スレ立てありがとう御座います
本日出すのは以前出したものかもしれません
出した事すら忘れてしまいましたので一応出します
様々なネタが詰まってますが相当顰蹙を買う様な話なので閲覧注意です

小鈴妖怪奇譚


「小鈴ちゃん、申し訳ないけどあなたには死んでもらうわ。
私に処罰されるべき最大の理由は小鈴ちゃん自ら妖怪となったこと。
そして私以外―里人―に処罰されるべき理由は四件の子供に対する殺人と一件の殺人未遂。
人里の事件は人里で処分されるし、重大事件はえーき様が処分する。
殺人については妖怪化の影響もあるけど、人里の犯罪より妖怪化の方が刑を優先される。
でも人里での裁判は無い、どちらにせよあなたは死刑だし。
そして残念だけど、でも最大の情けとして博麗の巫女としてよりも友人である私が直接手を下す。」

数ヶ月前に遡る。
魔理沙が香霖堂から鈴奈庵に黒い直方体の物体を持ってきた。何でも大量に捨ててあったとか。
手で容易に持てる程度の重さで、外来本の大きさで例えるなら、「新書判」よりマッチ箱程度縦長で、厚さはマッチ箱の1.5倍程度。
外見は黒く、表面には透明な場所があり、中には黒く長い紙状の物が入り、背面には歯車を受けるような形状の凹みがある。
何物か分からないから調べてくれ、と香霖は依頼された。
少々古い外来本を漁ると、容易に「ビデオテープ」というものであることが分かった。

ここで「ビデオデッキ」という物を「テレビ」という受像機に繋ぐと「中に封印された物が映し出される」というらしい。
小鈴と魔理沙は外来本を持参し香霖堂へ趣き、外来本を凝視しながら目的の二品を探した。
電源が入らないと使いものにならないことから、見つけては何度も試した。
電源が入る物が揃った時、魔理沙は「借りて」行き鈴奈庵に持ち込んだ。
気がかりは電源量が足りるかだけである。
そして事は、上手く行った…

驚きの連続であった。
「ビデオテープ」とやらに封印された映像は幻想郷では決して見ることの出来ない物で溢れていた。
そして「芝居」と思しき現実には到底ありえない舞台装置、幻想郷では見られない「海」
見たことのない全身黒い肌の人、色白で彫りの深い人、聞いたことのない言葉・音楽、見たことのない風習・食べ物…
全てが現実とは思えない光景であった
しかし、画面の中に映し出されている光景の主役は確かに人間である。
多くは聞いたことのない単語を多用しているが、日本語を話している事から現実であると認識せざるを得なかった。
何より驚いたのは、絵が動いていることであった。

ビデオの虜になった小鈴は遂に店番をしながらも机の上にテレビを置き見続けていた。
そんな小鈴を両親は苦々しい顔で見るも、好奇心の塊である小鈴はいずれ別に興味が移り飽きるであろうと楽観視していた。
店番だけでなく製本印刷も手伝って貰いたいが、いつも手伝ってくれてるからと思い今回は目を瞑った。
ちなみに今週観たのは「タイムトラベラー」と「続・タイムトラベラー」「未来からの挑戦」「幕末未来人」だった。
「えぬえちけー少年ドラマシリーズ」というものらしい、そして今日は「ウルトラセブン12話」を観た。
何故、12話だけかは分からないし、誰がどの役柄だかわからないがともかく観た…
「12話だけ幻想入りしている」という可能性があるが何故「12話」かは分からなかった。

そんな生活が続いた後に小鈴は少々おかしくなり始めた。
今にして思えば、この頃からビデオの影響で妖怪化し始めたのかもしれない。
部屋には外の世界から来たビデオが6千本近く山積みになっていた。
もはや鑑賞を目的としない。
そういえばいつの間にかビデオの視聴時間が極端に減ってきた。
部屋にあるビデオの山は元々外来本を集めていた蒐集癖がビデオに変わったのだろうと小鈴の父親は思った。
元の娘に戻って来たのだ、いずれ完全に元の小鈴に戻るだろうと安堵しつつあった。

鈴奈庵に「テレビ」と「ビデオ」が来て暫くの後、人里で幼い男の子が消える事件が相次いだ。
一月おきに三人が消え、季節が変わった頃に更に一人が消えた。
「妖怪の仕業」と思われた、証拠が無いためである。
そんな中、天狗から手に入れられたと思われる写真機で幼い男の子が裸にされ撮られているところを父親が見つけ犯人を取り押さえた。
捕まったのは、あどけなさが残る少女であった。
誰に尋ねるわけもなく身元は直ぐにわかった。貸本屋鈴奈庵の娘、本居小鈴である。
若い娘故に男に興味を持つも、大人では怖いので抵抗できない自分より年下の幼児を狙ったのか…。
被害者の父親はそんな事を思いながらも家族に伝えるのは未だ若い娘故に可哀想だと思った。
しかし犯罪は犯罪である。小鈴は稗田の屋敷に連れて行かれた。
稗田の娘と貸本屋の娘は友人通しと知っていた事から、後の処理も速やかに行われると少年の父親は思ったのだ。
幼児の父親は、寛大な処置と家族へ伝えることを勘弁してあげることを稗田の娘に強く伝えた。

