AIがようやく「社会の一員」となる──電通が予想するAIの2020年

2019年秋に発表されたガートナーの「ハイプ・サイクル」では、AI技術は「幻滅期」に入ったことが示された。幻滅期に入ったAIは、2020年、どのように社会に浸透していくのだろうか。電通のグループ横断プロジェクト「AI MIRAI」を統括する児玉拓也氏は、2020年「AIが人間の仕事を奪う」のではなく、「AIを使えない企業が、人間を奪われていく」と指摘する──。同氏による寄稿をお届けする。

みなさん、こんにちは。電通 AI MIRAIの児玉です。

電通のグループ横断プロジェクトである「AI MIRAI」を結成し、さまざまなソリューションの開発や提案に取り組んで早3年。この3年のあいだに、AIを取り巻く環境も大きく変化してきました。電通は「ユーザー企業」と「ソリューション提供企業」の両方の側面を持ちながら、AIを乗りこなすためにさまざまな情報発信をしてきました。

早いもので2020年もすでに3週間経っていますが、遅ればせながら今日は今年のAI業界のトレンドについて、できるだけ電通らしい視点から想像してみたいと思います。

ところで、年末の「紅白歌合戦」に出演(?)された、AIで復活を遂げた美空ひばりさん、ご覧になりましたか?

【AI美空ひばり】紅白出場!制作の舞台裏を描いたNHKスペシャルの拡大版を放送!(外部リンク)

感動した、勇気をもらったという意見から、少し怖いとか、本人が意図にかかわらず「復活」して歌唱することに対する倫理的な意見まで、賛否両論ありましたね。

私はこれを見て、「ああ、本当に2019年らしい、象徴的なプロジェクトだな」と感じました。2018年でもなければ2020年でもない、2019年という年を的確に表わす出来事だったと思います。

そのあたりをとっかかりに、2020年そしてこの先起こるトレンドの2つの大きな方向性について、示唆をしていきたいと思います。

①2020年。AIは、社会課題に立ち向かう。

Photo by Jason Blackeye on Unsplash

ところで、2019年に、AI以外にも大きなトレンドがありました。IoT?量子コンピュータ?それも大事なのですが、私がもっとも気になったのは、「SDGs」をはじめとする社会課題に対する向き合いです。

2019年は、日本におけるSDGs元年ともいえる年でした。かつてより、CSVの重要性やESG投資というキーワードは出ていましたが、2019年はさまざまな企業のあらゆる活動において、SDGsが重要視される年になったと感じています。9月23日の「国連気候アクション・サミット2019」で発せられたグレタさんの演説も大きな話題になりました。「持続可能な社会」「格差の解消」などの社会課題への取り組みは、企業価値を測る大きなテーマとして本年も話題になりつづけるでしょう。

電通の「本業」でもあるマーケティング領域では、「パーパス・ブランディング」がグローバルのトレンドになっています。単なる機能やユーザーメリットだけでなく、そのブランドが目指す「パーパス=社会に対する存在意義」を定義し、共感を通してブランドの資産につなげようというムーブメントです。これも一つの、社会課題に対する立ち向かい方と言えるでしょう。

さて、AI業界はどうでしょうか。

今までは、AI自体のもっていたキャッチ―さ・PR性もあいまって、自社の業務改善から新規事業、純粋なエンターテインメントまで、さまざまなレベルの企業活動が「AI活用」として、玉石混交に発信され続けてきました。AIは話題性の高い、いわば社会の「新参者」として、社会の潮流とは少し離れて、お客様気分で取り扱われてきました。要はちやほやされてきたわけです。

一方で、2019年秋に発表されたガートナーの「ハイプ・サイクル」が示す通り、AI技術そのものは「幻滅期」に入っています。私の理解ですが、これは、決して「ブームが去り、進化にブレーキがかかる」という意味ではありません。「より地に足のついた、価値のある企業活動にフォーカスされていく地道な時期」だと考えています。

ガートナーのハイプ・サイクル。ガートナープレスリリースより

おそらく2020年、そしてこれ以降は、単に「AIを活用しました」だけでなく、また「何を何%改善しました」というだけでもなく、それによって「どんな社会課題を解決したか/しようとしているか」に大きく光があたると予測しています。逆に言うと、もはやAIは社会の新参者ではなく、「社会の一員」としてその責任を果たすべき、という風潮になってくるはずです。そういう意味で、さきほど触れたAI美空ひばりさんはあくまでエンターテインメントであり、それ自体は素晴らしい取り組みではあるものの、「2019年っぽいな」と強く感じるのです。

