名目GDPから明確に日経平均株価を計算する方法

2019年12月27日

名目GDPと日経平均株価の関連性について書こうと思います。日経平均株価は経済の一部に過ぎないので名目GDPとの関連性を知っておくと、日経平均株価の予測をする事が出来ます。これを知っておくだけで過度な悲観や楽観をせずに済むようになるはずです。僕は相場を予測する上で、方向性という概念を持っており、経済指標に対してどの程度現在の株価が乖離しているのかを計算し、中長期的に上昇するのか下降するのかを出していきます。

名目GDPから日経平均株価を予測するのは、方向性という概念になります。

方向性とは

僕は「方向性」「広義的トレンド転換シグナル」「狭義的トレンド転換シグナル」という3つの投資概念を組み合わせて考えています。

これは概念であり、手法という意味ではありません。

①方向性

方向性は経済指標から現在の相場はどの程度乖離があるのかを計算する事を言います。この概念の大きな目的は3つあります。

1．これ以上下がりにくい、これ以上上がりにくいと言うのを探る目的

2．理論的にどの程度の上昇余地や下落余地があるのかを探る目的

3．経済的観点から見たら場合、相場は上昇しやすいか下落しやすいかを探る目的

主にnoteや土曜日に出しているような動画は方向性の話をしていることが多いです。

殆どの場合、定性的＋定量的に考えていきます。

きちんと数字で出して明確に計算出来なければ意味が無いからです。

②広義的トレンド転換シグナル

広義的トレンド転換シグナルは、中期トレンド転換シグナルという言い方をすることもあります。

それほど、頻繁に出るわけでは無いが、年に1度程度出て、かつ高い精度で当たるトレンド転換シグナルの事を指しています。

殆どの場合、ピンポイントで捉えるトレンド転換シグナルではありません。具体的には、シグナルが出たから次の日トレンド転換するという類のものではないということです。長い目で見た時に、その可能性があるという警戒シグナルです。

例えば、noteで紹介している「今の所100％的中する日経平均株価の新しい概念のトレンド転換シグナル」という記事があるのですが、これは広義的トレンド転換シグナルです。

次に書く狭義的トレンド転換シグナルと被る部分も多いですが、違いは「すぐにトレンド転換シグナルとして機能するわけでは無い」「的中率が比較的高い」という特性を持っているものを、広義的トレンド転換シグナルという概念としています。

③狭義的トレンド転換シグナル

狭義的トレンド転換シグナルとは、ピンポイントで捉えるトレンド転換シグナルです。具体的にはシグナルが出る＝トレンド転換に直結するようなシグナルの事を言います。酒田五法の明けの明星みたいなシグナルです。

狭義的トレンド転換シグナルはピンポイントで捉えることは出来ますが、騙しが多くなり的中率が高くありません。上手くいけば完璧なタイミングで売買が出来るというもので、インジケータ類のものは、ほぼすべて狭義的トレンド転換シグナルという扱いになります。

名目GDPとはそもそも何か

一応用語の説明をしておきます。

名目GDPとは一定期間に生み出された価値の合計、通称「国内総生産」のことを言います。一般的に使われているGDPです。

実質GDPは名目GDPから物価変動率を抜いたGDPです。なので、価値が上昇していると言っても名目GDPの場合は物価変動率も加味してしまっているので、本質的な価値が上昇したのかわかりません。そのため、本質的な価値が上下しているのを見るために実質という考え方があります。

今回は、名目GDPを使った日経平均株価なので、物価変動率も加味しています。これは株式市場が物価変動率も織り込んでいるためです。

名目GDPと日経平均株価は中長期的には連動する

赤が日経平均株価　青が名目GDP

グラフを見てもらえば分かると思いますが、2008年以降は名目GDPと日経平均株価は同じように動いており相関性があるように見えます。

当たり前と言えば当たり前ですが、GDPは国内総生産なのですべての経済活動を含んだ数字です。日経平均株価は株式市場の代表的な指数なので、経済が良くなれば株価が上がるというのには何の違和感もありません。そのため連動しているように見えますが、バブルの頃を含めるとそうとも言えない傾向にあります。

