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「地震に強い 屋根にしたい」について

2018.09.18瓦と地震

地震が起きた時、瓦は重いから危険!ってホント?


1.はじめに

2018年6月に起きた大阪北部での震度6弱の地震で、多くの方や住宅が被害に遭われました。特に、住宅の被害で目に付いたのが瓦屋根の倒壊です。
そうした立て続けの震災の影響でしょうか、最近では重たい瓦屋根ではなく、
軽い金属屋根に葺き替える方が多いようです。

地震対策に軽い屋根を!という方の気持ちは理解できます。


しかし、一度待ったをかけさせてください!


耐震性にばかり目が行ってしまい、そのほかの性能を見落としていませんか?


屋根材を決めるときは、工事店の方としっかり話し合って、
屋根材の長所短所をしっかり理解したうえで工事をしていただきたいところです。


そのうえで、何を重視するのか、決めていただくのがベストではないでしょうか。


ということで今回は、瓦屋根・金属屋根・ROOGA(ルーガ)の三つの屋根をいろいろな角度から比較してみたいと思います。

2.瓦屋根・金属屋根・ROOGAの耐震性能比較

屋根材の耐震性と銘打ちましたが、
耐震性とは屋根材というよりも、建物全体に対しての言葉です。

一般に建物は軽いほど耐震性が良くなる、と言われています。


なるほど、じゃあ瓦よりも金属屋根の方がいいんだ!と思うのは少し違います。
屋根は建物(の壁や柱)に支えられていますよね。


そう、実は耐震性を決定する最も大きな要素は、建物自体の耐震性です。
なので、屋根材の重さだけに気を付ければよい、というわけではないのです。


耐震性の比較のためには、「地震力」を求めないといけません。
地震力とは、地震が起きた際に、建物に対して水平方向にかかる力のことです。
この地震力はカンタンに説明すると、建物の重量×地震の強さ(係数)で求められます。


今回はわかりやすく、屋根の広さ100m²、重量15トンの住宅(木造一階建て)に3種類の屋根材(瓦、金属、ROOGA)を乗せたとして計算しましょう。
ちなみに、この15トンは、屋根材は除いた一般的な住宅の重量になっています。


15トンにそれぞれの屋根材の重さを乗せて場合の地震力の比較を、下のグラフにまとめました。

結果を見ると、屋根材が違っても地震力にあまり大きな差はないように見えます。
例えば瓦屋根と金属屋根では5KN違うのですが、この5KNの差ってどの程度のものなのでしょうか?

建物は、地震力をもとにして「耐力壁」と呼ばれる、建物を支える壁の量を決定しています。
耐力壁は地震力に抵抗して、建物を支える役割を持っているのです。


今回は、耐力壁を『長さ1mの構造用合板(材質としてはベニヤ板に近い)』として計算してみました。
長さ1mの構造用合板は、一か所(一枚)当たり4.9KNの地震力に耐えられます。
耐力壁の耐久力が、地震力を上回れば、耐震性を確保することができます。
それを踏まえて計算すると、瓦屋根では、36KNの地震力に対して8か所に耐力壁を設置すれば問題ありません。
一方、金属屋根では、31KNの地震力に対して7か所の耐力壁を設置すれば、数値上問題ありません。
ROOGAでは金属屋根と同様に、33KNの地震力に対して7か所の耐力壁の設置が必要です。


耐震性能の比較、いかがでしょうか。
もちろん、建物自体の重量が増えていけば、違いは出てきます。
しかし、一般住宅のレベルであれば、屋根材の重量によって地震に耐えられるかどうかを左右するようなことは起こりにくい可能性があります。
屋根材選びの際には、ご自身の住宅の耐震性能を把握することが大切ですね。


【結論】
耐震性としては金属屋根>ROOGA>瓦屋根 となりました。
耐震性を重視するならば、金属屋根を選択するのが無難です。

3.瓦・金属・ROOGAの快適性能、耐久性能比較

耐震性については、どの屋根材でもそれほど大きな差は出ないという結果になりました。
では、快適性や耐久性ではどうでしょうか。
3種類の屋根材を、快適性と耐久性に注目してメリット・デメリットを調べました。
◆瓦屋根
メリット:
・耐久性が高い(30~60年メンテナンスフリー)
・遮音性が高い
・断熱性が高い
デメリット:
・重い(耐震性が低い)

