@chablis777
シャブリ

---------------------------

----S----093------------
----c-----------------------------
----a-----------------------
----r-l-e-r-t--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------

(喜美子)さあ 今日はどこに ニンジンが隠れてるでしょう。
(百合子)今朝は お姉ちゃん作ったさけ隠してないやん 丸見えや。
見えん 見えん。
(武志)これ ニンジンちゃう?気のせいや。
ニンジンちゃう?(三津)気のせいや。
(マツ)食べて確かめてみたら?(武志)え~。
♪~
ニンジンやん!(4人)気のせいや。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
もしもし ハチさん? お帰りぃ。
どないしたん?何で サニーにいるのん?
(八郎)駅のとこで ばったり会うてん。
柴田さんと一緒にいてはってん。分かる? 窯業研究所の柴田さん。
分かるよ。 ハチさん 舞い上がってんな?℡(八郎)そら そうや!
声も明るい。℡(八郎)そうかぁ?
東京 下見に行ってよかったんやなあ。
ほんで 誰といるのん?
もう 言うてえや!電話やと くすぐったいわあ。
えっ?
(陽子)いらっしゃいませ。 喜美ちゃん!来てるで 来てるで。(八郎・小声で)喜美子。
(八郎)あの…。(ジョージ富士川)うん?
あの いつぞやはありがとうございました! 川原です!
(ジョージ)あ~! 座りぃ?
(柴田)仕事の話は済んださけ。また実演会やってもらおう思てな。
ええやん。 座りぃ?
すんません ありがとうございます。失礼します。
(小声で)着替えてきたん?(小声で)そら 着替えるやろ…。
着替えてきたん?
すんません。着替えて こんなんで すんません!
ハッハッハッ。ほんま すんません!いや いや いや 謝らんでも。
ありがとうございます。(笑い声)
いや~ いっつもなもう これで終わりにしよう思うねん。
これ作ったら終わり。もう これが最後 これで しまいやあって。
この前も そう言うてはりましたなあ。いや せやかてな 全部 出すねんで?
何や この辺にあるもん 全部な全部 出ていくねん。
もう 何も残らん すっからかんや。もう終わりやあ思うねん。
それが… それが…また湧いてくんねん。
作品が完成した途端次の思いが また カ~ッと ここが!
熱い…。
分かるぅ?
知り合いのなあ定食屋のおやじも言うてたわ。
帰りがけにお客さんが「おやっさん ごちそうさんうまかったわ」って言われた瞬間 グッと来る。
誰にでもあんねん 熱なる瞬間。誰にでもなあ?
あるよなあ?(大野)あ… ありますぅ!
(陽子)ありますぅ!うん。
あるよな?はい。あります!
(ジョージ)ハッハッハッ。
あ… まあ ない人も。はい あります! 多分…。
多分て 柴田さん。(笑い声)
せや お宅の工房に これぐらいの古い焼きもんのかけらあったよな?
はい!
おお~ はあ~。前に来た時に見てな 気になってたんや。アッハハッ。室町時代のものらしいです。
室町時代。
調べてもろたんです専門の方に見て頂いて。
へえ~。
何や 心引かれるなあ この色合い。はい。
ええなあ。はい。
「芸術が ここにも宿る」やな。
(柴田)室町時代の ただの焼きもんが昭和の時代に芸術と呼ばれるやなんて持ち主も驚いてるでしょうな。ハハッ。
当時やったら 何でもないかけらかあ。日用品でしょう。
そのころは 日常生活で使うものは焼いて作ってたんやし。
(ジョージ)薪でな?(柴田)ほら そうですわ。
薪だけ? 薪だけでこういう色合いが出るんですか?
ほやで。
ほな こんなふうなん できる?
う~ん… これは…灰がええ感じで かぶさったんやろうなあ。
どういうことですか?あのな薪を焼いて出た灰がこれに かぶさって 溶けてほんで こういう色合いを出すんや。
(八郎)灰が釉薬の代わりに。(柴田)そういうことですわ。
