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おサイフケータイの進化版、「タッチレス決済」を試した

iPhone 11シリーズでひっそり搭載の無線規格「UWB」を活用

石井徹(TORU ISHII)
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ドコモオープンハウス
おサイフケータイのFeliCa技術を開発したソニーは今、FeliCaを応用した「タッチレス決済」の技術を検証しています。NTTドコモの技術紹介イベント「DOCOMO Open House 2020」にて、タッチレス決済を試してみました。

「タッチレス決済」は、"次世代のおサイフケータイ"の候補となる技術で、ソニーの事業会社イメージングプロダクツ&ソリューションズとNTTドコモが共同で開発しています。カードリーダーにかざす必要があるこれまでのFeliCaと異なる点は、特定の場所に"立つだけ"で決済や情報配信、ロック解除などができることです。

会場では決済やクルマのロック解除、ドライブスルーの情報配信、サイネージの前で広告配信という4つのシーンを想定した展示をおこなっていました。いずれも特定の場所に実験用のスマホを持って立つと反応し、決済や情報配信といったアクションが実行されるという内容です。検出が上手くいかなかったりすることはあるものの、おおよそスムーズに反応して、ロック解除や決済の動作が(模擬的に)行われていました。


ドコモオープンハウス FeliCaでタッチレス決済▲クルマの前に立つだけでロック解除

現代のスマホに搭載されているFeliCaでは、無線通信規格にNFCを採用し、カードリーダーから数センチまで近づけて無線通信を行います。タッチレス決済ではこの無線部に「超広帯域無線システム(UWB)」という新たな無線技術を採用。数m先の特定の地点に立つだけで反応する仕組みにしています。FeliCaと同様の通信プロトコルを利用することで、セキュリティ面も担保しています。


ドコモオープンハウス FeliCaでタッチレス決済
▲ドライブスルーに止まるとスマホに注文メニューが配信。商品を選んでそのまま決済もできる、というデモドコモオープンハウス FeliCaでタッチレス決済

ドコモの展示担当者によると、「おサイフケータイが今年で15年ということもあり、新たな技術の発展を検討した中で"タッチレス"というアイデアがでた」と説明しました。

UWBを通信に採用した理由は、数cm単位という高精度な位置測位が可能なことを挙げています。さらに、UWBは最新のiPhone 11シリーズでもひっそりとサポートされており、今後、搭載端末が増えていくと見込まれる点で、有望な候補だったとしています。

ただし、iPhoneのUWBチップはAirDropや未発表製品の「AirTag」のために搭載したものとみられており、現時点ではアプリ開発者向けのSDKは公開されていません。そのためドコモとソニーでは、Androidスマートフォンに外部装着型のUWBアンテナを取り付けて技術的な検証を行っています。実際にサービスが提供されることになった場合も、まずはAndroidスマホから導入される可能性が高そうです。

ドコモオープンハウス FeliCaでタッチレス決済

また、昨年12月にドコモとソニーがタッチレス決済の取り組みを発表する数日前、JR東日本が「タッチレス改札」を検証していることが明らかになりました。これについてドコモ担当者は、全く関連性のない取り組みとしながらも、「JR東日本とも協力して開発できれば......」と期待を寄せました。
 

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