シリコンサイクルで半導体関連株の買うタイミングを探る法則を解説する
シリコンサイクルを利用するメリット
ソニーフィナンシャルホールディングスの経済レポート(シリコンサイクルの底打ちのタイミングを探る)を紹介したい。シリコンサイクルとは、半導体業界で確認されている約4年周期の景気循環のこと。シリコンサイクルを投資で利用するメリットは、日経平均株価の底や天井を知る目安になることだ。
上記の画像を見てもらうと分かるが、2012年に底、2014年に天井、2016年に底、2018年頃に天井となっているのが分かる。
要するに、2年毎に天井と底を行ったり来ているのだ。
この現象の事を「シリコンサイクル」という。
「シリコンサイクルの底打ちのタイミングを探る」を要約する
経済レポート「シリコンサイクルの底打ちのタイミングを探る」では、世界の景況感が悪化しつつあることに触れ、①シリコンサイクルが下降局面にあること、②半導体の販売額が大きい米中両国が貿易摩擦を起こしていることで、世界の貿易全体が委縮していること、③米国の金融政策の正常化(政策金利の上昇)が市場に不安感を与えていること、の3つに景況感悪化の原因を求めている。また、AI、IoT、自動運転などの新技術によって、半導体需要が急拡大を続け、スーパーサイクル(需要の循環が長期化し、天井と底の振幅が小さくなること)に突入するという予測に触れた。その上で、急拡大するはずの半導体需要が米中貿易摩擦によって、スーパーサイクルに移行できず、通常の4年サイクルに収まっていることを指摘している。そして、世界の景況感が改善されるためには、米中通商協議の進展によって、現在下降局面にあるシリコンサイクルが反転することが必要だとした。その上で、中国の景気対策が効果を発現し、FRBが利下げすることによって市場に安堵感が広がることが景況感の好転には必要であるとした。
そして、レポートでは、現在下降局面にあるシリコンサイクルの反転上昇が2020年後半にずれ込みそうだと指摘している。シリコンサイクルが底を打つ2020年後半という時期が大切となる。シリコンサイクルは、基本的には4~5年周期(2年で上がり、2年で下がる)になりがちだが、4年周期を前提とすれば、次の底は2020年後半に底を形成すると予想されると書かれている。
ただし、シリコンサイクルの先行指標として知られている世界の半導体関連企業の株価が、直近で反転上昇していることから、市場では米中貿易協議の具体的な進展が想定されているとした。そのため、今後、米中貿易協議が進展すれば、世界の景況感が改善し、世界経済が持ち直すことがレポートでは期待されている。
シリコンサイクルをどのように投資で利用するか
シリコンサイクルが反転上昇してくると、日本では、半導体関連企業である日立、東芝、ソニー、東京エレクトロンといった企業の株価が上がりやすくなる。そのため、シリコンサイクルは、半導体関連株の買いのタイミングを知ることに役立つ。
また、日本には半導体関連企業の大手が多いので、シリコンサイクルが日経平均株価に大きく影響する。その結果、シリコンサイクルの底や天井が、日経平均株価の底や天井に一致することが多い。そのため、シリコンサイクルの変化を知っていると、投資のタイミングを計る目安になる。※ただし、目安になるというだけで、絶対当たるわけではない。
シリコンサイクルと日経平均の相関性
それでは、具体的に双方のチャートを見てみよう。現在は、日経平均株価が下降局面にあり、底値を知りたいタイミングであるので、シリコンサイクルがいつ底になるのかを考えておくことが重要だ。そこで、シリコンサイクルと日経平均株価の関係として、2012年と2016年の双方のチャートを比較する。すると、シリコンサイクルが底を形成するタイミングで日経平均株価も底を形成していることがわかる。実は、シリコンサイクルが底になるタイミングで、日経平均株価もほぼ底になる。日経平均の底を知る一つの指標として、シリコンサイクルは、非常に便利だといってよい。
なお、シリコンサイクルのチャートを見ると、マイナス5%からマイナス10%くらいがチャートの底になることがわかるので、現在のシリコンサイクルは、底ではないと判定される。経済レポートによると、シリコンサイクルは、2020年後半に底を形成しそうだということなので、安全策であれば、2020年後半を目途に日本株を買い始めるのがよい。
次に、シリコンサイクルの天井は、日経平均株価の天井よりも少しだけ早くなる。例えば、シリコンサイクルが天井となった2014年や2017年の同時期では、日経平均株価は、天井を形成する途中の上昇局面だった。そのため、シリコンサイクルの天井で日経平均株価の天井を予想するには、少しだけ時期が早くなることを知っておくべきだ。つまり、シリコンサイクルが天井になった場合は、日経平均株価の天井を警戒しなければならない。ただし、シリコンサイクルで日経平均を予想する場合は、天井よりは底のほうが当たりやすい。
具体的な銘柄として、日本の半導体関連企業の売上シェアランキングを見てみると、シェア21%となっている東芝は、2020年後半あたりに投資対象になる可能性がある。その他の銘柄として、日立製作所、ソニー、ルネサスエレクトロニクス、東京エレクトロン、富士通、ローム、京セラ、ニコン、三菱電機といった企業も選択肢に入る。実際の売買では、状況がどうなるかを見てから判断する。投資チャンスを逃さないようにするため、シリコンサイクルの現状を投資の参考にしておくべきだ。
詳しくは解説は動画の方で言ってますので、こちらをご覧ください。
追記
シリコンサイクルに先行性が見られる指標も掲載しておきたいと思います。それは、台湾製造PMIと呼ばれる指標で、約半年程度の先行性が確認されています。
リアルタイムでチャートを確認したい方はこちらに飛んで確認してください。
台湾製造PMIの特徴は底値が46ポイント付近で天井が56ポイント付近になりやすいという事になるので、半導体関連株に投資する際の重要な指標になるのでチェックしておくといいでしょう。
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