満州日日新聞 1919.3.23 (大正8)
満洲粟と高粱
朝鮮大輸出計画
鮮米の移出増加および価格調節の目的を以て朝鮮総督府は京城の三井物産鈴木商店及び斎藤商店に命じ満洲粟の大輸送を計画中なりと云うが
国民新聞 1922.2.7 (大正11)
食糧問題解決一助
鮮米の改良並に増殖の計画
(イ)朝鮮に於ける将来の需要の増加に備える為
(ロ)これによって朝鮮農家経済の発達並に一般経済界の福利の増進を図り
同時に日本全体の食糧政策に向って解決の歩を進むる一助として愈よ朝鮮産米増殖並に改良の計画を樹てた・・・
尚お右の計画によって改良を実施せらるる土地の面積は四十二万七千五百町歩で竣成の暁に増加する産米額の予定は一ケ年約九百万石でその一半は内地に移出し得るのであるが
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00737474&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA
京城日報 1922.8.25 (大正11)
鮮米増産と食糧問題
総督府農務課長 篠原談
総督府の産米増殖計画の原案は未開墾地八十万町歩の中四十万町歩を以後十五年内に開墾し九百万石増収を実現させ内移出数量も年々一千二三百万石に達せしめ度いと云う考えであるが此計画が実現されたあとでも尚四十万町武の未開墾地があるから更にそれに手をつければ内地の食糧問題も当分の解決が出来るつもりである。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00737566&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA
「写」印
欄外に「通商広報」「大正11年」
三月二十五日付在遼陽領事代理副領事木島仙蔵報告
遼陽に於ける雑穀取引状況
・・・粟の朝鮮向積出は茲(ここ)四、五年来急に好況を呈し来るが右は朝鮮当局に於て朝鮮米の内地輸出奨励の為鮮人の代用食料に供せらるゝ為にして京城着一車(三〇噸)約二五百円見当の相場なりし為・・・
アジア歴史資料センター https://www.jacar.go.jp/
レファレンスコード B11091265800 (2画像目)
朝鮮総督府「朝鮮総督府施政年報 大正十二年度」
第八章 農業
四 食糧政策
従来の政策
内地に於ける食糧の需給は近来著しく均衡を失ひたるを以て帝国の版図を一団として其の均衡を図るは国民生活上の重大問題に属するのみならず米の生産額の増減は朝鮮民衆の経済的消長に影響する所大なるを以て各種改良の施設に俟ちて産米の増加を図ると共に麦其の他の雑穀及補食作物の耕作を奨励し其の結果此等農産物の生産比年大に増加し米の輸移出数量の如きも大正十二年に於て併合当年の約五倍に増加するに至れり。
産米増殖計画
・・・本計画完成の暁には約九百万石の産米増加を得べき見込にして之が為延いて約四百六十万石の輸移出力を増加し・・・一面大に朝鮮の経済を利すると共に他面内地食糧問題の解決に寄与する所尠からざるに至るべし
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/975055/118
京城日報 1923.5.16-1923.5.28 (大正12)
朝鮮の産業と交通 (一〜九)
殖産局長 西村保吉
米は古来朝鮮人の主要食料品でありまして、始政当時既に一百万石の生産がありましたが、爾来益々鮮内の糧食を充実せしむると共に輸移出を増加せしめ、殊に内地に於ける食糧の充実を資け併せて農家の経済を向上せしむる目的を以て産額の増加と品質の改良とを講じました。
中外商業新報 1924.10.22-1924.10.23 (大正13)
食糧米の自給策と朝鮮土地改良事業 (上・下)
尾崎敬義
二、糧食米自給三十年計画案
この案の内容の詳細に就ては、未だ発表されて居ないが、大体内地における耕地拡張、現耕地改良、農事改良、朝鮮、台湾の余剰米の移入を以て不足米を補充せんとするものである・・・三十年後の不足米は三千百万石だから、七百万石の不足を生ずることとなる、これは朝鮮台湾からの移入米で補充するというのがこの計画の輪郭らしい
三、三十年計画案弱点と鮮米増殖計画
今朝鮮総督府で出来て居る朝鮮米増殖計画の大要を紹介して見ようと思う。・・・また本計画実行完成の暁、内地へ移入せらるべき六百万石を内地で増収するとして、これに要する開発費はといえば約五億七千万円である、それが三億円で済むのであるから、以て如何に鮮米増殖計画が国家的に有利たるかが明瞭に□ると思う。