AI美空ひばりさんが議論を巻き起こしたことで、「AIを使えばポジティブな話題になる」という風潮はどんどん薄くなっていき、倫理の問題や、社会課題に対するスタンスにシビアな視線が向けられていくでしょう。この流れをきちんと読み切らないと、せっかく難易度の高いAI活用を行ったのに社会からマイナスに評価される、ということすら、ありえます。

一方でこの状況はチャンスでもあります。

日本においては、世界一の高齢化社会であること、介護や医療に加え、特に農業・漁業などの第一次産業の持続可能性など、世界でも類をみない、大きな課題を抱えています。AI業界も、もちろんこの領域に立ち向かい、新しいソリューションがつぎつぎと生まれています。

私たち電通も、新しい取り組みを進めています。2019年秋には、福井新聞社、そしてLedge.aiを運営する株式会社レッジと協業して、AI×地方創生のイベントを福井県で行いました。

AIで地方創生!福井で見つけたイノベーションの可能性(外部リンク)

地元企業の皆様の高い志に触れ、確かな手応えを感じるワークショップでした。

参加した各社、各チームが「AIプロジェクト」を発表したTHINK AI in Fukui ワークショップ(THINK AI公式サイトより)

大企業においても、スタートアップにおいても、大都市でも地方でも、AIでどのような課題に立ち向かうか、どのような社会を目指すかが問われてくる。そんな年になりそうです。

②2020年。AI活用は「結果」にコミットしはじめる。

Photo by Ben Rosett on Unsplash

ここまでは比較的ビジョナリーなお話しでしたが、ここからは一気にビジネス寄りの話題になります。

2019年は、政府が大きくAIに舵を切った年でもありました。春には「AI戦略」が閣議決定され、年間25万人の人材育成方針という発表もありました。また、政府がいわゆるDX=デジタルトランスフォーメーションにも力を入れ、DX推進指標とそのガイダンスも発表されています。

経済産業省によるDX推進ウェブサイト(外部リンク)

DXという概念は、「AI」と同じくらい広いので一概に議論はできませんが、ざっくり言うと「自分たちのシゴトをテクノロジーでアップデートし続けろ、さもなくば大変なことになるぞ」という危機意識が表立って叫ばれてきた、そんな年になりました。

2020年は、このような危機感や、AI活用をはじめとする企業の取り組みが、少しずつ「結果」というかたちで表出化してくる年になると考えています。先ほどの一つ目の予測とも重複しますが、ビジネスにおいてもAIは既に「新人」ではなく、しかるべき結果を出しはじめるのです。

「結果」というのは、もちろん収益(売上高、経費)という側面もありますが、それだけを指すのではありません。競合他社との細かなシェア争い、人材獲得競争、従業員満足、そういったところに少しずつ差が出てくる、そんな年になるのではないかと思っています。

2019年にLedge.aiで記事化されたものだと、以下が好例かと思います。

これらのように、工数を削って費用を削減するだけでなく、空いた労働力をCS(お客様価値向上)や営業開拓など、攻めの業務につなげることで、業界内のシェアやトップライン向上にも好影響があるでしょう。大企業の決算報告資料に「AI活用により…」の文字が躍る日も近いかもしれません。

Photo by Husna Miskandar on Unsplash

ほかにもわかりやすく表出するのは、人材獲得競争です。

さまざまな大企業の方とお話しする機会が多いのですが、昨年初頭頃より、AI活用については「一巡した」という感覚を強く持っています。思いつく一通りの実証実験は済ませ、成功した企業は限定的ながら業務への適用をはじめている状況です。

そうすると、同業社の間でも、「AIを導入している企業」と「していない企業」という差が出ます。もちろん、すぐに収益に直結するものと、しないものがあるでしょう。しかし、働いている社員からすれば、「AIでもできる仕事を人間がしている職場」と「AIによってスムーズになった職場」のどちらが魅力的かは自明です。ますます人材の流動化が進む日本で、この差は大きいでしょう。

