こんにちは、コメディアンのあきおです。フェミニスト・コメディ・ユニット、ハッカパイプスのひとりとして活動しています。
インディーズで細々とライブを行ったり、コンテンツについて好き勝手に語らう記事をWeb上に書いたりしていますが、聞いたこともないという方がほとんどではないかな。売れようと思って宣伝したり、一生懸命仕事取りに行ったりしてるわけじゃないからね。
出演いかがと声をかけてもらったら、まず先方はフェミか? 少なくともセクシズムに加担していないか!? ってチェック(お互いのためにね!)して、ただでさえ少ない仕事の中からさらに選ぶし、そもそもそんなに売れようとも思ってないからね。
大っぴらにフェミニストでーすと看板に出しながら活動しているだけでも、いつセクシストやレイシスト(ほとんどの場合併発してるけど)の鉄砲玉に突撃されるかわからないじゃない! フェミのみなさんならこの恐怖感じたことあるはず。悲しいぜ、悔しいぜ、でもいまこの国はまだそんな状況! ジェンダーギャップ指数121位(2019年時点)はダテじゃないよ。
ハッカパイプスのネタの種は、普段フェミ仲間と話しているときに生まれるものがほとんど。雑談もだいたい「こういうセクシストがいた」っていう愚痴、目撃情報、被害報告から始まるから。で、「あるある!」みたいな。セクシストってパターンが決まってるから、それ自体あるあるネタなんだよね。フェミが集まるとネタも集まるわけ。
社会的弱者、女性やマイノリティの人々が受けている不当な差別を笑いに昇華して、疲れたフェミニストを癒すこと。これが私のフェミニスト・コメディアンとしての当面の目標です。
日本のお笑い、もう観れない。
さて、フェミだち(フェミともだちの略)と集まって話していると、みんな口をそろえていうのが「テレビのお笑い、もう観れない」。テレビっていうのは、地上波で放送される映像コンテンツのこと。ネタ番組だけでなく、バラエティ番組、ニュースショーでさえコメンテーターとしてお笑い芸人が出ている昨今、これはツライよね。
かくいう私も昔はお笑い番組が大好きでした。ボキャ天、オンバト……いま中堅やベテランといわれる芸人のお歴々が新人といわれていたころか。イジリの名のもとに行われる差別やいじめ。ひとの容姿や体型、恋人の有無や既婚・未婚など、プライバシーに関わることにすぐ口出しする。弱者を笑いものにするこの日本のお笑いのスタイル。ウン、もう観れない。
いまも、ほとんど変わっていない。社会問題への無知でフザけた見方も。ついこの間だって実力も人気も経験値もある漫才師が、あろうことか電車内の痴漢を笑いのネタにしやがった。
痴漢冤罪を「ネタ」にしてしまう漫才と『スカッとジャパン』 痴漢が趣味で娯楽だった時代はまだ続いているのか?
痴漢という性暴力は、かつて「犯罪」と認識されておらず、趣味のひとつ程度のものだった……何十年も前の雑誌や新聞記事を読み解き、痴漢を娯楽にしていた日本社…