こんにちは、ゆう@今月2度目の海外視察です。
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今月の初めにビジネスの視察でミャンマーに行ってきましたが、月末にバンコク・ハノイに行ってきます。ベトナムは社会主義国家でありつつも、ミャンマーの1.5倍以上、1億人近い人口と若い労働力を背景に経済発展をつづけているので、現地法人の社長を紹介してもらって話を聞いてきます。
成熟してしまった日本のような市場より、現状は日本よりも経済的には貧しくても勢いがある国は面白いです。ミャンマーに行って痛感したので、今回のハノイも楽しみです。・・・バンコクは遊びの要素が濃くなりそうですが(笑)
前回、損保J(損保会社の営業)との出会いと火災保険による裏技についての記事を書きました。要はいろいろな物件に関する物理的な損害を、なるべく保険事故の範囲内で保障をうけよう、というスキームで、本来保険事故でないものも申請の仕方によっては保険対象になってしまう、というものでした。
しかも保険会社がその内容をチェックして自ら認めているので、あとから覆ることもなく、保険料を支払済である契約者自身の保険料が上がることもない、というもの。
ただし、このスキームが蔓延して、保険会社の保険料支払いが増大したために今年の10月から保険料の改定がされたのでありました。
そして、損保Jは自分に入ってくる保険契約の報酬の半分を紹介者へバックしていました。
ボクもずいぶんと紹介しましたが、ボクの場合は損保Jから高級な食事に招待してもらうことにしていました。そのため頻繁にミシュランの星をとっている名店に損保Jと一緒に行っていました。夜のお店で飲むのは嫌いなので行きませんでしたが、ボクが飲み屋が好きだったら損保Jの招待で銀座で飲んでいたでしょうね。
ところで、この頃にNの会社で大きな出来事が起こりました。
それは、「りそな銀行の出禁事件」です。
しかもその原因はボクにあったのでした。
この頃の客で、某自動車メーカーの系列のサラリーマンの人がいました(50代Tとします)。年齢は50代前半で定年までの期間が10年を切ってしまっており、現状の年収と同等の収入を不動産投資で作りたい、というよくある目標をもっていました。
初期の頃だったので、法人スキームでの決済がまだなく、この客も目標の不動産収入から逆算してスルガ銀行を使って5億円くらいの総投資額によって実現しようとしていました。この頃はまだスルガ案件で利回りが11%以上のものがちらほら出てきていたので。
いくつか紹介して買い付けをとっていましたが、他の客で成約に到る、というケースが何物件か続いていました。
そんな中、Nの会社の「いい人 I 」が築10年程度の札幌の築浅RCの物件を3棟、スルガ銀行で買っていた客からの売却依頼を受けました。個人から法人でのやり直しのための売却、です。
その物件は法人スキームを得意とするスタッフたちですぐに成約に到っていましたが、そのうち1物件について無駄なこだわりラガーマンMの案件の融資が不発に終わりました。
ラガーマンMはわりとこういう取引が多い人物でした。現在は十番だか二重番だかに事務所があるようですが、デニムをユニフォームにするという謎のこだわりがあり会社をやっています。
良い人 I とラガーマンMが話しているのを聞いていると、明らかに案件として飛んでいるのに何とか時間を引っ張ろうとしているのが分かりました。案の定、案件が飛んだので、ボクが50代Tに札幌物件を紹介、すぐに買い付けが入りました。
ここで不動産営業のテクニックとしてあるのが、購入のための心理的なハードルを超えさせるもの。最初から投資マインドが出来上がっている人もいますが、大抵はそうではなく一定の条件をクリアした物件を紹介した時に躊躇なく買い付けを出せるマインドに”成長”させる必要があります。
そのため良さげな案件が出てきたら、ある客で契約の方向に向かっていても、あえて他の客に紹介して買い付けを出させて、でもそれがタッチの差で他の客に買われてしまった、という状況を刷り込みます。
これを何度か繰り返すと物件を紹介した時にハードルがないに等しく、すぐに買い付けを送ってくるようになります。書類準備のスピードも早くなり、”投資マインド”が出来上がります。
50代Tもそのようなプロセスを経て、投資マインドが完全に出来上がっていました。
そして融資については当時、収益物件への融資をバンバンだしていた、りそな銀行ミッドタウン支店を使うこととなります。
Nの会社では他のスタッフが何度も使っていること、ミッドタウンとNの会社が直線距離200mくらいしか離れていないことから、直接名刺交換することもなく「50代T」の融資審査が始まりました。
某自動車会社系の50代Tは年収約1,250万円、金融資産は6,000万円くらいありました。年収で1,000万円を超えているサラリーマンは都心では多いですが、金融資産も1,000万円単位でもっている人が意外と少ないのに当時驚きました。
その点、50代Tは6,000万円を超える金融資産を保有していました。多少、物件取得後の不動産賃貸においてイレギュラーがあっても十二分に耐えられる体力があります。ボクは基本的にそういう客しか相手にしていませんでした。不動産投資は収入も資産もない人がやるものではない、というのが持論だからです。
ところで、りそな銀行ミッドタウン支店では、この50代Tのレベルの属性では融資案件として取り上げる最低基準に満たないため、基本NGとのことでした。ミッドタウン支店では年収3,000万円以上、金融資産1億円以上というのが当時の基準でした。
ガリガリNo.1営業マンTは金融資産が1,000万円くらいしかなくても、それを”加工(画像修正)"」して1億持っているように見せかけるのが得意でした。
ボクはこの頃、全くやり方を知らなかったため、イケオジサーファーOに教えてもらいながらトライしていました。
そうして、りそな銀行の担当者から融資の内諾が出たとの連絡を受けて、50代Tと売主との契約。買主と売主は一度も顔を合わさずに持ち回りで契約をするのが六本木スタイルでした。
決済予定が奇しくも50代Tの誕生日に近いタイミングで、絶好の誕生日プレゼントになるなーと考えていました。
そんな中、Nの会社では当時、スタッフの誕生日を全員で祝うスタイルをとっており、刺青ノイローゼSの誕生日パーティがありました。
ボクは数日後に迫った50代Tの融資実行・残金決済のための最後の資料を作って、50代Tに送ろうと急いでいました。50代Tに送った内容は、以下の通りでした。
”この取引は1億1,000万円で手付金は100万円だけれども、オーバーローンを実現するために1億3,900万円の契約書を交わして、手付金を3,000万円支払っていることにしています。でもこれは契約と同時に交わした覚書で正しい金額に「減額」してあります。そのため契約書は1億3,900万円のものだけれども、最初に紹介した物件価格が正しく、残金は1億900万円です。”
ということを丁寧に説明して、安心して残金決済に臨みましょう、という内容のメールでした。
これを急いで50代Tに送って、西麻布の刺青ノイローゼSの誕生日会場に向かいました。
そこでは当時初めて見た「シーシャ」という水タバコをみんなで回して吸いながら飲み食いして、楽しく過ごしていました。そしてアラサー事務員Yがみんなから集めた金で誕生日プレゼントを買っておいたものをノイローゼSに渡します。
そこで更なる盛り上がりをみせているのでした。
そんな中、50代Tから連絡が入ります。
50代T「札幌の物件の決済関係のメールはまだですか?」
ボクは笑いながら1時間くらい前に送ってあるので確認してみてくださいね!
50代T「いや、来てないですよ。」
そのとき、ボクは全てを理解しました。
メールを送っていたのは50代Tではなく、りそな銀行の担当者に対してでした。