これを受け、米国はイランに対し鉄鋼やアルミニウムなどの分野で新たな制裁を科した。
また、同月、米国は自国の部隊や利益などに対するイランの脅威に対応するためとして、空母打撃群及び爆撃機部隊などを米中央軍に派遣するなど、両国の間では緊張が高まっていた。
その最中の2019年5月12日にオマーン湾に面したフジャイラ沿岸で4隻の民間船舶が攻撃されるという事件が発生した。米国はイランまたはその代理勢力が実施したと指摘する一方、イランはこれを否定している。
2019年6月13日にホルムズ海峡で日本とノルウェーの運航するタンカー2隻に対して何者かが攻撃するという事件が発生した。この日は、安倍晋三首相がイランの最高指導者アリー・ハメネイ師と会談をしていた当日だった。
同6月20日、米国の無人偵察機がホルムズ海峡上空でイランの地対空ミサイルに撃墜される事案も発生した。
米国は、同機が国際空域で撃墜された旨主張する一方、イランは同機が領空侵犯したために撃墜したと主張している(同上書、184~185頁)。
この無人機撃墜に関しトランプ米大統領は、2019年6月21日朝、ツイッターで、米軍が前日夜にイランへの軍事攻撃の準備を進めていたが、開始10分前に中止させたと発表している。
その理由について、軍事攻撃により150人が犠牲になると聞かされたためとし、「無人機に対する報復としては相応ではない」と述べている。
2019年9月にはサウジアラビアの石油施設がドローンなどの集中攻撃を受け、10月にはイランのタンカーが紅海で攻撃されて爆発炎上するなどの事案が相次いで起こった。
他方2019年には、イランが支援するイエメンのフーシ派によるサウジ国内へのミサイルなどによる攻撃も頻発している。
そのような緊張状態が続く中、冒頭に述べたような一連の事案が昨年末から起こり、終に1月3日のソレイマニ司令官殺害に至った。
このような一連の緊張状態を招く最初のきっかけとなったのは、これまでの経緯から見て、2018年5月のトランプ大統領によるイランとのJCPOA、いわゆる核合意の廃棄にあったと言える。
EU、ドイツ、フランス、英国、ロシア、中国は核合意の存続を目指してきた。また、国際原子力機関(IAEA)からの報告によれば、イランは核合意の条件を順守していた。













