オーガニックレストラン「やさいの庭 Chiisanate(ちいさなて)」を経営しているyoshikiです。
このブログの管理人である私は、かつてハムやソーセージを作る会社で働いていました。
今、私が食の大切さを世の中に発信しているのは、自分自身で食品に大量の添加物を投入していた反省からです。
・ハムやソーセージは、本当にたくさんの添加物が使ってあり危険なの?
・そこで働く社員達は、たくさん添加物を使うことに悪いとは思わないの?
この記事は、このようなことを考えている方のために書きました。
元社員の私から見て、添加物がたくさん含まれる体に悪い食品の中で、ハムやソーセージは間違いなくトップクラスです。
記事を読めば、ハム・ソーセージ製造会社の社員はどのような気持ちで添加物を入れているのか、肉が製品になるまでにどのような魔法がかけられるのかについて理解が深まります。
あなたがいつも食べているハムやソーセージは、お肉の味ではなく添加物の味なのかもしれません。
それでは早速、今日のお話を進めていきましょう。
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「取扱い注意」の大量の白い粉や液体
今の仕事柄、あまり人には話したくありませんが、私がかつて働いていた会社は大手のハム・ソーセージメーカーです。
新卒の22歳で私が配属された部署は、会社の食品を製造する中枢部門である製造部。
工場の中では、見上げる程の大きなミキサーや、剣山のような針がたくさんついた大型機械など、日常では決して見ることのできない機械に囲まれた毎日です。
1回で仕込む肉の量はgやkgではなく、t(トン)の世界。
工場の中では毎日、何トンものお肉がハムやソーセージ、ベーコンなどに加工されています。
そして、工場の中では日々、マスクをした社員が大量の粉や液体をお肉の塊にぶち込み、大型ミキサーで混ぜ込んでいます。
配属されてすぐに、先輩社員に聞いたことがあります。
「この粉や液体は何の役割があるのですか?」と。
すると、その先輩社員は「見た目が綺麗で美味しい製品にするため」と言いました。
そのときは、そっかと納得したのですが、後日、私の中では人生が大きく変わるものを目撃します。
入社して3ケ月頃経ったある日、いつも使っている白い粉が足りなくなり、資材倉庫に初めて足を踏み入れました。
倉庫の中には、箱に入って山積みされた色んな種類の白い粉や液体がありました。
そしてその多くの箱に書いてある記載内容をみると、「取扱い注意!」と書かれてあります。
なぜ、味を美味しくするための白い粉が、そして、人間が口にする食品の原材料が「取扱い注意!」なのか?
その日は仕事中、すごくモヤモヤした気持ちでした。
自宅に帰りすぐにインターネットで、自分が扱っている白い粉や液体の名前を検索窓に打ち込むと・・・・・・
全て、食品添加物と呼ばれるものでした。
リン酸塩、ソルビン酸、亜硝酸ナトリウム、増粘多糖類、・・・・・
恥ずかしい話、新卒で入社した私は、食品添加物の危険性、いやその存在すら今まで気にしたことはなかったのです。
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私は今まで、食や農のあり方や考え方に悩み2回ほど仕事を辞めて、自分で起業しました。その経緯などを「自分に嘘をつけない社会不適格者」で紹介していますのでご参考下さい。
ハムソー業界の利益のカラクリ
ハム・ソーセージなど食肉加工食品を作る業界を、総称して「ハムソー業界」といいます。
ハムソー業界の利益は、食品添加物によって支えられていると言っても過言ではありません。
その最たる例が、量の水増しです。
普通であれば、1kgの豚肉からは1kg以下(概ね800g~900g)程度のハムしかできません。
肉片や血液など、製造の工程で失われていく(使われない)部分があるためです。
しかし、ハムソー業界では何と、1kgから2kgのハムを作ることが可能です。
ハム切ると水分が出てきますが、これは、ハムの中に水が注入されているからです。
豚肉は価格が高いので大量には使えません。
そこで、安価で大量に使える大豆や卵由来のタンパク質を、肉の代わりとして塩水と一緒に注入しまて肉の量を水増しするのです。
しかし、このままでは、当然、注入された水は豚肉から流れ出し、意味がありません。