(ジョージ)はあ… ほやけどよそでは そうそう見かけん色合いや。
(柴田)そら 土の違いでしょうな。(ジョージ)土の違い?
例えば 鉄分。信楽の土に含まれる鉄分の割合はほかの土とはちゃいます。
ほな これは信楽の土ならではの色合いや。
(柴田)そういうことになりますな。
へえ~。
ういっ。
ただいま。あっ お帰りなさいませ。
ジョージ富士川先生 びっくりやな。はい! まさか お会いできるなんて。
「自由は不自由や」。
銀座な人の数も流れも えらい変わってたわ。
個展会場の近くに有名な子ども服の店があってなあ。
人気です。テレビコマーシャルやってます。
あ~ それでか。若い家族連れが よう歩いてた。
松永さんみたいな子ぉも歩いてたで。
松永さんかと思た。ええっ!
あの。うん?お帰りなさいませ!
さっき言うたやん。
あ はい。 あっ じゃあ…。
ああ 独り言?はい。 お帰りなさいませ!
ただいま戻りました。ええ~!ハハ…。
「新しい作品 作る」。
「金賞受賞」。「ハチさん 喜ぶ」。「うちも喜ぶ」。 アッハハ…。
ここもええなあ 「加賀温泉」。「結婚10年目に向かって 2人でお祝い」。
うん? まだ何かやんのん?うん ちょっとな。
あっ ハチさん 工房使うんやったらやめとくけど。
僕は 明日やるからええよ。
ほな。うん。
 回想 薪だけでこういう色合いが出るんですか?
(柴田)ほやで。
(戸が開く音)(八郎)喜美子?
あ… どないしたん?うん。
食べぇ。
(笑い声)何 これ。
爽やかな笑顔や。どこが爽やかやねん 怖いわあ。
僕も怖いからちょっと はよ食べてくれる。
アッハッハッ…。あかん あかん あかん…。
ほな 個展は和食器セットだけ並べることにしたん?
ううん これまでの作品と和食器セットをうまいこと空間を分けてな。
佐久間さんにも 話 したで柴田さんも知ってるわ。
納得してくれはったん?僕の個展や。
うん…。
やりたいようにやらしてもらう。そやな。
団地 見てきてん。団地?
東京でも大阪でも。大阪 寄ったん。
帰りにな。 もう万博やろ?来年な。うん。
景気ようなって 団地が増えてた。ニュータウンいうねんて。
信楽にはないからなあふら~っと 足 延ばしてきた。
首から鍵ぶら下げてる子おったで。武志と同じぐらいや。
鍵っ子いう。ああ…。うん…。
お父さん お母さんが働いてんねん。
ほんでも 日ぃ暮れたら団地の窓の明かりがつく。
帰ってきたんやなあライスカレーの匂いもしたわうまそやったあ。 ハハハッ。
あの明かりの向こうに僕の作った和食器セットがあったらうれしいなあ思て…。
熱い瞬間や。
ジョージ富士川先生が言うてはった。
心込めて 和食器セットぎょうさん作ったろやないか。
そう思て 帰ってきた。
芸術を きわめるんは 喜美子に任した。
やめて。 うちは そんなんちゃうわ。
金賞 目指すんやろ?金賞は目指すけど…。
何 考えててん?
言うてみぃ?
タヌキの道をな…。うん?
タヌキの道あるやん。うん。
あの道を左に折れてず~っとず~っと登っていくねん。
うちが大阪行く前の日や。
道は荒れてて 足元悪くてなあ…。
この道でええんやろか…道 間違えてへんやろか…歩いて歩いて 歩き続けて…細い道を歩いていくとようやっとパアッと開ける。
そこから見える夕日が きれいや…。
お父ちゃんに教えてもろた。
そこで見つけたんがこのかけらや。
きれいな夕日が映ってた…。
(八郎)映ってた…?
映ってたように見えてん。
♪~
頑張りぃ言われてるみたいでなあ…。
明日から大阪や 負けんときぃて…。
よ~し 行くでえ思うた。
うちの熱い瞬間や。
「明日から一人で頑張るでえ」。
あの…あん時の あの気持ちを残したい。
何かに残したい。
それが この色や。 このかけらの色や。
いつかな こういう色合いを出して誰かのこと励ましてあげたい。
頑張りぃ言うてあげたい。
夢や。
いつか かなえたい うちの夢や。
♪~
この翌日のことです。
どう?(八郎)あかん。
窯屋さんも すぐには来られへんて。(八郎)ああ…。
かわはら工房の電気窯が壊れてしまいました。


via Twishort Web App

Made by @trknov
Tweesome!