夜が明けるのを待っていた。
台風19号の通過から3日が過ぎた昨年10月16日朝。原発事故で生じた除染廃棄物を詰めたフレコンバッグ(保管袋)が川へと流出した、福島県田村市の仮置き場に車を止めて張り込んだ。
前日夕、仮置き場の脇を流れる川を下見したところ、対岸の雑木林に張り付いている、フレコンバッグと見られる黒い袋を見つけた。川が増水していて近づけないが、水量が減れば、きっと環境省の調査団が回収に来る。調査に同行することで、本来安全に管理されなければならない除染廃棄物の仮置き場で一体何が起きたのかを報じたいと思った。
フレコンバッグの流出発覚から2日後の15日、政府は早くも事態を沈静化する方向に動いた。小泉進次郎環境相(38)は同日の参議院予算委員会で「回収されたものは容器に破損はなく、環境への影響はない」と発言していた。
「本当にそう言い切れるのか?」
現場の状況を見る限り、環境相の発言は時期尚早のように思えた。
仮置き場を管理する田村市の担…
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2019年10月、東京電力福島第一原発事故による除染で出た草木など廃棄物が入った袋(フレコンバッグ)が、仮置き場から川に流出した。台風19号による大雨で浸水したためだ。現場では何が起きていたのか。
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