赤が日経平均株価　青が名目GDP

上のグラフは1980年からの日経平均株価と名目GDPのグラフです。

見てもらえば分かりますが、名目GDPはバブル崩壊以降もほぼ横ばいで推移しているのにも関わらず、日経平均株価は大きく下落しています。

これは、何を意味しているのかというと、実体経済と株式市場が乖離していたことを示しています。

株式市場だけが大きく下落して2008年頃にようやく実体経済と株式市場の乖離が小さくなった為、2008年頃から名目GDPと日経平均株価の相関関係が生まれたと考えることが出来ます。

この乖離をグラフにしたのが、日経平均株価÷名目GDPで計算出来ます。

赤が日経平均株価　青が日経と名目GDPの比率

上のグラフの青い線は名目GDP1兆円に対して日経平均株価はいくつ上がるのかを示している表です。

見てもらうと分かりますが、驚くほどの相関関係があることが分かります。

この、株価が上がれば上がるほど実体経済と株式市場の乖離が開いていく現象を逆手にとって名目GDPから日経平均株価を算出しようじゃないかというのが、このページの目的です。

なぜ、株価が上がれば上がるほど実体経済と金融経済の乖離が広がるのか

ここで疑問が浮かびます。なぜ株価が上がれば上がるほど、実体経済と株式市場の乖離が広がるのでしょうか？

これは、株式市場が実態経済の騰落を過剰に反映するからではと考えられます。

もっと言ってしまえば、実体経済に対する株式市場の影響が増えるという事になります。

これは

三面等価の法則の生産＝所得＝支出

支出面から見たGDP需要項目別分解

IS方程式　Y=C+I+G+(X-M)

GDP=消費＋投資＋政府支出＋（輸出－輸入）

この投資の部分が膨れ上がることになります。

経済学者のトマ・ピケティという人が出した「21世紀の資本論」という本の中で「資本主義の基本的な性格として、資本収益率は経済成長率より常に大きい」という結論を導きだしていますが、資本主義の本質が日経平均株価÷名目GDPという式に現れてる気がしてなりません（実体経済が大きくなればなるほど、それ以上に株式市場が上昇する）

即ち、日経平均株価÷名目GDPというのは、貧富の差を表している言えると考えています。（明確に調べてるわけではありません）

正直これを論じてる論文も無ければレポートもないですし、WEBサイトや雑誌、有識者も誰も言ってないので、僕の感想でしかありません。

そもそも、この比率の相関性から日経平均株価を予測している人は僕しかいない状況なので、これを論じてる人がいないのは当たり前です。

ちなみに、このデータに名付けるならば、「貧富の差推理指数」や「資本家有利指数」と名前を付けておきます。文句ある人は回れ右して帰ってください。

日経平均株価と貧富の差推理指数の相関係数と決定係数

相関係数は0.92になります。

決定係数は0.852になります。

決定係数は一般的には1 に近いほど強い相関があり、回帰式の精度が高いということになります。決定係数がどれくらいあればよいかという厳密な基準はありませんが、社会事象の
場合には、0.5 以上であれば概ね精度が高く、0.8 以上であれば非常に精度が高いといえます。

貧富の差推理指数を使い日経平均株価を予測する

日経平均株価と貧富の差推理指数と名目GDPの関係は下のような関係式になります。

名目GDP＝日経平均株価÷貧富の差推理指数

日経平均株価＝名目GDP×貧富の差推理指数

貧富の差推理指数＝日経平均株価÷名目GDP

この関係式から名目GDPと日経平均株価を予測する表を作る事が出来ます。

名目GDPから日経平均株価の最高値を予測する

下の表は名目GDPか推測できる高値を出しています。

これは、名目GDPから計算し、過去にこれ以上上がった事の無い数字です。

要するに統計上これ以上上がる事がない価格を算出しています。

名目GDPから日経平均株価の最安値を予測する

下の表は名目GDPから推測できる安値を出しています。

これは、名目GDPから計算し、過去にこれ以上下がったことの無い数字です。

要するに統計上これ以上下がる事がない価格を算出しています。

2019年12月27日時点から推測出来る日経平均株価の高値と安値

まず、内閣府のページから名目GDPを調べます。

現状は559．2兆円であることが分かります。

なので、18,812円～25,531円の間で推移するだろうと言うことが分かるわけです。

この最安値と最高値は過去にこれ以上上がったことの無い数字とこれ以上下がったことの無い数字と言うことになります。