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映画『パラサイト』から見える現実

映画「パラサイト」主演のソン・ガンホ(左)とポン・ジュノ監督 ©AFLO

 いま、韓国映画では、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞にもノミネートされ、世界的な大ヒットとなっています。全員失業中でその日暮らしの生活を送る貧しい一家と、IT企業を経営する超裕福な家庭が対比的に描かれた作品です。映画の中に限らず、いまの韓国社会の至るところで、あまりに極端な格差と無限に競争を強いられる息苦しさが蔓延しているのです。

 文在寅政権が生まれた背景も、この文脈で理解できます。大統領選当時、「崔順実ゲート事件」で、韓国は大きく揺れていました。朴槿恵前大統領の親友だった崔順実被告による収賄、崔被告の娘の名門大学への不正入学事件への不満は、まさに社会を覆う閉塞感、コネによる不平等への怒りの現れでした。そんな状況だからこそ、「機会は平等に、過程は公正に、結果は正義に見合うように」という文政権のスローガンに多くの人が共鳴した。「狂っているような韓国をちゃんと立て直して欲しい」と希望を託したのです。

 ですから、文政権でも曺国(チョ・グク)氏の娘が、高校在学中にコネで論文の共同著者に名を連ねて筆記試験なしで名門大に入学したなどと報じられると、それが大騒動となった。曺氏は法相辞任に追い込まれ、韓国では大きなデモもくり返されました。国外から見れば「単なる不正入学」だとしても、政権を揺るがすほどの大事になってしまうのです。

 韓国社会は、行き過ぎた資本主義と、そこからの揺り戻しの間で、行き先を見失ったまま政治に翻弄され続ける状態が続いています。

 こうした動揺、格差による軋轢は、いまや韓国のみならず日本や世界中の資本主義諸国で生まれつつある現象ではないでしょうか。近未来の自分たちの日常になりうるからこそ、韓国社会のレポートがお互いに解決策を考えていくきっかけになればと願っています。

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