【ロンドン=中島裕介】英議会上院は22日、欧州連合(EU)から抜ける条件などを盛り込んだ離脱関連法案を承認した。法案は上下両院の賛成を得たため、エリザベス女王の裁可を経て成立する。これで英国側は全てのハードルを事実上クリアしたことになり、EU側も29日に欧州議会の承認を得る見通し。1月31日のEU離脱がより確実になった。
関連法案の大半はジョンソン英首相がEUと2019年10月に合意した離脱協定案を英国の国内法に反映する内容だ。これに加え、英政府は激変緩和のために20年末まで設けている「移行期間」を延長しない方針も盛り込んだ。野党はこれに反発していたが、圧倒的多数を握る与党・保守党などの賛成で法案は9日に下院を通過していた。
与党が過半数に満たない上院では、在英EU市民の在留資格を得やすくする取り決めや難民の子供の保護などを盛り込む修正案が可決され、一度法案は下院に戻されていた。だが22日の下院の審議で修正案は保守党などの反対で退けられ、上院も法案を承認することを決めた。
今後、離脱協定案の署名などの作業は残るものの英側の離脱に向けた実質的な手続きはほぼ完了した。EU側も29日には欧州議会で協定案が承認される見通しで、1月末の英の離脱はより確実になった。
2月以降は自由貿易協定(FTA)など、移行期間後の英・EUの将来関係を巡る交渉の行方に焦点が移る。移行期間を延長せずに20年末までに英・EUがFTAを結べなかった場合突然、関税などが上がる「合意なき離脱」と同じ状況になる恐れがある。だがジョンソン政権はいち早くEUルールから離れ、EU域外とのFTAの発効など離脱の果実を得たい考えだ。
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