また、先ほど政府による年間25万人のAI人材育成という方針をご紹介しましたが、彼らの行く末も気になります。2020年、21年に企業に就職する大学生は、大学に入学したのが2016年~2017年になります。そのころには既にAlphaGoが人間を打ち負かし、第3次AIブームの真っただ中です。それを見越して大学での専攻を決めた人も多いでしょう。いわば「AIネイティブ」です。そんな若者にとって、AIを活用している企業とそうでない企業、はたしてどちらに就職したくなるでしょうか。

3月に発表された、政府によるAI戦略(外部リンク)

「ウチはAI人材はいらない」という企業もあるかもしれません。しかし、優秀な25万人がAI人材になるということは、AI人材以外の優秀な人材の競争率が上がるということも、視野に入れるべきでしょう。

まだあります。AIスタートアップは引き続き活況で、資金の流れも活発です。しかし、AI自体が幻滅期に入る、そして大きなスタートアップが資金を集め、規模の経済を活かした力の差が出てくると、スタートアップの間でも「生存競争」がますます激化するでしょう。これまた2019年を象徴する出来事であるWework問題に端を発し、スタートアップ自体への風向きも少し変わってくるかもしれません。

では、AIスタートアップを「卒業」する優秀なAI人材は、その後どこへ行くのか? 日本企業はそこで競争力を発揮できるのか?が強く問われます。

「AIが人間の仕事を奪う」という論調を、驚いたことに2020年になった今でも目にしますが、おそらく逆の状況が起こるのではないかと睨んでいます。つまり、「AIを使えない企業が、人間を奪われていく」のです。

私たち電通グループも、グループ全体としてAI活用を推進していくため、その本気度を伝える大規模な社内イベントを実施しました。

繰り返しになりますが、AI活用の成果は業績だけでは測れません。瞬間的な業績なら、それこそ人力でカバーできることもあるでしょう。オリンピックイヤーに、一時的に活況となる業界や企業もあるでしょう。しかし、さまざまな側面で、企業をとりまく競争は熾烈になっています。AIをはじめとするツールを使いこなし、自分たちの仕事を適切に破壊し、再構築できるかが問われています。

2020年は、その最初の成果が出始める年になるのは間違いないでしょう。

まとめ

私からは、2020年のトレンドとして以下の2つを予想しました。

  • ①2020年。AIは、社会課題に立ち向かう。
    「AIで●●した」のニュースバリューはほとんどなくなり、社会の一員として、厳しい視線で見られる。単なるAI活用ではなく、どのような社会課題に立ち向かうかが問われる年になる。

  • ②2020年。AIは、「結果」にコミットしはじめる。
    AI活用が単なる広告塔、PRではなく、社会の一員として、実際に成果を出し始める。収益だけでなく、人材獲得競争などさまざまな側面で「AIを活用できているか」が問われる年になる。

皆様のイメージと、近かったでしょうか? それとも真逆でしたか?

いずれにせよ、2020年も、AIやその他テクノロジー活用の好事例が出続け、社会と企業にとってポジティブな刺激を与え続ける年になれば、と祈っています。

もちろん、祈っているばかりではありません。AI MIRAIも、電通らしいAIの活用:それは社会課題への取り組みや、事業そのものの変革に、正面から立ち向かっていきたいと思っています。ぜひ、ここまで読んでいただいたみなさまとも、機会があれば新しい取り組みをご一緒できれば幸いです。

2020年が、「社会の一員」となったAIにとって、飛躍の年になりますように!

社内文書をBERT使用の技術でテキスト解析、欲しい資料を1枚単位でレコメンドするサービス発表

自然言語処理技術を用いて、企業のDXをサポートするストックマーク株式会社は、チームで共有されている提案書や企画書などの膨大な資料(パワーポイント、ワードなど)の中から、必要なページを1枚単位でレコメンドする機能「Asales Slide Finder」を1月20日リリースした。

社内文書を1枚単位でレコメンドする「Asales Slide Finder」

営業資料の作成は、

  • 参考にしたい資料がすぐに見つからない
  • まとめ方がわからない
  • 提案ストーリーや構成の検討に時間がかかる

など非効率で属人的な作業と困難がある。また、ホワイトワーカーが、情報収集や資料検索、文書作成にかける時間は、労働時間の約50%を占めると言われている一方、これらの生産性を上げるためのソリューションが提供されていない。

