20年間に4度しか出てない上昇トレンドの初動を掴む裁定取引残高の知識
このページは裁定取引残高の買残と売残の逆転現象によって日経平均株価の初動を捉える方法になります。
20年間に4度しか出ていない買いシグナルで非常に珍しいので、定期的にシグナルのチェックをしておくといいでしょう。
また、暴落時の一時的なリバウンドになる可能性のあるシグナルも書いておいたので、是非覚えておきましょう。
裁定取引の基本知識:裁定取引の仕組み
裁定取引はアービトラージという言葉で表現されることがあります。
裁定取引の基本は同一価値を持つ商品なのにも関わらず、一時的に価格差が生じた際、割高な方を売り割安な方を買い、その後価格差が縮小した時点で、それぞれ反対売買を行うことで利益を得る行為のことを言います。
裁定取引残高は通常裁定買残の方が圧倒的に多い傾向にあります。
裁定買残は、相場が強い状況になると買いのポジションが増えてきます。
逆に、相場が弱い状況だと裁定取引を解消する動きが出てくるので売りが出やすく、裁定解消売りという大きな売り圧力になります。
これは、外国人投資家が日本から手を引いている可能性があるという見方ができる一方で、買い余力が余っているという見方もできます。
そのため、裁定買残が極端に少ない状況の場合、売りの出尽くしにより大底を形成する場合があり、逆張りの目安になります。
このような現象を需給面でのプラスの材料という表現をニュースサイトではすることが多いので覚えておきましょう。
また、通常時には先物価格の方が現物価格よりも高い傾向にあり、現物価格の方が高い現象のことを逆ザヤといいます。
裁定買残の目安となる水準
裁定買い残は東証一部上場企業の時価総額の0.6%に達すると裁定解消売りが出やすいとされます。
1992年以降では30億株がピークとなりリーマンショック後の2009年3月の3億株がボトムになります。
裁定取引は証券会社毎にどのぐらいポジションを持って良いのか決められています。
また、東証一部の時価総額に占める裁定買残が占める比率が0.6%を超えると裁定解消売りがでやすく日経平均株価の上昇の重しになりやすいと言われています。
2019年6月時点での東証一部上場企業の時価総額は約583兆円になります。
最新情報はJPX日本取引所グループの株式時価総額のページからダウンロードして確認してみてください。
裁定取引残高をみるには空売り.netという所で見ることが出来ます。
裁定取引でいう現物買いとは何のことを言うのか
裁定取引で現物買いや現物売りという表現を使いますが、その基準の説明をしておきます。
日経225採用銘柄を1日の取引で25銘柄以上取引をした場合にバスケット買いという扱いになり、同額先物を売っていた場合、裁定取引の現物買いという扱いになります。
逆に、裁定の現物売りというのは、日経225採用銘柄を1日の取引で25銘柄以上空売りした場合にバスケット売りという扱いになり同額先物を買っていた場合、裁定取引の現物売りということになります。
ただし、同じ機関投資家内でA担当者が現物株を1000株買っていて、B担当者が1000株空売りをしていたら、空売りとはカウントされません。
ただし、その場合でも、裁定買い残や裁定売り残としてはカウントされます。
裁定売残と裁定買残の逆転現象は買いシグナルになる
裁定残高というのは基本的に裁定買残が多くなる傾向にあることは説明したとおりですが、ごくたまに裁定買い残と裁定売り残の逆転現象が起きます。
この現象が起きると、その後大きく株価が上昇をする傾向にあり、絶好の買い場になることがあります。
これは単純に需給の問題で、先物取引の決済日に裁定売り残が大量に残っていると、裁定解消のための現物株の買い戻しで相場が上昇する要因となるという考え方が一般的です。
裁定取引残高に関しては、色々考察はできるものの、この裁定取引という仕組みはブラックボックスになっており、部外者からは何が起きているのかわからないというのが現状です。
例えば、2016年7月頃の四季報オンラインの記事でこのような考察がありました。
これは、何を言っているのかというと、裁定買残が減る理由は外国人投資家が個別株を大量買いを行った副作用であると書いてます。
なぜ、そんなことが起きるのかというと
外国人が個別株を大量に買う
↓
証券会社は自己売買部門にある裁定取引のバケット買いした部分から外国人に株券を渡す
↓
自己売買部門にある株券を渡したので裁定解消になる
↓
結果、裁定買残が減る
という考察になるようです。
正直ピンと来ませんし、そうなのかな?程度にしか思いません。
まぁ、知ったところでなにも変わりませんがw
なので、我々トレーダーは裁定売残が買残を上回ると株価の上昇が起きやすいという事だけ覚えておけば良いのでは無いでしょうか。
日経平均株価と日経先物の価格差をみれば、今は楽観に傾いているのか悲観に傾いているのか数字で理解できる
日経平均株価と日経先物の価格差をみれば、今は楽観に傾いているのか悲観に傾いているのか数字で理解できます。
基本的に、悲観相場だと買いが減り売りが多くなります。
そうなると、空売りが増え現物株を買う人が減るので、日経平均株価は下がります(現物株)日経平均株価は日経先物よりも下がると逆ざやという現象が起きます。
基本的に逆ざやはすぐに解消する動きになりますが、投資家心理が一方的になればなるほど、日経平均株価と日経先物の価格差は開きやすくなります。
もちろん、投資家心理だけではなく配当などの状況により開くこともありますが、500円以上離れるというのはまれなことなので、投資家心理の一方性を図るシグナルとすることが出来ます。
僕が昔作った動画で、日経平均株価と日経先物の価格差が500円以上離れると、リバウンドしやすいという動画を作りました。
特に、日経平均株価が日経先物よりも500円以上高い場合には高確率でリバウンドを起こす傾向にあります。
もし、良かったら動画を確認してみてください。
2012年以降の裁定残高が逆転現象する時期と日経平均株価
2019年6月14日
2018年12月25日
2016年9月14日
裁定取引残高の売り残よりも買残が少ない日が2日以上連続して出現した時どのぐらい株価が上昇したのか
表を見てもらえば分かりますが、過去20年間で4回しか起きていない現象になります。
1998年は上昇率61.8%
2016年は上昇率49.3%
2018年は上昇率14%
2019年 ?
といずれも、大きな上昇を記録しています。
上昇期間は、1998年と2016年の場合は、上昇の初動に出現しており、上昇期間は1年半~2年程度ととても長いことが分かります。
2018年の場合は、3ヶ月程度になりますが、2019年の出現時期と被るので正確な数字とは言えないかもしれません。
上昇トレンドの初動に出るシグナル
下の画像を見てもらえば分かりますが、裁定取引残高の逆転現象は上昇トレンドの初動にでる傾向にあることが分かります。
裁定売残が裁定買残を上回るという現象はそれ程不思議な現象で大暴落後に底値を打ち、株価が急上昇をする前の段階にでるシグナルという事になります。
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