たぱぞうの米国株投資

米国株投資ブログ。某投資顧問のアドバイザー。メディア実績/日経マネー・ヴェリタス・CNBC・ザイなど

投資信託等の二重課税調整制度とはどのような制度なのか

投資信託等の二重課税調整制度とは

 投資信託等の二重課税調整制度が始まりました。

 これは、端的に言うと外国で徴収されていた源泉徴収税が、日本国内で調整される制度です。外国で徴税し、国内でも徴税すると、二重課税になるからです。

 

 2019年12月末までは、円建ての投資信託やETFはこの海外での源泉徴収課税が取り戻せませんでした。しかし、2020年1月以後は取り戻せるようになるということです。

 

 これに関しては、SBI証券さんが大変わかりやすい図を作成されていますので、引用してみましょう。

投資信託等の二重課税調整制度の図解

投資信託等の二重課税調整制度の図解
  • 改正前 手取り72%
  • 改正後 手取り80%

 このようにわりと大きな影響がありますね。さて、こうしたことを踏まえてご質問をご紹介いたします。 

投資信託等の二重課税調整制度開始について

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たぱぞう様

 何時も分かり易い説明、有難うございます。


 40歳半ば迄、投資に興味無く過ごしてきた者です。数年前、勤め先が確定拠出年金を導入し、どうした良いか暗中模索の時にたぱぞう様のブログに巡り合いました。


 お陰さまで、確定拠出年金は順調です。つみたてNISAも始め、浮き沈みもありますがなんとか順調です。


 余剰資金で無理の無い範囲で、たぱぞう様ご推奨のVTIも購入しています。仕事を辞めるのが何時になるか分かりませんが、退職金を受け取るまでに自分の投資スタイルを確立し、退職金を運用出来ればと思います。
(以前の自分であれば考えられない事です)


 しかし、株関係の確定申告は未だした事はありません。何れ額が増えれば確定申告をしなければと思っています。そんな中、たまたま「投資信託等の二重課税調整制度開始」という記事を目にしました。


 自分の読解力では読んでも良い事としか感じられません。そこでお尋ねしたい事が2点あります。

  1. デメリットの有無。
  2. 確定申告の必要性の有無。

お忙しい中、申し訳ありませんがご教授頂ければ幸いです。

メリットしかない投資信託等の二重課税調整制度

 結論から申し上げますと、メリットしかないですね。確定申告も、外国税額控除目的では不要です。損だし、損益通算では必要です。

 

 国際法上の常識である二重課税を回避するために、米国株をはじめとする海外投資をする個人投資家は外国税額控除を行ってきました。海外個別株、海外ETFなどは代表的なものですね。

 

 しかし、分配金を出す国内の投資信託やETFではこれを回避する術がなかったのです。この状態を是正するために導入された制度ということです。

 

 しかし、全てが対象になるわけではありません。条件を満たす投資信託・ETF・REIT・JDRということになります。

 

 条件となるのは、外国資産(株式・不動産等)に投資し、分配金を支払っている投資信託等です。すべての海外投資を行っている投資信託、ETFというわけではないことに注意が必要ですね。

 

 分配金を出していない投資信託の場合は、二重課税とならないという解釈ですね。そのため、分配金を支払っている、という注釈が付くわけです。

 

 低経費率で分配金を出さず投資効率を上げるような投資信託は、今回は無関係となります。

 

 関連してもう一つご質問を紹介しましょう。

MAXIS米国株式(S&P500)上場投信【2558】はどうなるのか

たぱぞう様

初めまして、いつも出勤前にブログ拝読するのが楽しみになっております。

 

 地政学リスクが悪化していますが、高値を更新し続ける米株の強さを実感しておます。恐縮ではありますが、相談に乗っていただけると幸いです。

 

 私は20代後半のサラリーマンをしています。本格的に投資を始めたのは最近ですので、まずは円ベースのETFをと思い1557SPDRを買い付けています。

 

 しかし先日、新しく2558のETFが上場することを知りました。信託報酬が安いようですが、新規上場のため乗り換えに躊躇っています。

 

 たぱぞう様でしたら、どうされますかご相談させて下さい。また調べているうちに、二重課税調整措置のことも知りました。こちらもお考えを聞けたら幸いです。

 長文失礼いたしました。どうぞ宜しくお願いいたします。

【2558】は通常は投資信託等の二重課税調整制度の対象となる

 通常は投資信託等の二重課税調整制度の対象になります。分配金を出すタイプだからです。が、固有の投資信託やETFはそれぞれ直接確認されたほうが確実ですね。

 

 1557も2558も良い商品です。少しでも手数料を安くと考えるならば、長期的に見てMAXIS米国株式(S&P500)上場投信【2558】のほうが良くなる可能性はありますね。しかし、おっしゃるように歴史が浅いです。

 

 実質コスト、トラッキングの精度などは引き続いて注視していく必要がありますね。実績に基づく安定という意味では言うまでもなくまだまだ1557に軍配が上がります。

 

関連記事です。

  住宅ローン控除など暮らしの中で税金に対する感度を高めていくのは大事ですね。こちらは残債の1%が控除されるということで大変大きな制度になっています。実質上のマイナス金利がこれで発揮されるわけです。

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  経費率が如実に下がってきていますから、投資信託での投資というのがベストなように思いますね。そこから、個別株やセクター、あるいはテーマ別の投資を志向するならば一歩進めてドル建て投資となります。 

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  共働き家庭はどのように資産運用を考えていけばよいのかということですね。税金は累進性を持ちますから、一人で多くの年収を得るよりも、共働きで年収を得たほうが世帯年収は同じでも手取りが大きく変わってきますね。

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