@chablis777
シャブリ

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(ハーモニカの音)(一同)あ~。
(緑)せ~の!(一同)♪「はるか~」
(お盆を落とす音)もう!
おかあさん合唱団が にぎわっていた頃…。
かわはら工房には窯屋さんが来ていました。
動かなくなった電気窯の修理です。
(八郎)喜美子が頼まれてた絵付け小皿は…。
(喜美子)本焼き3分の2以上は残ってる…。
ハチさんも個展に向けての器が焼けてへんもんなあ。
すぐ直してもらわんと間に合えへんで。大丈夫かな…。
窯屋さん 腕はええから…。
(窯屋)よっしゃ…。ありがとうございました!
請求書 送って下さいね。助かったわ。
(笑い声)ありがとうございます。
畳と女房と電気窯は 新しい方がええでなっ?
えっ…?
あ…?
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
(マツ)あら… えっ そうなん?うん… え~。
うん… うんうん ほな。あ… ごめんな 今日はあかんて。
(陽子)また あかんか…。(大野)信作 運のないやつやなあ。
(照子)どうしはったんです?ああ…!何かあったんですか?
電気窯がな 壊れた!え… そら大変やん!
喜美子の絵付け小皿は これで全部やな?うん。
あっ ほな これ運んで下さい。分かりました。
ほんで ハチさんの個展の作品はまた取りに来たげるし。
悪いなあ ありがとう。悪いな 照ちゃん。
まあ まあ まあ…。 まあ まあ…。
(敏春)もうええんか?一旦 これで運ぶで?
はい。お願いします。申し訳ありませんでした。
あ… いえ。 先日 うちのが朝まで お邪魔してしもうて…。
ああ 聞きました。
迷惑かけました。いえ!
ほな 窯入れする時は…。うち 行きます。
よっしゃ 連絡入れますわ。お願いします。お願いします。
ほな またな?うん ありがとう。
ほな。(八郎)はい。
(信作)大丈夫か? 聞いたで電気窯壊れて 大変なんやてな。
(百合子)そやねん ほやからな…挨拶は また先送りになってまう…ごめんな…。家ん中が

落ち着いてる方がええやん?
百合ちゃんか?百合ちゃん? 百合ちゃん? 百合ちゃん?
百合ちゃんと電話…。クックックッ…。
℡(物音)あ… 怒ったん?
もしもし…?
あっ ごめん ごめん。
よいしょ… ごめん ごめん。(大野 陽子)おやすみ~。
百合ちゃん おやすみ~。おやすみ~。
℡もしもし?(小声で)行けや!
℡なあ…。ああ ごめん 何でもない。
いや~ 電話は嫌やな 会いたいわ。
℡たまらんな…。
うちも… たまらん 会いたい。
俺も… 会いたい…。
うちも… 会いたい。
ちょ… ちょっと待ってな。
俺も 会いたい。
うちも 会いたい。
会いたい。
会いたい。(戸が開く音)
いつまでやってんのん!
ちょっと 御不浄…ごめんな! ごめんな!
あっ ミッちゃん ごめんな!
(戸の開閉音)
(戸が開く音)
お母ちゃん。
どないしたん?話があんねん。
あっ ミッちゃん。 いてもええよ。(三津)いえ…。
ううん。 うん…。
いて。
何や?
あんなあ… あっ…。
あんな?
さっきの電話な?
あ… あの…。
電話なあ 便利なようであけすけに何でもすぐ分かってまうもんな。
やっぱり聞こえてたんや…。あ… お母ちゃんの頃はな恋文や。紙飛行機みたいにして飛ば

してくれた。
お父ちゃん?うん。
庭のたっかい塀越えて毎晩のように飛んできてな。
それを お父さん お母さんもう うちのもん誰にも分からんようにそ~っと取りに行くねん。 フ

