いきなりクイズです。これは映画『キセキ』の画像ですが、二つの画像の違いが何なのか分かるでしょうか?
正解は
- 1枚目の画像:レコーディングの作り直しを命じられるシーン
- 2枚目の画像:バンドが解散直前のシーン
です。それ以外の違いは服装と照明の強さのみ。
このように違うシーンを同じ場所で撮影するのって、日本映画あるあるなんです。
日本映画に足りないもの
日本映画にはお金が足りないとはよく言われますが、お金以上に足りないものがあります。それは時間です。まあお金と近い存在ですが。
日本映画の撮影はとにかくハードスケジュール!撮影期間が1か月未満なんて当たり前。しかも人気俳優なら1年で数本の映画に出ます。打ち合わせ期間や公開前の宣伝期間も考えると異常事態です。
例えば2019年は渋川清彦(この人↓)が9本の映画と5本のドラマ(その内1本は主演の連続ドラマ)に出ています。
そんな状況だと出演者を拘束できる時間も超短い。そうなると同じ場所で違うシーンを撮影することでスケジュールを乗り切るわけです。そういう映画は同じ場所が何度も登場します。私はこの現象を場所ループと呼んでいます。
2019年最多の場所ループ
2019年の映画で一番場所ループが激しかったのは『僕の彼女は魔法使い』です。大さん橋国際客船ターミナルが6回、別々のシーンで登場します。
「2019年最多」は私が鑑賞した作品に限った話なので、これを超える映画があるかもしれません。
室内撮影だともっと多い
2018年の『恋は雨上がりのように』は小松菜奈が控室で食事するシーンが6回あります。画像は全部別のシーンです。小道具のサンドイッチまで同じです。ファミレスを舞台にした映画とはいえ、同じサンドイッチの食事シーンが6回も出てくるので場所ループ感と違和感はかなり強いです。
しかも小松菜奈が食事しないシーンも含めるともっと増えます。
場所ループが一番激しい映画
私が観てきた映画で場所ループがもっとも発生しまくる映画が『となりの怪物くん』です。何度も何度も同じ場所が違うシーンで使われます。特に歩道橋が7回と断トツに多い。↓は同じ画像に見えるかもしれませんが誕生日・卒業式・家族の秘密が明らかになるシーンという風に全部違うシーンです。
時間が無いと増えるモノ
で、時間が無いと増えるモノがあります。それは食事シーンです。
私は以前から日本映画に対して、ある疑問を持っていました。それは食事シーンがやたら多いことです。前述の『恋は雨上がりのように』だと大泉洋の食事シーンが3回、『となりの怪物くん』だと菅田将輝の食事シーンが4回もあるんですよね。
これは私の推測ですが、撮影スケジュールが厳しすぎるので人気俳優には食事しながら撮影してもらっているんじゃないかと思っています。
もう一つ理由があります。日本映画はバスと屋上といった場所での撮影が多いんですが、それ以上に多いロケ地が飲食店なんです。飲食店ならセットを組まずとも店を借りるだけでOK、だから必然的に食事シーンが多いのかも。
場所ループを私はそれほど否定的には捉えておらず、現場の工夫だと思っています。