ここでリン酸塩という魔法の添加物が登場します。
リン酸塩は、注入した水が漏れ出さないように保水用の添加物として、ハムソー業界は大変重宝しています。
これを使うことで、少ない豚肉のタンパク質に、注入された大豆や卵由来のタンパク質をが自然に混ざり、あたかも全てが肉のたんぱく質であるかのように加工できます。
そして、増粘多糖類という添加物を使ってお肉のモチモチ感をアップさせ、少量ですが劇物に指定されている亜硝酸ナトリウムを加えて、綺麗で食欲をそそるピンク色に仕立てます。
このように、少量のお肉からお肉に似た加工食品を2倍程度に増量して作るのに成功し、それが売れれば売れるほど、利益が積み上がっていきます。
そうなんです。
実は、私達が食べているハム、ソーセージ、ベーコンなどの食肉加工製品からは、本物のお肉の味はしないのです。
そして、ここでは細かく説明しませんが、使用される添加物は、基準値を守っているとはいえ、体に悪い危険な添加物ばかりです。
大人だけでなく、子供の味覚や健康にまで影響を及ぼす大量の添加物を使って、ハムやソーセージは作られています。
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ハムやソーセージと似ていますが、サイコロステーキなどの成型肉も同じようなことをして作られます。詳細は「そのお肉、本物ですか?合成された成型肉のお話」で紹介していますのでご参考下さい。
働く社員に罪悪感はないのか?
このような添加物まみれの食品を作る企業、そして、そこで働いている社員には罪悪感はないのでしょうか?
私が会社で見ていた感じでは、本当に何も知らない人、見て見ぬ振りをしている人、耐えきれず辞めていく人の3パターンの人間に分類されます。
本当に何も知らない人
私のような入社したばかり、あるいは、食品を作る製造部には配属されず、営業職や事務職など違う部署で働いている社員です。
この社員たちは、ハム・ソーセージの製造に直接携わる訳ではないため、こんなに大量の添加物が使われているを本当に知りません。
見て見ぬ振りをしている人
本当は、添加物は危険だと知っている人です。
このような社員は、私のように、製造部で働いている社員、あるいは働いたことのある社員が多いです。
「危険だが基準を守り使用しているので大丈夫」と自分に言い聞かせて仕事をしています。
守るのは消費者の健康ではなく、自分の家庭です。
体に悪いと知っているので、自分が作った添加物だらけのハムやソーセージを自分自身、そして大切な家族にたくさん食べて欲しくないと思っています。
耐えきれず辞めていく人
私のような人間です。
日々、自分の手で体に悪い食品を作り、市場に流通させていることに相当の罪悪感とストレスを感じています。
しかし、多くの社員は、守るべき家族がいるため、会社を辞める人はとても少ないです。
私の場合も、まだ独身で守るべき家族がいなく、若かったから辞められたと思います。
もし結婚して子供がいたら、私も「見て見ぬふりをしている人」になっていたでしょう。
自家製手作りソーセージは別格
先日、自宅で手作りソーセージを作りました。
材料は豚肉、天然羊腸、塩、砂糖のみです。
添加物は全く使用していません。
というか、利益など考えず、水増ししない美味しいソーセージを作るためには、このぐらい単純な材料にしかなり得ないのです。
手作りの味は、かつて私が会社で作っていたソーセージとは別格です。
添加物ではなく、しっかりとした肉の味がします。
お肉の旨味が舌にじわぁ~と広がり、舌が喜んでいるのが自分でも分かるのです。
会社で作っていたときのソーセージは、1つ2つ食べれば飽きが来てすぐに食べたくなくなるのですが、手作りソーセージは4~5本食べても全く飽きが来ません。
食卓では息子が笑顔で喜んで食べてくれます。
その横で、「会社を辞めて良かった」と私は思うのです。
まとめ
今日は、かつて私が働いていたハムソー業界についてお話しました。
このような話を知っているかいないかでは、食材選びが大きく違ってきます。
私があなたに一番伝えたいのは、「ハムやソーセージを避けた方がいい」ではなく、「使われている材料をしっかりと見極めて選んで下さい」です。
そのために、先程、手作りソーセージの話をしました。
後は、あなたが日々の買い物で、どのようなハムやソーセージを選ぶかです。
最後までお読みいただきありがとうございました。