四、内地糧食米としての鮮米
或いは朝鮮米の品質に就て、内地米より非常に劣るから、内地向の需要に適するや否やと疑う人があるかも知れぬが、朝鮮米は決して品質において内地米に劣らぬと断言出来る。
五、朝鮮土地改良と政府の補助金
今少し帝国領土の全般に亘り国民経済上の立場よりして帝国の糧食米自給根本策を考えれば朝鮮の土地改良に依り、朝鮮産米増殖計画実行が如何に急務なるかは自ら明白になるのである
六、土地開拓資金としての低利資金
・・・これに就ても是非政府も民間も共に努力実現を期し、以て帝国の糧食問題の解決に一大貢献をなし、同時にこれに依り朝鮮自体の経済上の発展をも図ることとせねばならぬと思う。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00737936&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA
時事新報 1924.10.25 (大正13)
農商務省で内定した明年度米緩和方針
鮮米外米輸入促進と台湾産米の奨励
之には満洲産の粟並に外米を朝鮮に多量に送って朝鮮米を漸次内地に移入せしむることを計るのであって
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中外商業新報 1924.12.6 (大正13)
三億の巨資を投じ鮮米の増収計画
十五ケ年後には産額三千万石
内地への移出力増大
東洋拓殖会社は内地食糧問題の解決に資すべく朝鮮所在土地の開拓計画に着手したがその具体的決定は久保田総裁の帰京後に協議決定のはずである、即ち朝鮮総督府は三億円の経費で十五ケ年間に四十二万七千五百町歩の永田を開発し約九百万石の増収を図ればその開発だけによっても内地に対し従来より少くとも六百万石だけ多くの米を供給し得ることとなる、加うるに既成田と種子の改良や、地目の変換、肥料の適当な使用によって朝鮮における十五ケ年後の米の実収高は優に三千万石にも達すべく、随って内地に対して年約千数十万石をも供給し得ることになろう、殊に土地開墾、干拓、地目変換、既成田改良費等何れも内地に比し三分の一乃至六分の一で充分足りるからこの計画を樹てたのであるが
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大阪朝日新聞 1926.3.3 (大正15)
細民も小農も苦しむ
利得するは大農ばかり
外米商の…関税引上反対理由
朝鮮米の内地移出増加に伴い代用食料品として外米および満洲粟の輸入とみに増大しているが外米の輸入関税を引上ることになれば鮮内の代用食料品の自給に多大の影響を及ぼすため当業者は重大視している、
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大阪朝日新聞 1926.4.21 (大正15)
『第一次的に鮮米を』
内地米不足時の買付方針
農林省総督府間の成案
朝鮮米の内地移出増加と産米増殖計画の実現に伴い鮮米を内地米と外米との中間的取扱をなし内地における米穀需給調節に資せんとする具体案は農林省と朝鮮総督府において調査中のところこの程ようやく成案を得るに至った模様であるが、その内容は
一、内地米不作の場合内地移入の鮮米買上げ
二、内地米供給不足の場合第一次的に鮮米をあて、鮮米だけで補充し得ぬ時は第二次の対策として外米を買付けること
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中央朝鮮協会「朝鮮産米の増殖計画」大正十五年七月十一日発行 ※1926年
朝鮮産米の増殖計画
第一章 朝鮮産米増殖の国家的意義
朝鮮総督府の大正十五年度特別会計予算が第五十一回帝国議会を通過して、予ての懸案であった朝鮮産米増殖計画が具体的に確定し国家事業として実行の第一歩を踏み出すこととなった。・・・故に先づこの朝鮮産米増殖事業なるものはどういふ必要から計画され、それがどういふ効果を国に及ぼすものであるかを簡略に説明しやう。それには国家的に我国全体の立場と地方的に朝鮮それ自体の立場との両様の見地から考察しなければならぬ。
一、我国の人口増加に伴ふ食糧問題に対する有力なる解決方法の一たること