「Asales Slide Finder」は、営業の提案活動における提案書・企画書作成業務の負荷を軽減、ナレッジシェアを促進させることで、営業一人ひとりの生産性を向上させ、組織全体の提案力向上を目指すという。具体的な機能は以下。

  • スライド共有
    提案資料や企画書をアップロードすることで、スライドを1枚単位で共有できる。BoxやSalesforceとも連携が可能。チーム・社内のナレッジを共有し、営業活動における生産性を向上させる。

  • スライド検索
    自然言語処理と画像解析により、スライドに含まれる文字やデザインが似ているスライドを検索可能。1ファイル1ファイルを開いて必要な資料やスライドを探すオペレーションがなくなり、提案活動における業務負荷を大幅に削減し、勝てる資料をすぐに作成できる。

  • 自動タグ付け
    自然言語解析でスライド1枚1枚の内容を自動でタグ付け。提案・企画業務における重要情報に瞬時にアクセスできる。

  • スライドレコメンド
    商談・案件のニーズを元に、過去の受注に繋がったスライドをレコメンドする。組織全体の提案力を底上げし、全員が即戦力になるようサポートする。

Asales Slide Finderの諸機能は、営業業務プロセス支援プラットフォーム「Asales」に搭載される。Asalesは、社内外のテキストデータを自然言語処理で解析し、「営業の生産性向上による、売り上げ拡大」をコンセプトに営業活動全般をサポートする「Asales Basic」「Asales Insights」からなるサービス。

自然言語処理のブレイクするー「BERT」使用の技術で1枚ごとの意味理解

Asales Slide Finderは「今注目されている自然言語処理のブレイクスルーを起こした言語モデル『BERT』を使用した最先端技術と画像解析技術を用い、1枚ごとの意味理解をすることで可能となった新たなサービス(同社広報)」だという。BERTは2019年、Googleの検索サービスにも導入され話題を呼んだ。

Ledge.aiでは過去にストックマーク社にインタビューし、「BERTのすごさ」についても解説してもらった。ぜひ下記の記事にも目を通してほしい。

Source:PR TIMES

青森県庁にAI議事録が導入、人工知能が会議の議事録を自動で作成

1月9日、株式会社イグアスが販売するクラウド型AI議事録作成支援ソリューション「AI Minutes for Enterprise」が青森県庁で採用が決定したと発表された。

青森県公式サイトより

青森県庁ではAI Minutes for Enterpriseの2020年度本格導入を目指し、2019年11月19日~2020年3月31日までの期間、青森県総務部行政経営管理課を中心に全庁内で活用し、使い勝手や効果を検証している。

プレスリリースによれば、青森県庁では日常的に多くの会議が実施され、その議事録手作業で作成している現状では、職員は文字起こしという単純作業に多くの時間を費やさざるを得ず、そのために残業時間が多くなり、ほかの業務を圧迫しているそうだ。

青森県庁ではこの状況を打開するためにAI議事録を活用し、大幅な時間短縮を実現することを狙っている。

また、青森県としては今後、内部業務の議事録作成だけでなく、ろう学校、郷土館等の教育部門での学習・理解支援や観光客対応部門での外国語翻訳支援などの県民に対するサービスや福祉の向上にも活用し、音声や言語に関わる格差の解消という行政課題を解決することを目指しているという。

AI Minutesは同時翻訳も可能(プレスリリースより)

青森県博物館大会にて実証実験中(プレスリリースより)

ピンマイクでスピーチ中(プレスリリースより)

クラウド型AI議事録作成支援ソリューションAI Minutes for Enterpriseの機能は、IBM WatsonのSpeech to Textの機能により自然言語を処理し、マイクを通じて話者の言葉をリアルタイムにテキスト化。編集クライアントによって、複数人で編集可能となり、これまでの長時間の議事録作成時間を大幅に削減する。さらには、トランスレーター機能により、話し言葉を35ヵ国語に同時翻訳でき、外国人が参加する会議でも有効なツールだ。また、議事録のテキストデータはIBMクラウドサーバーにセキュアに保管される。

>>プレスリリース(PR TIMES)

