ネコばあさんの家に魔女が来た

作者 赤坂 パトリシア

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★★★ Excellent!!!

どこかありふれた、それでいて難解な問題を抱えるユキノちゃん。感情移入しやすくて、わたしまで胸がぎゅっと固まる感じがします。
それを少しずつほぐしていく、その頼りなくも力強い彼女の歩みが、愛おしいです。
そんなユキノちゃんを支える、ふしぎな料理の数々の描写も必見。

★★★ Excellent!!!

母親が行かせたがる高校に進み、不登校になったユキノ。
近所の煙草屋さんに来た「魔女」と一緒に、ヘンな料理を作ることに。

ハ行の最初の文字を2回続けて言うことはできるけれど、
「父」の対義語である漢字一文字をタイプしようとすると
吐き気がする(自分を娘の立場に置いたときに限る)。
ユキノの母、という文字は書けます。
私の一親等の女性を表す文字は、ここ数年で一切書けなくなった。
そんな私からすると、一話一話、胃がキュウっと締まって、
トラウマ刺激されまくりの作品です。

〝一見〟愛情に溢れている親と言うのは厄介で、
嫌いだと思う自分が間違っているのだと感じてしまい、
自分の中の矛盾に引き裂かれそうになるんですが。
ユキノはちゃんと、好きだけど、嫌いなところもあると
自分の感情を整理することができた。
彼女にとって不登校、ニワトコさんやキワコさんや
家族でも学校でもないところで過ごした日々は、必要な時間。
ユキノ自身が変わっても、親が変わってくれるわけではない。
安易なハッピーエンドではないのがいいですよね。

食べ物を美味しいと思って食べることができる、というのは、
生きていく上でとても重要だと思います。
食べることが嫌いだと、料理にも関心持ちませんし。
あと、両親の間に愛情があるのを、子供から見てわかる、
というのも、重要なんだろう。

十代の頃の自分が読んだら、激怒しながら号泣すると思う。

★★★ Excellent!!!

ユキノは高校生の女の子。心配性の母親と、ちょっと影の薄い父親と、中学生の弟がいる。ごく普通の家庭のようだが、ユキノの問題は学校にいけないこと――いわゆる不登校だ。他人の目を気にしつつ、日中は独りで過ごしている。
ある日、ユキノは近所の古いたばこ屋で、奇妙な張り紙をみつけた。下手な日本語と英語で書かれたそれは――

「まじょ はじめました」

 ”We now have a witch!"

――70歳をすぎたお婆ちゃんが、魔女に? 首を傾げるユキノの前に現れた若い男性は、こう名乗った。「ニワトコ=スティーブン。マジョです」
一見日本人な英国人ニワトコ氏と、ユキノと、魔女たちの、友情とごはんと自立の物語。

     ◇

他人への挨拶や接し方、服装や進路、感情の動きの隅々に至るまで、「愛情」という名の「支配」を押し付けてくる母親。それに合わせて生きることに精一杯なユキノちゃんが、可哀想に思えてきます。何とも濃厚で息詰まる母娘関係ではありますが、反抗期っぽい弟タケシ君の言動と、《外》の世界の文化をやんわりとした態度で教えてくれるニワトコ氏が、風を通してくれます。ニワトコ氏のホームステイ屋主キワコさん、現代日本で生活する”魔女”たち、カウンセラーのスズキ先生たちと、お好み焼きやジンジャーエールを作ったり、会合したり、考えを整理したりしているうちに、ユキノちゃんはゆっくり元気になっていきます。

「フツウって何?」「大人になるってどういうこと?」
誰もが成長過程で考えたことがあると思われる問題に、ユキノちゃんは正面から向き合っています。

思春期の自立を迎えた女子の葛藤と、煮詰まった親子の心理、英国ブンカ?に興味のある方にお勧めします。

★★★ Excellent!!!

