モーニング娘。20周年企画

譜久村聖(前編)中心を失い、バラバラになりかかった仲間をまとめるために

  

■Profile
譜久村聖

誕生日:1996年10月30日
加入日:2011年1月2日
リーダー歴:2014年11月27日~現在
在籍:2767日(2018年7月31日現在)

 

海外でも高まる人気。「道重さんについていけば間違いない」

2014年より、グループ名に西暦の末尾2桁を加えた名前での活動となった “モーニング娘。’14”は、この年の秋にニューヨークのブロードウェイにて単独コンサートを実現させ、開演の数時間前から長蛇の列ができる大盛況に導いた。“最後のプラチナ期”道重さゆみが卒業するわずか1カ月前のことだ。

「私にとって初めてのニューヨーク公演だったのですが、とにかく声援がすごかったんですよ。海外のファンの方がモーニング娘。の楽曲で踊った動画をネットに上げてくれていたのは知っていましたけど、実際に大勢の外国のファンの皆さんを目の当たりにして海外での人気を実感できました」
「世界握手会なども開催できるようになって、わかったことがありました。海外の人から愛されるためには、日本での活動をより全力で頑張らなければいけない。本気で頑張っている姿が海外まで届いてはじめて、自分の国にも『来てほしい』って言ってもらえるようになる。その道筋が大切なのだと痛感しました」

会場にはニューヨーク・ヤンキースの田中将大選手と里田まい夫妻も駆けつけ、その様子はテレビ各局で大々的に報じられた。プラチナ期から体現してきた“格好いいモーニング娘。”は、ついに世界でも評価されるグループへ成長することができた。
そんな中で、同年11月26日の横浜アリーナ公演をもって道重さゆみが卒業する。バトンを受けたのが、9期メンバーの譜久村聖。18歳でのリーダー就任は、グループ史上最年少だった。

  

「道重さんは仕事に対する熱の入れ方がすごくて、細かいところまで一つ一つ丁寧で手を抜かない。特にリーダーになってからは、『戦士か』と思うくらい凛々しくて、ステージに立つ姿も本当に格好よかったです。ステージの外でも、人を寄せ付けずに集中して台本を確認している姿とか、道重さんだけ写真撮影でNGを一つも出さないとか……。とにかくすべてがすごかったので、『道重さんについていけば間違いない』と私たち後輩も強い自信を持っていました」

一時は意見の食い違いも。でも目指しているところは一緒だと信じていた

譜久村は2011年1月に新メンバーとしてグループに加入し、2年半後にはサブリーダーに就任。そして2014年からは9代目リーダーとなり、2018年現在も活動している現役のメンバーだ。
一方の道重はプラチナ期を生き抜き、その最後の1人としてグループを牽引、外ではバラエティ番組で活躍して“モーニング娘。”の名を世間に再認識させた。共演したラジオ番組で太鼓判を押した明石家さんまや、「美しい」と絶賛したマツコ・デラックス、ファンを公言する柳原可奈子や大森靖子など、著名人からも支持する声は後を絶たない。半ば伝説化している“道重さゆみ”という存在は、譜久村にはあまりにまぶしかった。

「周りが安心できるリーダーだった道重さんのことは、まるで神様のように見ていましたから、自分と比較してしまうと、できていないことばかりで心が折れそうになるんです。しかも、同時期にサブリーダーを務めていたはるなん(飯窪春菜)は器用にやれていたので、『私もあんな風になりたいなぁ』とうらやましく思えたりもしました……。だから道重さんが卒業されて、新しい体制が固まるまではみんないろんなプレッシャーを感じてしまって、メンバー同士で話し合ったり、ぶつかり合う事もありました。誰もが『この後どうなっていくのか』という不安を感じていた時期でしたね」

  

