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【大相撲】

[北の富士コラム]はっきり言って私の正代像は“もう終わった力士”だった…先場所あたりからの大化けには驚くばかり

2020年1月21日 21時35分

松鳳山を攻める正代(右)

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◇大相撲初場所10日目(21日・両国国技館)

 遠来の友が観戦に来たので、相撲の打ち出し後に飯を食べに行きました。いきなり飯というのも大人げないので、付き合ってほんの少しやってきました。すきっ腹で少し酔っています。

 では、正代と松鳳山の一番。松鳳山は馬力とうまさを兼ね備えた好力士。正代にとっても、決して油断はできない相手であった。立ち合い、正代は相手の変化でも警戒したのか、見て立つ。松鳳山はもろ差しを狙って右を差し、左も巻き替えに出た。正代はまるで予期していたかのように右から強烈に攻めると、松鳳山の体が一瞬、フワリと浮き上がった。正代は、なおも前に出て軽々と押し出した。

 実に豪快な相撲に、私は驚くばかりだ。私の正代像は持てる素質を持て余し、消極的な相撲しか取れない気の弱い力士。もっとはっきり言わせてもらうと、もう終わった力士だった。年齢も28歳と決して若くはない。それが、先場所あたりから大化けしてきたのだから、驚いたのは私だけではないだろう。先場所より今場所の方が、さらに力強い相撲になっている。

 良くなった点は、立ち合いにあることだけは確かである。胸を出し、あごを上げる立ち合いが前傾姿勢となり、腰が低くなり、踏み込みが鋭くなった。差し身はもともと悪くはなく、突っ張りもある。足腰の柔らかさ、重さも申し分ない。まさに「宝の持ち腐れ」であった。

 それが、どうして改善されたのかが問題である。誰かにアドバイスされたのか、自覚したのか。この強さは一時的なものか本物か、大いに気になるところだ。とにかく今場所は絶好調。すでに、これと言った強敵はいない。しかし、優勝となると平常心では取れなくなるものである。残る5番は精神力の勝負となる。

 おっと失礼、徳勝龍を忘れていた。いつの間にか1敗でついてきているではないか。ただ、上位との対戦が組まれることは必定である。このままでは済まされまい。やはり正代が紙一重で有利だろう。

 心配していたように、話が支離滅裂となってしまった。私は炎鵬と貴景勝の一番を書きたかったのに、申し訳ない。少しだけ言わせてください。貴景勝は、やはり強かった。炎鵬のかく乱戦法も全く通じなかった。炎鵬が貴景勝から1勝を挙げるのは、何年かかるか分からない。でも、11日目の朝乃山戦は勝てる要素が大いにある。朝乃山はかなり自信を失っている。頑張れ、炎鵬。(元横綱)

 

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