◆金属屋根
メリット:
・屋根の傾斜が緩くても対応できる
・瓦よりもRoogaよりも軽い(耐震性が高い)
・加工しやすく様々な屋根に対応できる
デメリット:
・雨音が響きやすい(遮音性が低い)
・夏場室内が高温になる(断熱性が低い)


ROOGA
メリット:
・衝撃に強い(割れにくい)
・瓦と同程度の遮音性と断熱性
・デザインが豊富
・瓦屋根より軽い
デメリット:
・使用実績が少ない
・高価
・金属屋根より重い


【結論】
屋根材によって一長一短です。何を重視するのかで変わってきます。
快適性では瓦屋根、耐震性では金属屋根、ROOGAはその中間といったところでしょうか。
とはいえ、先ほどの計算の通り、瓦屋根でも住宅自体の耐震性が高ければ心配ありません。
一方で金属屋根も、施工方法を工夫することで、断熱性や遮音性を高めることも可能です。


そしてここで上げたメリット・デメリットは一般的なものですので、瓦だから絶対に地震で崩れる!だとか、金属屋根だから絶対に夏は暑い!とは、必ずしも言えません。
最新の施工方法では、瓦は一枚一枚釘を打ってしっかりと止めるので、少々の揺れでは落ちません。
金属屋根は、ペフ(薄い断熱材)を張って断熱性を高めるといった施工方法も行われているようです。


今後の屋根材や施工方法の進化に期待しましょう!

4.まとめ

屋根材の性能の比較、いかがだったでしょうか。
震災の影響もあり、それぞれに屋根材選びにおいて重視したいことがあると思います。
それは、耐震性や快適性、デザインなど様々でしょう。
しかし、一つの要素にのみ注目して選んでしまうと、こんなはずではなかったのに、といった事態が起こってしまうかもしれません。
そんな事態にならないためにも、屋根材選びは屋根工事店に相談しましょう。
あなたが重視していることをしっかりと伝えれば、きっとそれにピッタリの提案をしてくれます。
もし、皆さんが屋根の葺き替えを検討しておられるのであれば、ぜひ一度「やねいろは」までご連絡ください!

参考
・一般社団法人全日本瓦工事業連盟、「瓦屋根工事技士研修用テキスト」、2001年7月31日


・住まいの水先案内人、地震に軽い建物がよい理由(検索日:2018/7/20)
http://www.ads-network.co.jp/taishinsei/toukyuu-04.htm


・瓦屋根ドットコム、耐震性・耐風性・軽量化を実現【Cera-Mount(セラマウント) 防災瓦】三州野安株式会社(検索日:2018/7/20)
http://www.kawarayane.com/gekitan/catalog/noyasu/cera_mount.htm


クイック屋根工事【全国対応版】、すべての屋根材料の種類を徹底比較!価格や特徴がまるわかり | 屋根の工事や修理ならクイック屋根工事|見積もり比較サイト(検索日:2018/7/20)
https://www.yanekouji.net/character-yanekouji/kind-feature-price/


ビ・ハウス、木造2階建ての住宅の重さ - 注文住宅、建替えの専門家|大阪 豊中の株式会社ビハウス(検索日:2018/7/20)
http://www.bihouse.co.jp/設計blog/木造2階建ての住宅の重さ/


ケイミュー株式会社、KMEW ケイミュー株式会社(屋根・外壁・雨とい)|屋根材|基本性能(検索日:2018/9/10)
http://www.kmew.co.jp/shouhin/roof/feature/rooga/index.html


三州野安株式会社、CERA-MOUNT 防災(検索日:2018/9/10)
http://www.noyasu.com/catalog/image/00000022_pdf.pdf


JFE鋼板株式会社、商品情報・住宅屋根 金属屋根の特長|JFE鋼板株式会社(検索日:2018/9/10)
http://www.jfe-kouhan.co.jp/products/metal_roof/feature.html


合板耐力壁マニュアル(新築編、耐震補強編)(検索日:2018/9/10)
https://eco-pro.biz/files/EP379/4-201709131003400072.pdf


構造用合板を張った耐力壁(検索日:2018/9/10)
http://www.jpma.jp/data/kouzou-2/kouz10-25.pdf

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