我が日本内地の人口は年々七十万人からの自然増加を告げて居る。今日では世界の文明国中我国は白耳義と共に人口の稠密なることにおいて敢て第一位たらざるまでも二位を下らない状態である。この人口問題こそは現代日本を駆りて一大経済的難境に陥らしめつゝあるもので、・・・さすればこの人口を養ふところの食糧を何れに求むべきか。
我が国民の主食物は米である。その米が内地で年に約六千五百万石消費される。ところが内地の米産高は年に五千八百万石位であるから、すでに国民の主食たる米の供給は不足して居る。その不足分は他の帝国版図及び外国からの供給で充たすより外に致方ない有様である。・・・それであるから、我国の食糧問題の解決を計るには、先づ何よりも米の生産を殖やすことを眼目とし、これに向って主力を注がねばならぬ。それにはいろいろの方法を講じなければならぬが、就中後に説き示すやうに、朝鮮といふ米産地方が将来まだまだ沢山に米の増収を期待し得べき余地に富んで居るから、少しも早くこの朝鮮に徹底的の施設をなし、帝国の食糧問題解決上有力な手助けにしやうといふのが、この朝鮮産米増殖計画の重要なる趣旨の一である。
二、国際貸借決済の上に効果の大なること
内地の米が不足だから朝鮮台湾の米を持って来る。それでもまだ不足だから外国米を輸入して漸やく補充して居る。外米の輸入は年々三百万石内外で、昨大正十余年には約五百万石の多量に上った。五百万石と云へば価額にして一億二千万円からになり、輸入品の中でも価額から見ると重要な地位を占めて居るのである。我が外国貿易は欧州大戦中は連年輸出超過の盛況であったが、大正八年以降は形勢逆転して毎年輸入超過で十三年の如きは六億四千万円といふ大入超を見た。かやうな状態であるから、近年我国は国際貸借の決済上甚だ不利な立場に陥って居る。・・・政府の調査によっても我国はまだまだ産米増殖の余地があり、内地においてもさうであるが殊に朝鮮においては更に一層の余裕がある。適当な施設をしたならば、年に三百万石や五百万石の外米輸入を防遏することは決して困難ではない。然らば毎年一億円からの外米輸入を止めるのであるから、国際貸借の決済上非常な利益であり、それが我国の財政経済に及ぼす好影響は頗る大なるものがあらう。この見地よりしても朝鮮の産米増殖計画が重要なる国家的意義を有することが判る。
以上は我国全体の立場より見たる朝鮮産米増殖計画の主なる意義効果であるが、今一つ見落してはならない事がある。
三、移民政策上に効果少からざること
人口の増加はすでに我が国民生活の脅威であり、移民問題は今や朝野の間に切実なる問題となって居る。・・・太平洋彼岸の大陸では東洋移民に対して厳重に門戸を鎖し、濠洲大陸では「白人濠洲」主義の下に有色人種入るべからずの禁制札を立て、南米にせよ南洋にせよ白人殊にアングロサキソンの勢力が根を張って居る所には到底肩身広くは東洋人がはいり行けない今日である。国民の外国移住といふことは最早大規模にはできない時勢となった。・・・今回の朝鮮産米増殖計画なるものは、相当広い面積の新耕作地を造ることになるから、此の計画に伴うて可なり多数の移民を内地から招くことができ、しかもそれは何等朝鮮人の生活を圧迫するものではない。これ此の産米増殖計画が内地人口の対朝鮮移植策として最も自然的な且つ穏当な一方法と認められる所以である。
さて如何に朝鮮の米を殖やしたところでそれがたゞ内地のためにのみ利益であって、朝鮮がその恵沢を受けないとすれば、此計画は内地のために朝鮮を犠牲にするものである。左様な利己的な計画は国策として行ふべからざるものである。然らばそれは朝鮮にとりて如何なる副利をもたらすものであるか。
一、朝鮮経済の向上に大なる効果あること
(略)
二、朝鮮内の米の需要増加に順応し得ること
(略)
三、朝鮮の農事改良上に好影響あること
(略)
四、朝鮮統治上に好影響あること
・・・総督政治が施されて、一視同仁平等無差別の文化政治が行はれて居るが往々にして朝鮮人の間に日本の朝鮮統治を咀ひ、不穏の行動に出づる者のあるは、遺憾な次第であるが、もともと、一つの纏まった民族として、数千年の歴史を固有の文化を有し、兎にも角にも曾ては帝国として独立して居た国民であることを思ふ時、朝鮮民族の間に蟠(わだか)まる不平といふものに対しては、特別の考量がなくてはならぬ。・・・茲に吾人の大いに考へねばならぬのは、朝鮮人の不平といふものがその根底は生活の不安にあるといふことである。故に彼等を絶望の淵より救ふには、朝鮮を開発して民衆の福利を増進し、以て安住の境地を得しめるより以外に最善の方法はない。今日間島とか満洲とかさては西伯利亜(シベリア)に散在して、朝鮮統治を非議する朝鮮人の多くは糊口に窮せる者であって、今は彼等も口に排日を唱へるのみでは食って行けないので、何等かの名実を求めて生活の途を得たいといふ風がある。・・・朝鮮産米増殖計画の如きは直接に朝鮮人に仕事を与ふるものであり、米産の増殖によって朝鮮民族に多大の福利を与ふるものであり、従ってその統治上に及ぼす効果は甚大なるものであらう。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1019389/6?tocOpened=1
