全国どこでもスマートフォンで素早く正確な標高が分かります――。人工衛星を使った新たな標高の算出法をつくろうと、国土地理院が2022年度を目標に基礎データの収集を進めている。地震で地形が変わった被災地の復興工事に早期に着手したり、自動操縦のドローンで荷物配達をしたりする助けになりそうだ。
標高は、東京湾の平均水面からの高さ。現在、ある地点の標高が知りたいときは、標高を厳密に測って主要な道路沿いに設置してある「水準点」を起点に、目的地まで測量を繰り返すという作業が必要になっている。
だが、山の中では重労働な上に、調べたい地点が水準点から遠いと誤差も大きくなる。地震で地盤が沈下すると道路や水道管の復旧計画を作るために標高を調べ直すが、東日本大震災の際は完了まで7カ月もかかった。
新方式は、人工衛星から得た位置情報を利用する。標高は場所ごとの重力によって微妙に変わるため、高精度で求める準備として、地理院は昨年夏から航空機による全国の重力測定を開始。標高の算出に必要なデータがそろえば順次公開し、スマホなど小型端末用のソフト開発に使ってもらう。
位置情報を利用したソフトは既にあるが、誤差が10メートルほど。これに対し、新方式では誤差を3センチ程度に縮められる見込みで、工事のほか登山の記録や車の自動運転などに幅広く使えそうだ。地理院の栗原忍物理測地課長補佐は「さまざまな局面で活用してほしい」と期待を語った。〔共同〕
日経電子版が最長2月末まで無料!
初割は1/24締切!無料期間中の解約OK!