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(直子)はあ…。
(直子)はあ…。
(百合子)うそ…?
(鮫島)僕ですぅ!言いだしたんは 僕です!
子どもでも理由にせんとお金 用立ててもらえんやろう言うて…僕が! 僕が! すいませんでした!
ふぅ…。
(喜美子)何 これ…。こんなんで よう だましたな?
見てみぃ 百合子 こんなんやで?ハハハッ…。
ハハハハッ!アホやな。
そっちこそよう そんなんで だまされたな。
何 言うてんねん!わあ!
(笑い声)きゃ~!
アホ~!
アホや! アハハッ。
うわあ~!もう!砂 入った!
何やってんねん!こんなとこで ばらまいて!
掃除せえ!汚っ…。 アホ~!
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も涙に負けるもんか」
(戸が開く音)
お母ちゃん。
ほな あれ覚えてる?うちが紙芝居作ってあげたん。
ええっ?作って見せてあげたやん。 覚えてへんの?
ううん。 あっ 借金取りにゆで卵 食べられたんは覚えてんで。
あっ それと百合子が病院に薬取りに行ってた。
行ってた。
大人が行くと 薬代払え言われるし子どもの百合子に行かせててん。
何で そんな悲しい思い出しか出てきいひんの?
もっと楽しい思い出 話そうや楽しい思い出。
ん~ 忘れた そんなん。
あるわ。(マツ・かすれた声で)あるわ。あっ…。出たやん。
(かすれた声で)治ってるなあ。
♪「菜の花畠に」
歌わんでええて。よかったなあ。
♪「入日薄れ」下手な歌 やめてや。
フフフッ 直子。
お金 なんぼ必要なん?
うちが出す。うちも働いてるし 出せるで。
百合子はええ 貯金しとき。
うちも 絵付け小皿の注文受けたしな。ほやから お金の心配はせんでええ。
ほやから 頼むで二度と あんな小細工したらあかんで?
次に だますようなことしたら敷居またがせへんからな。
声出えへんのか。出る。
ほな 言い。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ほな 楽しい思い出 話そうや。さっきある言うてたやん。 百合子 何?
イチゴ食べたことや。それ 今やん。
久しぶりに そろって食べたら楽しいわあ。昔 スイカ食べたん思い出した。
ああ 食べたな。楽しい思い出や。
(百合子)ほや お風呂入る? 沸かそか。今から?
(百合子)砂まみれやん!ほんまや。
うちが沸かす。手伝うわ。
薪入れ 久しぶりやな。そやな。
℡(百合子)あっ うちが出るよ。はい もしもし 川原です。つないで下さい。
あっ お世話になってますぅ。 大丈夫です。
えっ! 待って下さい! お待ち下さい!本人がおりますので 代わります!
お姉ちゃん! 窯業研究所の柴田さん。
お姉ちゃんが応募した次世代展の結果やて!「遅くに すみません」言うてはる。はよ はよ はよ はよ。
お電話代わりました。いつもお世話になっております。
はい。 はい。
そうですか。 わざわざご丁寧に ありがとうございます。
はい 失礼します。
結果報告するん忘れてた言うてわざわざ こんな時間にそんなん明日でええのになあ。
何か 取ったん?取らへんよ 落選や。
うちが入選するわけないやん。そんな 賞なんて もう…。 取れへんよ。
ほら お風呂 お風呂。はよ沸かさんと 40分はかかるで。
鮫島さん ここにお布団 敷きますね。
(鮫島)ああ すいません。ありがとうございます。
(三津)東京 下見に行かれるんですよね?(八郎)うん…。
切符と宿の手配をします。何泊にしますか?
3泊…あっ いや 思い切って5泊ぐらいしよか。
おおっ いいですね。 銀座のほかにもいろいろ回ってきましょう。
帰りに瀬戸にも寄ってみませんか?私 前に行ったことあるんで。
松永さん 行くのん?ご案内します。
いや 何で 一緒に行くねん。おかしいやろ。
えっ 弟子は連れていかないもんなんですか?
男と女やん。
泊まりで東京なんて ありえへん。
先生 先生。近い。
私のこと 女だと思ってたんですか?
てっきり 子ども扱いしてるんだと思ってましたよ。
まあ ほとんど そやけどな。
ほとんど子ども扱いしてるんですか?うん。
だったら 子ども扱いしたまま連れていけばいいじゃないですか。
いや そうは言うても松永さんは 子どもちゃうやん。
その 松永さんっていうのがいけないんですよ。
お母さんや 百合子さんみたいにミッちゃんか喜美子さんみたいに三津って呼び捨てにして下さい。
そういうの 余計あかんねん。
じゃあ 意識してもいいですよ私は意識しませんから。
何を言うてんのん。
大丈夫です。あかん。
大丈夫じゃないかも…5泊も一緒にいたら先生のこと… 襲っちゃうかも…。
ハッハッハッハッ…。ハハハハ… 今の これです これ。
独り言です。
冗談です。
冗談です。分かった。
現地集合 現地解散は?あかん言うてるやろ もう。
ん~ チッ。
あの…お金は 必ず 働いてお返しいたします。
えっと… あと 直子さんのことも…。
僕 何べんも結婚しよう言うてるんですけど僕が頼んないせいで その…。
結婚 考えてくれてはるんですね?
もちろんです! 落ち着こう思てます。
分かりました。
許して頂けるんですか?
許しません。
今は。
ありがとうございます!
落選…。うん。
百合子ら がっかりさせてしもた…。
そら 僕も がっかりや。
まあ せやけど… 何が何でも賞 取ろう思てたわけやないやろ。
三津 もう休んでええよ。
武志も遅うまで見てくれて ありがとう。ごめんな。
いえ。おやすみ。おやすみなさい。
失礼します。
♪~
東京行きの切符と宿の手配するわ。松永さんに頼んだ。
あ… そう…。
直ちゃん 大丈夫?うん 明日の朝一で戻る言うてた。
うん。 お金は?渡した。うん。
ありがとう。
ほんで そのノート…?
めおとノート。うん。 どないしたん。
また 前みたいに書こうや。
こんなふうになったらええなあいうこれからのこと。
うん。そんな大層なことやのうてええから。
喜美子 書きぃ?うん。
じゃあ… 東京行ってる間に2つ 3つ書いとく?
おおっ 書いとけ書いとけ。アハハッ。
それ楽しみに帰ってくるわ。うん 分かった。
数日後 八郎は東京に向かいました。
あ…。こんにちは。こんにちは。
すみません。 こちらにお願いします。はい。
入れ違うように 次世代展に応募した喜美子の作品が戻ってきました。
♪~
喜美子は めおとノートにこんなふうになったらええなあというこれからのことを書き記しました。
♪~
♪~
「出来上がった作品。 陶芸展に出品。金賞受賞。 ハチさん 喜ぶ。 うちも喜ぶ」。
♪~
なにが穴窯や!
あのかけらの色を出す窯や。
誰にでもあんねん 熱なる瞬間。
分かるぅ?
気になる人もいいひんの?
松永さん 何か 感じ変わった?
あの気持ちを残したい。いつか かなえたい うちの夢や。
(3人)ありがとうございました。