極秘印
朝鮮総督府「調査資料第二十一輯 朝鮮の言論と世相」1927年
ハ 産米増収と粟飯、草の庵の暮らし(東亜日報大正十四年七月十二日)
当局者が吾々に産米を増収せよと云ひつゝ、又一方には食用米の代りに満洲粟の代用を奨励するのを見ると、又一層産米増収計画の根本精神が何処にあるかを容易に推測されると同時に、所謂「新付民」なる和らかな称号を喰付けて以て「其処に棲んで居る朝鮮人部落民は未だに原始的生活を脱し得ないで草根を常食とし粘土を代食とする」と快々として之を話すから、朝鮮人たる吾人は之を見聞する時にどうして心血が沸騰しないであらう、宿忿が新たにならないで居られやうか。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1147483/52
京城日報 1927.3.9 (昭和2)
年々増加する満洲粟の輸入
関税撤廃論があるが一時的では却て不利
京城商議では七日商業部会を開き右の件を審議したが、速かに関税を撤廃して代用食糧としての粟の多量輸入を図り鮮米を出来るだけ内地に移出するを得策なりとするものと
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矢内原忠雄「朝鮮産米増殖計画に就て」1927年
之はもと農業経済研究第二巻第一号(大正十五年二月五日発行)掲載の拙稿に若干の加筆を為したものである。産米増殖計画は朝鮮に於ける産業政策中最も重要なるもので、且つ内地の政治家実業家学者が食糧問題緩和策として多大の期待をかくるものである。(13・14頁)
加ふるに近年内地の人口激増に対する食糧問題解決の重要が一般に意識せられ、且つ故下村政務総監の産業第一主義に基き朝鮮産業の振興に対する総督府の努力が加はりて、大正十四年に至りて産米増殖計画を立て直して其完成を期するに至った。而して財政緊縮を標榜する政府も食糧問題の重要にかへりみて此計画の実行促進に賛同し之に関する予算案をその期議会(第五十一議会)に提出し可決せられたのである。(280頁)
而して本計画完成の暁には約八百万石の産米増収を得べく、その半額を朝鮮内の人口増加による米消費額の増加に宛つるも、尚内地に対する移出余力三、四百万石を増加し、現在四、五百万石の移出に加へて七、八百万石の朝鮮米内地移出を予想せるものゝ如くである。(282頁)
産米増殖計画の促進理由として総督府の新たに発表せる処は、(一)帝国食糧問題の解決に資すること、(二)貿易関係を順調ならしむること、(三)内地移民問題解決の一助たること、(四)朝鮮に於ける農家経済延ては半島経済の向上を計ること、(五)朝鮮内の需要増加に備へ得ること、(六)一般農事改良の施設に好影響を与へ得ること、(七)思想善導延ては朝鮮統治の上に多大の貢献を為すこと、等々々。産米増殖が如何にして思想善導の効果あるや、其他この促進理由に対しては多くの説明を要求すべき点があるが、要するに大正九年の計画の三大目的として与へられたる「(一)内地食糧問題の解決に資すると共に、(二)鮮内に於ける食糧需要の増加に備へ、且(三)農家経済の向上延ては朝鮮経済の振興を図るにあり」とせられたる処は、依然産米増殖の主要目的たるものと認めねばならない。朝鮮総督府施政年報(大正十二年度)がその食糧政策の項に於て、「内地に於ける食糧の需給は近来著しく均衡を失ひたるを以て帝国の版図を一団として其の均衡を図るは国民生活上の重大問題に属するのみならず米の生産額の増減は朝鮮民衆の経済的消長に影響する所大なるを以て各種改良の施設に俟ちて産米の増加を図ると共に麦其の他の雑穀及補食作物の耕作を奨励し其の結果此等農産物の生産比年大に増加し米の輸移出数量の如きも大正十二年に於て併合当年の約五倍に増加するに至れり」と称し、産米増殖計画を以て其の主要事業と為せるによりても、此の計画の目的の那辺に存するやを察知するを得るであらう。(285・286頁)