AI議事録の導入は各地で進んでいる

AI議事録の導入は、青森県庁だけではなく全国各地の自治体などで進んでいる。

昨年12月には、茨城県つくば市で会議録などの文字起こし作業を自動化する実験を開始した。

導入までの経緯は青森県庁と同様で、議事録作成業務における業務負荷の軽減だ。従来の議事録作成フローは、職員がICレコーダーで録音データを何度も聞き返しながら作業していたという。

AI議事録作成における認識率の向上(つくば市のプレスリリースより)

文字起こしの作業は、実際の会議時間よりも大幅に時間を必要とする業務。もっとも、会議自体をなくすor減らせば議事録作成業務は必要なくなるのだが、自治体や官公庁となると難しいのだろう。

つくば市や青森県庁のように、徐々にAI議事録が広まれば、議事録作成にかけていた業務時間をほかのサービスに割くことができるはず。それこそ、市区町村をよりよくするための、人にしかできない仕事に時間を充ててもらえるのが一番うれしい限りだ。

AIロボットが接客する居酒屋ついに登場!人工知能ニュースまとめ

日々、目まぐるしく進化、発展を遂げるAI(人工知能)業界。さまざまな企業が新しいサービスを開始したり、実験に取り組んだりしている。

そこで本稿ではLedge.aiで取り上げた、これだけは知っておくべきAIに関する最新ニュースをお届けする。AIの活用事例はもちろん、新たな実証実験にまつわる話など、本稿を読んでおけばAIの動向が見えてくるはずだ。

AI市場は2023年に640億円へ──ITRの市場予測

昨年12月、株式会社アイ・ティ・アールは、「ITR Market View:AI市場2019」として、AI主要6市場(画像認識、音声認識、音声合成、言語解析、検索・探索、翻訳)を対象に、国内33ベンダーへの調査に基づいた2017~2018年度売上げ実績、および2023年度までの売上げ予測を発表した。

AI主要6市場は今後も継続的な伸びが見込まれることから、2018~2023年度のCAGR(年平均成長率)は26.5%、2023年度には640億円に達すると予測している。

AIロボットがカウンターで働く「ゼロ軒めロボ酒場」

1月14日、養老乃瀧株式会社と株式会社QBIT Roboticsは、2020年1月23日(木)から約2ヵ月間、JR池袋駅南口にロボットがカウンターで働く「ゼロ軒めロボ酒場」を開店することを発表した。

ゼロ軒めロボ酒場では、ロボットがお客様の注文を受け、ビールやサワーなどのドリンクを作って提供する。さらには、お客様の表情などをくみ取り、話しかけたり、手を振ったりするなどの接客をするそうだ。

月額25万円で導入後の調整までサポートするチャットボット登場

1月15日、USEN-NEXT GROUPの株式会社 TACTは、AIエンジンによる自然言語処理を用いた新たな自動応答チャットボットサービス「AIコンシェルジュ for チャットボット(AICチャットボット)」の提供開始を発表した。

電話自動応答サービス「AIコンシェルジュ」の運用によって1000万件を超す会話データ分析の実績をもつTACTがクライアントに代わって構築する。さらに、導入後もエラーポイントの発見と改善策を提案し、継続的に精度向上をTACTがサポートしてくれる。

価格は初期費用は25万円~、月額費用は25万円。月額費用には学習データのアップデートやレポーティングも含んでいる。

AI構築プラットフォームを使った受託・内製化支援のコンサルサービス開始

株式会社MatrixFlowは1月16日、プログラミング不要のAI構築プラットフォーム「MatrixFlow)」を活用したAIの受託開発、および内製化支援コンサルティングサービスの受付を開始した。

企業がAIベンダーにAI開発を外注する一般的な受託開発の形式とは異なり、MatrixFlowを通してAI開発を受託・納品する。外注から内製へのシームレスな移行や、MatrixFlowの活用による開発期間の短縮、AI開発後のメンテナンスの容易化などの効果が見込めるという。

スポーツ選手の“便”を解析、どの競技の選手か判別するAI

1月16日、AuB(オーブ)株式会社は、アスリートの便(腸内環境)の解析データをAI(人工知能)に読み込むだけで、サッカー選手か否かを85%の確率で見分けられるようになったと発表した。そのほか、ラグビー選手なら80%、長距離陸上選手なら50%の割合で識別できるそうだ。

