まれていません。蒸留する過程で取り除かれるからです。そのため、豊かな味わいを持っている日本酒はこれらの成分が多くカロリーも高くなり、すっきりとした後味の蒸留酒はカロリーも低くなるというわけです。
食品成分データベースとかで検索してみると、各お酒のカロリーがなんとなくわかったりもします。でも基本的に量を「g」で計算しなければならないので、日本酒180mLはとなるとややこしくなったりするのですが……
糖質を避けたいなら糖質が無いお酒を飲めばいいじゃない!
さて、本題です。
糖質がダメなら日本酒は飲まなければいいのかというと、まあ概ね間違えてはいません。でも、日本酒の世界は多種多様です。糖質が無いお酒も存在するのです。
たとえば月桂冠さんのこちら!
はい、糖質ゼロの日本酒です。正確には栄養成分表示のためのガイドラインにしたがって、100mLあたり0.5g未満なのでゼロと表記していいやつです。
造り方の説明はこの辺に。
簡単にまとめますと、日本酒はお米のでんぷんを麹菌が分解して糖分にし、その糖分を酵母が分解してアルコールにしています。だったら、酵母をパワーアップさせて最後のひとかけらまで糖分を分解できるようにすれば、できあがるお酒には糖分が残らないじゃない! というもの。
実際には、麹菌を選りすぐって酵母が分解しやすい糖を生み出すようにしたり、酵母が自らの生み出すアルコールで死んでしまって発酵できなくなるのを防ぐために、アルコール耐性が高くしなければならなかったりと、めちゃめちゃ難しいんですが月桂冠さんは達成したというわけなんですね。
あれ、昔に聞いた話だとろ過(して糖分とかを取り除く)も少ししていると教わった気がするんですが、2018年のリニューアルのときに変わったのかな。この辺はまた今度月桂冠の方に会ったら聞いてみます。
日本酒度の高いお酒は糖分がよく分解されている
この「糖質ゼロ」以外で糖質の少ない日本酒を飲みたかったらどうすればいいのか。そんなときに頼りになる数値が「日本酒度」です。
この「日本酒度」もややこしいんですが、ようはお酒の糖分がどれだけ分解されたかの指標になる数値だと思ってください。「+」の数字が多いほど、糖分がよく分解されている(糖分が残っていない)お酒で、「ー」の数字が大きいほど糖分が残っているお酒です。
「+」が二桁の数値になっているお酒なんかは、かなり糖分が分解されてほとんど残っていませんね。どんなお酒があるかは年末に書いたこの記事も参考になるかも!
もちろん糖尿病等で糖そのものの摂取がアウトな場合はお医者さんに相談してください。
結局何を言いたいの?(まとめ)
長々と話してきましたが、何を言いたいかといいますと。
日本酒は嗜好品なので、楽しく飲むのが一番です。飲んじゃダメな理由があるなら無理して飲む必要はありません。
ですが、飲んじゃダメな理由があるけれどもどうしても日本酒を飲みたくなったとき。そんなときには、探せばきっと条件に合う素敵な日本酒がある、日本酒の世界はそれだけ奥も懐も深いというわけです。
というわけで、糖質制限をしているけれども日本酒飲みたいなーという方の参考になれば幸いです。
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