然るに朝鮮に於ける食糧の需要は鮮内産出の雑穀による補充を以て尚不足するにより、近年外国米及び満洲粟の輸移入が盛となった。何が故に斯くの如き現象を生じたか。即ち朝鮮産米の内地に対する移出増加による空虚を充たさんが為めに外ならない。「斯の如く米の供給不足せる朝鮮の現状に於て之が代用食たる外国米満州粟等の輸移入は朝鮮に於ける食糧問題解決の上から見て蓋し重要なる使命を有するものである」と朝鮮経済雑誌記者のいへるが如く、内地食糧問題解決に資するが為めに朝鮮産米を移出することによりて、朝鮮自身に食糧問題を生じて来た趣きである。換言すれば内地に於ける米の消費を補充するが為めに、内地自ら若干の外国米及び満州粟を購入消費する代りに品質内地米に近き朝鮮米を移入し、由って生ずる朝鮮内の食糧不足は朝鮮自らをして之を憂へしむるものである。食糧問題の転嫁である。頭隠して尻かくさずである。帝国全体としては食糧自給の問題は解決せられずして残るものと言はねばならない。(293-296頁)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1279716/153
大阪時事新報 1927.10.28 (昭和2)
満蒙産業の積極的開発計画
田中首相と山本満鉄社長会見諒解
山本満鉄社長
今次の帰京は単に満鉄の為と云うのみでなく満洲に於ける我国の利害関係に関する政府との打合せと観られ相当注目されて居る、例えば現在満洲より朝鮮へ三百万石の粟が輸入されて居るが為め朝鮮米三百万石が内地に輸送され六百万石の供給不足にある内地米は之に依って自ら緩和されて居る実情にあるが
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京城日報 1934.8.9 (昭和9)
米と朝鮮
高田米穀顧問の調査報告
併合当時、米一人当り消費量は七斗二升一合であったものが、最近では、四斗八合に激減している、自分は、朝鮮の農家を実地に視察するまでは実に不思議に思っていたが、あの状態では、朝鮮農民は、到底米を食うわけに行かない、と嘆じ、・・・鮮内雑穀の増産著しきのみならじ、巨額の満洲粟を輸入し農村では米よりも雑穀を以て主食物としているのである、
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京城日報 1934.12.16 (昭和9)
進展する南棉北羊策
劃期的農地令、
産米増殖中止
難路を彷徨する蚕業界
朝鮮の産米増殖計画は大正九年以来の伝統的方針であるが外地米問題が発生以来論議の中心となり今後の鮮米問題の成行が憂慮されるにまで至ったので、六月十三日新規事業に対しては総督府は中止を声明した
大阪朝日新聞 1939.12.16(昭和14)
雑穀移出に許可制
朝鮮への移出量確保のため農林当局年内の実施を考慮
朝鮮米を百五十万石内地に移入する代償として朝鮮に内地、満洲より雑穀を三百万石入れる方針に本づき目下農林当局並びに対満事務局では輸移入方法について種々考究中であるが、内地より朝鮮に移出する雑穀についてはその供給確保の方法として農林当局は雑穀の移出許可制を実施すべく目下具体案を作成中であるが、
中外商業新報 1940.1.6-1940.1.25 (昭和15)
輝く日満支農業ブロック (1〜18・完)
米は日本人の常食であるために稲作は農業において最も重要なる地位を占めており、その作付反別は総耕地面積の半ばを突破している、昭和九年より昭和十三年に至る五ヶ年平均の収穫高は六千百七十六万五千百四十三石で、内地消費は凡そ七千万石であり、朝鮮米及び台湾米の移入によってその不足を補っている、昭和十三年の朝鮮米生産額は二千四百十三万八千八百七十四万石、台湾米は九百八十一万六千八百九十九万石であり、同年朝鮮より九百二十六万七千二百四十二万石、台湾より四百七十三万五千七百十六万石を移入している、
支那事変勃発以来節米と栄養の見地から代用食が奨励され、昨年白米食は禁止、七分□制度の実施となり、また酒造米の石高に大削減を行ったが、それを以てしても飯米不足は緩和せず政府は米穀需給不安一掃のため外米輸入計画を樹て第一回分として百二十万石の買付を行い、更に第二段の計画を樹てた、併し米食国日本が戦時平時を通じて常食を確保すべき百年の大計を樹立するためには姑息的な手段を捨て「新しき土」を求めて増産に拍車を加えねばならない国内に作付反別の拡大を図るもこれには限りがある、ここにおいて天然の農業国たる朝鮮及び農業宝庫たる満洲開拓が急務となって来るのである・・・朝鮮においては九百万石の産米増産を期し大正九年に十五ヶ年計画を実施したが、財界の不況に伴う米の消費減、内鮮における大豊作による過剰米の調節のため昭和九年右計画を当分中止することになり、水田増加の抑制等を行ったが支那事変勃発により再び増産の必要に迫られて来た、