この研究結果によって、競技ごとに異なる運動習慣や食習慣が腸内環境に影響を与える可能性が示唆できる、としている。

AIを搭載した約24万円の「鏡」が発売、健康管理やテレビ視聴が可能

1月15日、ファミリーイナダ株式会社は、健康管理システムとAI技術を搭載した次世代型ミラー「AI.Inada.Mirror」を2020年3月上旬から発売すると発表した。

AI.Inada.Mirrorは、美容やファッションから運動やヘルスケア提案などによって、心と身体の健康を提供する次世代型ミラーだ。プレスリリースでは「生活の楽しさから心の健康を提供するとともに、お客様に最適なご提案をAIによって行います」とうたっている。

AIを搭載した約24万円の「鏡」が発売、健康管理やバーチャル試着、テレビ視聴も可能

1月15日、ファミリーイナダ株式会社は、健康管理システムとAI技術を搭載した次世代型ミラー「AI.Inada.Mirror」を2020年3月上旬から発売すると発表した。

AI.Inada.Mirrorは、美容やファッションから運動やヘルスケア提案などによって、心と身体の健康を提供する次世代型ミラーだ。プレスリリースでは「生活の楽しさから心の健康を提供するとともに、お客様に最適なご提案をAIによって行います」とうたっている。

健康のための運動もこのミラーでできるという

さらには、ディスプレイは4K・55インチを採用していて、テレビ視聴やスマートフォンのミラーリング、写真撮影までも可能とのこと。気になる価格は、3980円(税別)×60回。つまりは約24万円。テレビとして使えて、スマートフォンのようにカメラで遊べる、と考えるのもなくはなさそうだ。

ディスプレイのサイズは55インチ。4K映像にも対応している

特徴的な要素は「パーソナルトレーナーシステム」だ。“なりたい自分になれる”をサポートするパーソナルパートナーシステムを搭載し、楽しみながら健康を実現できるという。

たとえば、ファッション。ユーザーが入力した情報に基づき、その人にあったファッションをAIがレコメンドする「バーチャル試着技術」を搭載している。家の中で試着ができるため、さまざまなコーディネートを楽しめそうだ。また、レコメンドされたアイテムは、商品情報が掲出されるためその場ですぐに購入できる。ちなみに、コーディネートの監修にはトップスタイリストの日比理子氏、高橋愛氏、中野翔一氏が携わっている。

ファッション好きなら一日中楽しめそうなコーディネート機能。ファッションECと連携して、このミラー経由で買うと値引き、みたいなシステムがあると人気が出そう

そのほか、運動(ホームフィットネス)や美容、健康などに関して適時レコメンドしてくれるそう。とくに健康分野では、咳や頭痛、不眠など症状に合ったアドバイスを提供してくれるようだ。こちらもファッション同様に、医薬品をミラー内で購入できるという。監修は、鳥取大学医学部 井上貴央名誉教授。

病院に行くまでもないけど、何が原因なのかは気になる……というときに使えそう

>>プレスリリース(PR TIMES)

AIを搭載した「サイネージ」は東京駅で導入されている

ファミリーイナダのように、デジタルデバイスにAIを搭載させ、さまざまな情報を提示してくれるプロダクトは続々と登場している。

昨年10月には、東京駅「グランスタ」のカフェにおける混雑状況をサイネージで確認できるサービスが導入された。株式会社バカンが開発したサービス「VACAN」で、混雑状況をカメラやセンサーで自動検知しサイネージやスマホに表示するものだ。

「とりあえず座って落ち着きたい人」にかなり使えるサイネージ

東京駅のグランスタでは以前から、時間帯によっては空いている飲食店を探すために歩き回ることもあったそうだ。VACANを使うことで、客側も空席探しや待ち時間を減らすことができ、店舗側も運営の効率化を図れる。バカンのリリースによれば、「イートインスペースの利用時の売上比率が上昇、イートインスペースの回転率も向上」したとのこと。

