陶器瓦・セキスイ瓦U・セメント瓦・波型
KAWARA
陶器瓦
特徴
-
陶器瓦は戸建て住宅で最も使われている屋根材です。
耐久性は60年近くあり、他の屋根に比べると群を抜いた寿命です。
しかし、耐震性に劣り、台風で不具合がよくおこります。
そのため、近年は施工数が減少傾向です。
意外と知られていないことですが、戸建住宅の構造計算(耐震設計)をする時、”はじめに”確認するのが屋根の重さ(種類)です。
屋根の重さは建物の耐震性と大きく関わります。
瓦屋根は重い屋根に分類され、地震被害に影響を及ぼしやすい屋根です。
耐震化を目的にリフォームする場合は、軽い金属屋根への葺き替えをおすすめします。
-
修理方法
-
葺き替え
瓦棒のリフォームは葺き替えが基本になります
陶器瓦のリフォーム工事は葺き替えが基本となります。陶器瓦の屋根にカバー工法を行うことができません。
屋根瓦の葺き替えとは既存の瓦と野地板(下地)を新しいものに交換する工事のことです。
葺き替えの場合、既存の屋根瓦は撤去し、処分します。新しい屋根材はガルバリウム鋼板製の瓦を用いるのが一般的です。
また、葺き替えを要する屋根は長年の屋根の重みの影響でたわみや歪みが生じているため野地板も交換します。
葺き直しは既存の屋根材を再利用して再施工する工事のことです。陶器(日本)瓦は地震や台風などの影響で、ズレが生じやすい製品です。
葺き直しの際、釘や銅線、接着材、漆喰は新しいものを使用します。瓦のヒビは局所的に差し替えたり、部分補修を行います。
セキスイ瓦U
特徴
-
セキスイかわらUはセキスイグループで販売された40年以上の歴史がある厚型スレート系屋根瓦です。
コロニアルやトタン瓦棒に重ねて張ることができるため、大ヒットしました。しかし、このセキスイかわらUは不具合が多い屋根材として業界で評価されています。原因はアスベストが関わっています。
アスベストが規制され、アスベストを含まれない改質型のセキスイかわらUが1990年8月に販売されました。
しかし、アスベストに代替できるほどの性能が備わっておらず、この時期のセキスイかわらUが販売中止になるほど不具合報告が相次ぎました。
具体的には施工後数年で表面の塗膜が剥離し、ヒビ割れが発生するといった具合です。
アスベストのないセキスイかわらUの上を歩行すると、簡単に瓦が割れてしまうことがよくあります。
現在、セキスイグループは屋根材の製造から撤退しています。 -
修理方法
-
葺き替え
セキスイかわらUのリフォームは葺き替えになります。塗装は不可です。アスベスト入りは塗装によるリフォームも検討できます。
しかし、アスベスト入りは築後30年以上が経年していることが多いため、塗装は現実的な対処ではありません。
最悪のパターンはノンアスベストのセキスイかわらUに塗装することです。塗料メーカーもセキスイかわらUへの塗装は認めていません。
セキスイかわらUへの塗装は意味がありません。塗装業者はこの事実を知っていないことがあります。
セメント瓦
特徴
-
セメントもしくはコンクリートで成型加工した屋根瓦です。
洋風デザインで人気があった「モニエル瓦」もセメント瓦に分類されます。
陶器瓦のような重厚感があり、価格も安いことから広く流通しました。
セメント瓦は陶器瓦と異なり色があせるため、定期的な塗装が必要です。
耐用年数も20年から30年で、陶器瓦には及びません。
セメント瓦は陶器瓦と異なり、アスベストが含まれている商品があります。
重さは陶器瓦と同じであり、耐震設計基準では「重い屋根」に分類されます。
重く耐久性が低いことから、現在ではセメント瓦を使用することはほぼありません。 -
修理方法
-
葺き替え・塗装
現在、セメント瓦を入手することは困難です。セメント瓦のりフォームは塗装もしくは葺き替えになります。あくまでもセメント瓦の塗装は美観維持が目的です。雨漏り防止を考えると、ルーフィングシート(防水シート)を新しくする葺き替えが望ましいです。
葺き替えるで使う屋根材は自由に選択できます。
しかし、耐震性が改善する軽い屋根材への葺き替えが1番おすすめです。
波型
特徴
-
波型スレートは倉庫や工場など大型施設でよく使われています。
駅のプラットホームでもよく使われています。
「波型スレート=アスベスト」といったイメージが定着しています。
しかし、最近の波型スレートにはアスベストは使われていません。 -
修理方法
-
葺き替え・カバー工法
波型スレートのリフォーム方法は「カバー工法」もしくは「葺き替え」になります。
しかし、改修工事が望まれる波型スレートは施工から大分時間が経過しているため、アスベストが含まれているはずです。
アスベスト対策費や工期を考慮するとカバー工法によるリフォームが最適です。
カバー工法には同じ型の波型スレートを用いる方法や、金属屋根を張る方法などがあります。
200m²前後の中規模の屋根であれば「立平」を重ね張りする方法を弊社ではよく採用しています。
しかし、劣化状況や波型スレートの種類によっては「葺き替え」しか選択ができない場合があります。