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00487527&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1
報知新聞 1941.5.31-1941.6.5 (昭和16)
わが戦時財経策の実体 (1〜3・6〜11・完)
従来の我が食糧政策は内地米穀の過剰生産に加え朝鮮、台湾等の外地米の供給過多から価格に変調を生じ、これが対策に悩まされたが、現在はこの情勢が変化して不足勝ちな食糧を如何に確保、配給するかに移行した
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日本工業新聞 1941.7.1 (昭和16)
食糧消費高を調査
需給対策に根本施策
御協力を切望 調査に就て農林局長談
今年度より(朝鮮)総督府に於きまして食糧農産物等の消費高、調査を実施することとなり、その内容を簡単に御説明致し皆様方の御協力を御願い致したいと存じます、
・・・日満支を一貫した食糧政策を考える時、将来における人口増加、文化経済の向上、各種産業の発達に伴う食糧需要の増加に対し充分なる食糧を供給し得ると云うことは却々容易の業ではないのであります、従って之を解決する為には一面之等農産物の増産を図るべきは勿論のこと、それと共に他面農産物の適格なる消費規正に待たなければならないのであります
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00475223&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA
報知新聞 1941.7.31-1941.8.2 (昭和16)
日満支の食糧事情 (1・2・終)
台湾の巻
顧れば昭和七年頃より、内地が過剰米の措置に窮して、台湾、朝鮮、即ち外地より内地への供給米を極度に制限したことがあった、この余波を喰って台湾も一切の増産への手段を止めた、その結果、折角順調に進捗して来た稲作への熱意は急激に下り、水田が柑橘畑や甘蔗畑になったりした、かかる米作状況の折に支那事変が起り、一昨年の朝鮮の凶作から、遂に内地は米不足を生じた、ここに再び台湾、朝鮮の増産計画が脚光を浴びて登場した
朝鮮の巻
以上の米穀、雑穀の増産五箇年計画は、勿論内外地を貫ぬく食糧綜合政策樹立の一環ではあるが、特に増米計画は不足勝ちな内地へのより多くの供給は勿論のこと、従来満支方面へ日本から供給していた分を地理的に朝鮮が代行する目的であり、一方雑穀の増産計画は従来朝鮮は雑穀については半島の生産のみではその需要を満し得ず、毎年二百数十万石程度の雑穀を満洲及び内地から移入している状態で、この点早急に自給自足の方途を講ずる必要があり、ここに増産計画が生れたものである
京城日報 1941.9.13 (昭和16)
昭和十七米穀年度食糧対策成る
糧穀会社を創設一元的統制へ進む
指定買付人が庭先買付
第十二、消費規定
一、道、府、郡島及邑面は月別糧穀消費計画を作成し置き之を各月に於ける実際消費量に対比し消費の適正を期するものとす
二、代用食、混食の奨励は固より進んで食糧消費量自体を減縮せしめ以て消費規正の徹底を図るものとす
三、農村に於ける主食の白米食移行の趨勢を阻止し都市、農村を通じて遍く消費規正の徹底を期するものとす
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00475232&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA
大阪毎日新聞 1941.10.4 (昭和16)
本年度内地米第一回予想収穫高
五千九百十三万余石
前年実収より二分八厘減
外地米価対策(拓務省発表)
一、朝鮮
(一)米穀生産者に対し石当り約三円前後の奨励金を交附するとともに買入価格を一円方引上ぐる方針をとること
(二)右奨励金は統制米として供出せられたるものに対しこれを交附すること
(三)鮮内消費米価格は概ね現行公定価格を据置くものとすること
(四)本施設は昭和十六年度産米より実行すること
(五)本施設による収入増加分については農村における購買力抑制の趣旨にかんがみ適当なる方法によりこれを貯蓄せしむること