しかし小鈴を観た途端、稗田の娘は分かっていた。
小鈴は重大な犯罪に手を染めたことを。
そしてそれは妖怪化が原因であることも。
阿求は泣きながら小鈴に縋り付いた。
「全て本当のことを言って欲しい、妖怪化した以上戻ることは出来ない」と。
稗田家の地下にある座敷牢で取り調べを受け、小鈴は全てを話した。
人里で起こしたおぞましい事、妖怪化したこと。
親友として小鈴に対する阿求の最大の配慮。
人里の事件の取り調べは全て阿求が行い、妖怪化については霊夢のみが調べに掛かった。
二人共に他の人間も妖怪も小鈴に対する取り調べは許さなかった。

小鈴に対する処分が伝えられた。
内容に取り掛かる前に阿求と霊夢は共に一言話した
「小鈴、最後まで私達は親友だから。何が有っても忘れないで…」
「残念だけど小鈴、人里の分限者としてあなたに死刑を言い渡す」泣きながら伝えた
「残念だけど小鈴ちゃん、博麗の巫女として妖怪化したあなたを死刑にするわ」
霊夢も泣いているが阿求のそれとは違い、より激しい。
妖怪化の影響とは言え小鈴が人里で行った事は前代未聞の重大な犯罪である。
小鈴の妖怪化はビデオから何らかの影響を受け、徐々に進んだものである。
本人は当初こそ妖怪化に危機感を覚えていたが、いつの間にか漫然と妖怪化に抵抗が無くなってしまった。
そして、それに気づかなかった事に霊夢は強い責任を感じていた。

気づいてさえ居れば。
人里で犯罪を犯すことも、死刑になることも無かった。

死刑が宣告され執行の日程が決まった。
当初、小鈴は座敷牢の中で発狂したのだか「ナズーリンが見える。こわい。」などと騒いでいた。
しばらくすると、粛々と刑を受け入れる心の準備が出来上がってきた。

愛娘が重大犯罪を起こし、死刑になると知った鈴奈庵は阿鼻叫喚であった。
娘を溺愛していた父親は思わず「うちの娘はビデオが好きなだけです」と里人に小鈴の部屋を公開したが、
ビデオがうず高く積もり、布団の範囲しか足の踏み場もない部屋は、却って異常さを際立たせる結果となってしまった。

小鈴は稗田の地下座敷牢にて、今後の運命を完全に受け入れ大人しくしている。

霊夢が阿求に土下座して三つばかりの要求を求めた。
一つは処刑場所である博麗神社の境内まで移動する際は縛らずに、これまでの小鈴の様にいつもの市松模様の服を着せて歩かせて欲しい。
二つ目は、鈴奈庵に最後の一泊をさせてあげること。この際には敢えて事件や今後のことを口や態度に出さず事件前の本居家の日常を送らせて貰いたい
三つ目は、人里で起こした罪に対する処刑前の拷問も含め、処刑を霊夢自ら行うこと。
これは、人里の人間を妖怪化させてしまった巫女である自分にも責任が有るという事である。

三つの願いは阿求に聞き入れられた。
鈴奈庵に最後の一泊をした小鈴はいつもの市松模様だが、真新しい物を召していた。
霊夢が事前に、小鈴が普段来ていて匂いも染み込んでいるものを手元に置いておいたほうが良いと申し入れしたのだ。

博麗神社に着いた。
正午と同時に執行は始まる。
最早祭りの様に里人が並んでる。
いや処刑や拷問は元々趣味の悪い娯楽であることである。
外来本に書かれていた、いわゆる「パンとサーカス」だ。
妖怪化は処刑で済む。
しかし里人は処刑では満足しなかった、二度処刑は出来ないからである。
しかし無碍に拒否しては博麗の巫女の威光にも関わる。
そしてそれは幻想郷の維持や秩序を保持に重大な影響を与える。

時間が来た
小鈴は泣き腫らしたのか最早諦めたのか。
僅かながらの笑みを浮かべた涼しい顔をして泰然とした態度で立っている。
親友に殺されるなら他のどの様な死に方よりも嬉しいと言わんばかりに。