新卒で入った会社が児童書専門の印刷会社で、随分多くの小児向けから中学生までの本の仕事をした。
挿し絵を組み入れてのページ組みでも全文読んで、構成に落ちはないかチェックをするのは大事なことだ。
児童書は図書館や児童館に入るし、課題図書にもなるので版元も超本気、作る側も真剣勝負だった。
自分が子供の頃によく見た表紙の、何世代にもわたって読み継がれた物語もあれば、彗星のごとく現れた新しい才能のユニークな作品もあった。
『ネコばあさんの家に魔女が来た』はそうした凛とした児童文学の風格を感じさせる作品である。

作者の赤坂さんはこれまで大人向けの作品が多かったが、この作品では、双子のように一体化したままいびつに育ってしまった母と娘を描く。
自身がミックスキッズで「淵」「きわ」に立つ、ニワトコさんという魔女(男)の作る食べ物に力を得ながら、一歩ずつ転びつつ歩こうとしている多感な娘・ユキノに、その母親は当然のように手を取って『こっちが安全なんだから、間違いないから』と連れ立って歩こうとする。
子を持つ母にとっては、おのれを振り返り心が痛む描写が続く。
ユキノの母親自身が「こういう母って嫌だなあ」と、少女時代に漠然と思った母親像になってしまっているかもしれない、危うさ。

現役少女も万年少女も、自分の道は一人で工夫して歩いて行かなければならない。
色んな「エッジ」に立っている魔女(男も女も出てくる)、少女、元少女。
様々な立場の人の心に沿う事が出来る清々しくデリケートな本作。
ぜひ是非児童・ジュニア文学関係者に着目して頂きたいし、本になって少年少女の心に入り込んでほしい

★★★ Excellent!!!

最初は美味しそうな話だな、と思いました。
読み進めていくと、これは子供が大人になるために必要な事柄を書いているのだと気付きました。
家族から抜けて一人になって、二人になって、いろんな関わりを経て、そしてまた家族に戻る。
そんなやさしいお話だと思います。

読んだあと、私の心の中に主人公とそのマジョたちが住みつきました。
フとした瞬間に、あの二人はいま何をしているんだろう?と考えます。
続きが楽しみです。

★★★ Excellent!!!

女の子と魔女と、それから魅力溢れる食べ物と来たら、やっぱり名作に間違いないのです(重複)!

学校に行けず、家では自分を殺し、こころとからだがチグハグになってしまっている主人公のユキノ。
彼女の気の使い方や、家庭内の雰囲気などの描写力がまずは抜群。思わず胸がキュッとなってしまう。

そこからの、魔女(男)。ほうっとひと息つきたくなる柔らかい空気に満ち溢れた魔女とネコばあさんの家。
食えない魔女(男)が出す、『食える』料理は、果たしてユキノのこころに降り積もった雪を溶かしてくれるのだろうか。

情緒と情景描写に長けた筆者が綴る、素敵で神秘的なストーリー。是非お茶会には、早めにご参加を。

★★★ Excellent!!!

誰もが経験した、経験していなかったらちょっとラッキーかもしれない、「戦いたくない相手との戦い」。

ユキノはたった一人で、自分とも、母親とも、学校とも戦っていた。
みんなユキノの味方のつもりでいる。
でも、それはそれぞれが抱いている勝手なユキノ像の味方であって、本当のユキノの味方はしてくれない。皆が「ユキノ像」を守れば守るほど、ユキノはそのダメージを負って倒れてしまった。

でも、ユキノを本当の自分を見てくれる仲間を見つけだし、ささやかな反撃に出る。
ユキノ自身の成長だけでなく、本当のユキノが見えない母親達の成長も見守って欲しい成長物語。

★★★ Excellent!!!

女の子と魔女と和食が出てきたら名作間違いなし。
枕草子にもそう書いてあります。
それはさすがに冗談ですが、
嘘ではないと思わせてくれるのがこの作品。

あらすじは、不登校の女子高生が
煙草屋さんの家に滞在し始めた魔女(英国人男性)と和食を作る、
というシンプルなもの。

内容がシンプルな分、面白くなるかは作者さんの腕次第。
なのですが、もう面白いなんてレベルじゃない!
読んでいて心揺さぶられました。

魂が震えるのは、私だけではありません。
登場人物のもそうです。
出会いによって、震えは響きになり、重なり合います。
和食が繋ぐ、人との縁。そして。
そのつながりが奏でる物語。

骨太の小説を求めている人、ココにありますよ!