(六)以上の鮮内米価改訂に伴い移出米価格は適当にこれを改訂するよう措置すること
大阪毎日新聞 1941.12.6 (昭和16)
東亜経済懇談会 きょう第二日
鉱物開発、食糧自給
両部会で活溌な論議
竹内拓務省殖産局長
外地食糧生産事情として
一、最近の五ケ年平均では朝鮮から八百万石以上、台湾からは四百万石以上も内地に移入している現状で、朝鮮第二回収穫予想は二千四百五十一万石で昨年より三百万石増、台湾は本年第二期作は四百六十万石で平年より幾分減少しているが来る第一期作は四百五十万石と推定され十七米穀年度は九百万石を超え、帝国全体を通じて不安はない
一、朝鮮、台湾、樺太でも内地同様極力消費を規正し代用食に努めている、しかして最近の移入減少は外地の雑穀の不作並びに輸入不足による米の消費増加によるものでこの点はやむを得ない
一、今後は適地適作主義をとり朝鮮、台湾は勿論樺太、南洋でもそれぞれ馬鈴薯、甜菜、砂糖増産に努力する
石塚朝鮮米穀倉庫社長
朝鮮当面の問題としては出来得る限り内地に多くの米を移出することなので、朝鮮では極力混食消費規正を実施している、とくに朝鮮では習慣上雑穀の食用になんら苦痛を感じないため現在より以上に満洲より雑穀を輸入し米を内地に送る必要がある、これに当って米の供出増加の必要上買附資金は朝鮮のみならず内地からの援助が必要である、朝鮮では内地に比し肥料の使用も少く「水の農業」であり今後の適地適作を相当思い切って実施し増産に邁進する要がある
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00475175&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1&LANG=JA
大阪毎日新聞 1942.4.17 (昭和17)
大東亜共栄圏内の食糧計画
南方の米を優先供給
生産減少は考慮の要
重政農林省総務局長放送
・・・なお朝鮮及び台湾では米穀の増産に主力を注ぐこととし内地に対し相当量の米の供給が出来るように増産計画の遂行を期することとしている、・・・さらに満洲では米ならびに高粱、粟、包米等の雑穀につきその国内自治をはかるのほか、雑穀については朝鮮および北支に対する供給を確保するとともに飼料として一部日本への供給を確保するように生産をはかるを適当と考えている
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00474759&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1
大阪朝日新聞 1942.12.27-1942.12.28(昭和17)
決戦下の食糧政策 (上・下)
一番大きな問題は朝鮮米の移入で、朝鮮は昨年秋は相当豊作であったが今年の春以来旱魃がひどく、この秋の収穫予想は、千五百万石台で平年に比べて八、九百万石の減になっている事情から、本年は朝鮮米の移出はこれを期待することは無理ではないかと思われる、
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?LANG=JA&METAID=10063840&POS=1&TYPE=IMAGE_FILE
日本工業新聞 1943.1.22 (昭和18)
朝鮮の食糧需給
差当り満洲雑穀で補填
鮮満地方食糧事情視察旁々関係当局と打合せのため本月九日以来同地方を旅行中であった石黒農林次官は二十日午後帰京したが特に昨年度に於ける朝鮮の旱害に依る産米減少の対策については日満食糧一体協力体制に基き差当り満洲の雑穀を朝鮮に移入補填することとし石黒次官の旅行に依って満洲国当局との間に話合が纏った、右につき石黒次官は左の如く語った 満洲に於いては鉄、石炭等と共に出来るだけ食糧を供出することが大東亜戦争に協力する最も大きな途として軍官民挙げて努力して居り、そのため農産物の集荷状況は現在のところ好成績を示し数日供出計画も大体実行出来る見込となっている、一方朝鮮は昨年の旱害が相当ひどくそのため集荷、配給、消費規正が徹底的に行われている、南鮮方面の一部を実地に視察したが甚しい所ではドン栗、よもぎ、海草等を混食しているところもあった、而も乏しい中から米供出に誠意を示しているのには胸をうたれた、このため本年度は満洲から或程度食糧補填をする必要があるので農林省としても広く全般的事情を見て善処する考えであるが今回差当り数ヶ月に亘り満洲の大豆その他雑穀を朝鮮へ移入すべく企画院とも打合せの上決定したわけである