「小鈴ちゃんゴメンナサイ」と霊夢が叫んだ。
お祓い棒がミゾオチに入った。小鈴は当然の様に地面に突っ伏した。
蹲まって動けなくなり、露わになったアキレス腱に思いっきりお祓い棒を叩きつけた。
小鈴は甲高い悲鳴を上げ、のたうち回っている。
アキレス腱は切断され、最早動くことは出来ない。

霊夢は小鈴が仰向けになった瞬間を見逃さなかった。
今度は下腿部に向かって思い切り力の限り叩き付けた。
両脚の腓骨と脛骨を叩き割られた。
小鈴は嘔吐しながら悲鳴と喘ぎ声を上げていた。
次は右側の肋骨に狙いを定め一本一本折って行く。

小鈴は痙攣しながらも、どこへ行く宛も無く数少ない傷の無い手で自らの嘔吐物に塗れながら無意識に這いずり回っていた。

その手の爪を一つ一つ叩き剥いで行く。

最早何も考えられないのか、爪のない手で地面を掻きむしりながら芋虫のような速さで這おうとしている。

その腕を叩き、橈骨・尺骨・上腕骨を折る

小鈴は意味のない動きをしている。

最後に左側の肋骨を思い切り叩き、折るばかりか肺に突き刺した。
これで肺気腫になり呼吸も満足にできない。
空気が出ずに苦しんで死ぬだけ。
一連の執行に於いて霊夢は涙を流しながらも始終無言であった。

肺に穴の空いた小鈴はしばらくすると吐血をした。
それも満足に吐き出す力も無く「ヒューヒュー」と力弱く呼吸している。
死ぬのは時間の問題である。

それを合図とばかりに博麗の巫女は「夢想封印」と叫び小鈴の頭を叩いた
側にあるのは血に汚れ、変形した、体に市松模様の着物を召し、頭に鈴の飾りを付けた少女だったモノである。

霊夢は里人を一瞥し言った
「これ以上思いつかない方法で執行した、不満があるなら私が全て引き受けます」

処刑に立ち会った稗田の娘は里人を返した。
強い憤りを感じ、タダの処刑では気が済まなかった人里の住民も少女に対する凄惨な罰を目の当たりにして何も言わず踵を返した。
博麗神社に残るは霊夢と阿求と小鈴だったモノだけである。
霊夢は咽び泣いている、阿求は何も考えられないのだろ呆然と立っているだけであった。

処刑を行った霊夢も一応考えた。
娘である以上、顔と性器、乳房は傷つけたくなかった。
近い年齢である霊夢も阿求も暗黙の了解として絶対にそれは避けたかった。
小鈴の遺体を整え、全身を拭き清潔にする。

まだ暖かい。
お気に入りの市松模様の着物はそのままでも他は取り替えなければならない。
下着を取り替えた際、溢れんばかりに真っ赤に染まってることに気づいた。
平気な顔をしながらも相当狼狽していたのであろう。
「忘れてたけど、今日は小鈴の午の日だったね。一言言ってくれれば替えの下着くらい用意したのに。せめて綺麗な体で最後を迎えさせたかった。気が動転してごめんなさい。」
と阿求がうそぶいた。

遺体を棺に入れたがこの先どうするかは決まっていない。
命蓮寺に渡すまでの段取りを行うまで、取り敢えず稗田家が引き取った。
思うに、これから鈴奈庵は困難が伴うだろう。
父親は恐らく自殺するだろう…。

一人になった事もあり様々な感情が押し寄せ、また霊夢は泣き出した。
阿求も自室に入るなり号泣した。


それからの霊夢は木偶人形の様だった。
寝間着のまま座り続けたと思えば巫女服を着て一日中呆けてる。
突然子供のように一人で泣き出す。

数日後、阿求が寺小屋の女教師を連れてやってきた。
小鈴がビデオと出会うまでの歴史を無かったことにしてくれると。
小鈴の罪は最初から無くなるし、それは小鈴が死ぬことも無い歴史だと。
しかし、阿求と霊夢の顔は晴れない。
悪夢のような数ヶ月を無かったコトにして小鈴が生き返ったところで自分たちが凄惨な処刑を行ったという事実は消えない。

二人は示し合わせたように慧音に言った。
「自分たちの記憶だけは消さないで貰いたい。
今回の幻想郷の悪夢は人里の記録者と博霊の巫女は永遠に引き受ける」。

<完>

御読了有難うございます
小鈴がビデオに出会ってから捕まるまでは実際に有った有名な事件が元ネタです
大好きなキャラである小鈴を酷い目に遭わせる事含めてこんな事を考えつく自分が本当に嫌になります
生理あき

>「夢想封印」と叫び小鈴の頭を叩いた
ごめんちょっと笑った

かわいそうなことしてもいいよね…

そそわに載せたら一発で消されるだろうな