フッ。
お父ちゃん 何 書いてきたん?
さっきのあんたの電話とおんなじや。「会いたい会いたい」って 書いてきた。フッ きったない

字ぃでな。
お母ちゃん。
うん。
さっきの電話な…。
うん。
あんな…。
信作君?
知ってたん?
何となくな陽子さんの様子もおかしかったし…。
ほ… ほな…ほな お姉ちゃんも知ってるん?
いや 喜美子は…そういうのん疎いとこあるからなあ。
ほ… ほな お義兄さんも知らん?
(マツ)せやろなあ。
ご挨拶に来てくれんねん。
よかったな。
フフッ。
ミッちゃ~ん…。
(笑い声)
えっ。新しい窯を もう一つかわはら工房に置こう。新しい窯を もう一つって?
喜美子が言うてたあのかけらの色を出す窯や。
薪で焼く 窯いうこと?せや。 やってみたいんやろ?
ええの…?調べてみぃ?
ええの!?
(柴田)薪で焼くいうのはなあ…。どんなもんでしょう?
丸熊さんとこは 2年ほど前に永山陶業さんは 去年か。
薪で焼くんは やめはったしな。
今は どこも電気 ガス 重油ですか。ほやで。
昔は ごはんも薪で炊いてましたよねえ。
薪で焼くいうんは今や ぜいたく品やがな。
(マツ)ぜいたく品…。しこう品いうか 芸術品いうかな…。
ほな 薪で焼き物やられているところはもうありませんか?
ほやから 芸術品作ろういう陶芸家の先生やったらやってるんちゃう?
穴窯いうの 造ってな。
穴窯…。そない大きなもんでもないで。
この庭でもできるぐらいのよ。
言うたら たき口があって燃焼室 焼成室やらがあって煙が通って 煙突… みたいなよ。
どうやって 造るんでしょう?
いや そら 実際に造った陶芸家の先生とこ行って聞くんが手っとり早いで。詳しいことも教え

てもろてよ。
この辺りで いらっしゃいますかね?
この辺りには いやらへんなあ…。
あっ 前にな 穴窯やってたいう人の話聞いたことあるな。
えっ ほんまですか!?お名前 分かりますか?
何ちゅう名前やったかなあ…。
・(武志)ただいま!
お帰り。お帰り。ご挨拶して。
(武志)こんにちは!こんにちは。
あ… ほやほや武志君に聞きたいことあったんや。
はい!
あんな 武志君お父ちゃんの後 継ぐんけ?
陶芸 興味あるか?
アッハッハッハッ まだ小学生やもんな先のことは分からんな。
はい! 分かりません。ハッハッハッ… 今は元気なんが一番や。
よし。
よし? よし… よし…。
慶乃川さんや!
慶乃川さん!?
(八郎)時間 合うてる?柴田さんが連絡してくれてこの時間がええ言われたからな…。
道 迷ってんのやろか…。うん…。(ドアが開く音)
(大野)いらっしゃい。(陽子)いらっしゃいませ。
(純平)川原さんですか?はい。
あっ すんません。 これ 穴窯設計図や見取り図もろもろ 全部入ってます。
仕事の途中なんでゆっくりしてられへんのですけど…。
いらっしゃいませ ご注文は?
コーヒーを。はい。
お仕事中 すみません。川原八郎と申します。 妻の喜美子です。
僕は 保険の営業やってます。
あの 慶乃川さんは…?
僕の伯父にあたります。
おいっ子さん…。
伯父は 去年 亡くなりました。
身内は僕だけで遺品は僕が預かったんです。
慶乃川さんも穴窯を…。
造りました。 今は跡形もありません。
何でですか…?
維持費が大変なんです。薪の代金が えらいかかります。1回焼くごとに 何十万。
そら 焼き上がった作品がうまいこといって売れたらええですよ。
ほやけど売れるかどうかも分からんもんを毎回毎回 薪の代金に何十万も払て続けられるわ

けありません。
そんなにかかるんですね…。
ああ これですわ。
♪~
(純平)伯父のなぐり書きですわ。
♪~
 回想 (慶乃川)陶芸家なんか なったらあかんで?
お金にならんことはしません。
フフフッ。 頼もしいな。
♪~


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