その場に行かなくても空席がわかるというのは大きな安心感を得られる

ユーザーにAIを使わせるというよりも、知らぬ間に使っていたものにAIが搭載されていた、ということこそAI活用のカギを握っていそうだ。

スポーツ選手の“便”を解析すると、どの競技の選手か判別するAIが登場

1月16日、AuB(オーブ)株式会社は、アスリートの便(腸内環境)の解析データをAI(人工知能)に読み込むだけで、サッカー選手か否かを85%の確率で見分けられるようになったと発表した。そのほか、ラグビー選手なら80%、長距離陸上選手なら50%の割合で識別できるそうだ。

この研究結果によって、競技ごとに異なる運動習慣や食習慣が腸内環境に影響を与える可能性が示唆できる、としている。

調査では257人ぶんの「便データ」を使った

AuBは、「腸内細菌の群れ(集合体)である腸内環境(腸内フローラ)の競技ごとの特徴から、その人の競技をAIで分類できる可能性があるのではないか」という仮説を立て、2019年2月から検証を開始した。

今回の調査では、AuBが持つ28競技種目、500人・1000検体以上のアスリートの便データのうち、プロリーグや社会人リーグ、実業団、大学の部活に所属するサッカー選手119人、ラグビー選手83人、長距離陸上選手55人の計257人が対象だ。各人の便の検体からDNAを採取して、その人の腸内に棲む腸内細菌の数や種類、その割合を解析した。

解析したデータのうち、約9割をAIに学習させる。機械学習は、クロスバリデーション(交差検証)という手法を使い、精度を高めているそうだ。その結果、AIの確かさを示すAUCの評価指標は、3競技ともに0.8以上(サッカー:0.83、ラグビー:0.88、長距離陸上:0.80)の高い数値を示した。
※AUCとはAI精度の指標である「AUC(Area Under the Curve)」のこと。最大値は1。
※AUC/0.8以上:非常に高い効果、0.7-0.8:高い効果、0.6-0.7:効果多少あり、0.5-0.6:効果がさほどない。

AIに学習させなかった残りの1割の解析データをテストデータとして競技判定をしたところ、サッカー選手は84.6%、ラグビー選手は80%、長距離陸上選手で50%の正解率となった。

腸内環境から選手のパフォーマンス向上へつなげる

腸内環境は食生活などによって変化するとされる。今回の調査は、いずれかのチームに所属する選手のデータ群を解析しているため、極めて同じ様な食生活をしている可能性があるという。つまり、競技以外のチームとしての特徴がデータに影響していることも考えられるそうだ。

将来的には、被検体を増やして、バイアスを除くと、腸内環境が競技やチームの特徴から外れる選手を簡易的に見つけられそうだ。そうした選手は、当事者の競技軸から外れた腸内環境になっている可能性が高い。そのため、腸内細菌の特徴と選手の課題の関係性を見出しながら腸内改善を意識したコンサルティングで、選手のパフォーマンス向上に寄与できる可能性があるとAuBは睨んでいるようだ。

そもそも、腸内環境が異なれば、太りやすさや、酪酸菌の多さ、腸内フローラの機能の違いがあるという。たとえば、「プロテインを摂取しているが、筋肉が付きにくい」という課題を持つ選手は少なくない。

しかし、腸内環境を見ると筋肉のつきにくい選手は、「腸内細菌の多様性(種類やバランス)」と「筋肉の形成にかかわる菌の数」が低く、「菌の構成が栄養を吸収しにくい状況」にあるという。そうした選手には、管理栄養士が筋肉のつきやすい腸内環境をつくる食事指導をする。この指導によって実際に筋肉をつけた選手もいるそうだ。

中継でも活用されるスポーツでのAI

AuBが取り組むのは選手自身へのコンサルティングなどを目的としたAIの活用だ。いま、選手だけでなく、スポーツ全体においてAIの導入・活用が大きく進んでいる。そのなかでも我々にとって身近なのは「中継」だ。

昨年11月には、ソニービジネスソリューションが開発したAIを活用した音響解析システムをNTTぷららが使い、NTTぷららが制作する卓球「Tリーグ」のダイジェスト番組制作に活用されたニュースがあった。

音声解析AIがボールの音や歓声からラリーシーンや盛り上がりを見せたシーンを抽出することで、ダイジェスト番組の制作をサポート。抽出されたシーンはCSVファイルとして提供される。必要なシーンが自動的に抽出されているため、試合のすべてを見直しながら編集する必要がなく、すぐにダイジェスト番組を制作できるそうだ。