その当時のモーニング娘。には、彼女やすでに大きな人気があった鞘師里保がいる9期を頂点に、現在もサブリーダーを務める飯窪春菜や仙台出身で抜群のダンススキルを持つ石田亜佑美らを擁する10期。逸材として加入時から話題を呼んだ唯一の11期である小田さくらに、加入直後の12期が加わった計13名が在籍していた。

「9期から11期までは加入した時期が近かったこともあって、気を遣わずに自分の考えをしっかり伝え合えていると思っていました。目指しているところはみんな一緒で、道は外していないと信じてもいました。でも、ちょうど12期の新メンバーが加入した時期に、11期までの9人で集まって話し合ったら、思っていたよりも意見が食い違ってしまいました。みんなモーニング娘。への思いが強いから、それぞれがいろんな提案を出してきて、いろいろ試してきたのですが、意見がぶつかってしまうこともたくさんありました」


やっぱりひとつになれる瞬間はコンサート

苦労もあった“プラチナ期”を知り、世間での知名度も高い“道重さゆみ”という絶対的な支柱が卒業したことで、グループには若手のみが残された。要(かなめ)を失ってメンバーがばらばらになっていく危機を感じた譜久村は、まず自分が変わろうと決意する。

「やっぱり道重さんが抜けた穴は大きくて、まとまりきれずに全員が自信を無くしてしまった印象でした。その時に、『リーダーである私が変わらなければメンバーも変わらない』と思いました。私は不器用な性格だから、メンバーを上手に引っ張ることはできないけど、いつも他のメンバーが助けてくれていた。だから思い切って、みんなに任せることを増やしました

  

「たとえば鞘師里保と石田亜佑美のダンスとか、小田さくらの歌姫ぶりとか、佐藤優樹の爆弾キャラとか(笑)、それぞれの個性を活かせるような環境づくりを心がけました。そうすると私ももっと積極的になろうと思えてきて、周囲のメンバーの良いところをもっと引き出せるように頑張れた。それはファンの方々にも届いていたと思います」

そうした彼女のリーダーとしての大きな成果と言えるのが、2015年春の全国ツアーの最終公演として、日本武道館で披露したステージだろう。当時のアイドル業界は、「戦国時代」から、多数の後発グループが誕生したことによる「飽和期」ともいうべき状態に向かいつつあった。その時期にあってモーニング娘。’15の13名は、息の合った見事なフォーメーションダンスで観衆を魅了。多数のアイドルグループの中でも、抜きんでた存在であると各方面から絶賛されたのである。

「メンバーといっしょに乗り越えてきて、『いろんなことがあったけど、やっぱりひとつになれる瞬間はコンサートなんだ』と改めて確信する良い機会になりました!」

そして譜久村は言葉を続ける。

「でも、その時、鞘師は卒業を決心していたんです

最終回となる譜久村聖の後編では、卒業と加入を繰り返しながら進化を続けるモーニング娘。の今と、そんな彼女たちにとって“プラチナ期”とは何だったのかを問う。

(インタビュー・文:平賀哲雄、撮影:Jumpei Yamada)

特集ページはこちら

  

モーニング娘。’18公演情報
モーニング娘。’18「メキシコ公演」開催決定!
http://www.helloproject.com/morningmusume/event/detail/5d7ac059c7c0a006b73036567c369ea5cfd3d7f5/

モーニング娘。’18コンサートツアー秋〜GET SET, GO!〜
http://www.helloproject.com/morningmusume/event/detail/ac73467decb61a2c523bcc0bcfc1b4bcca0b05d5/

モーニング娘。’18・アンジュルム「rockin’on presents ROCK IN JAPAN FES.2018」出演決定!
http://www.helloproject.com/morningmusume/event/detail/de280057b0467a0f8777bc7ad3d0f17cabcaecee/

道重さゆみ(後編)最後のプラチナ期が認めさせた“格好いいモーニング娘。”

一覧へ戻る

譜久村聖(後編)私が憧れていたモーニング娘。は今も

RECOMMENDおすすめの記事