──劇団の研究生でありながら、いきなりプロの現場に主役の一人として参加することになったわけですが、やはりプレッシャーなどを感じたりすることも多かったのでしょうか?
津賀 それが、当時の私は恐ろしいくらいに何も知らないし、欲も無いから、プレッシャーとかは全然なかったんですよ。いきなり主題歌のレコーディングから始まったのですが、当然そんなことも初めて。その後、すぐに第1話の撮影が始まって、次はアフレコ。緊張する余裕も無い感じでした。それに、監督やスタッフさんたちも皆さん優しくて、怒られたりすることも、あれやれこれやれと細かく指示されることも全然無かったんです。「自由にやって」とか「そのままの声で良いよ」とか言われていました。アフレコの時には、劇団の先輩たちが毎回レギュラーで参加していて、先輩も応援してくれていたので、リラックスしやすい環境だったのかもしれません。元々、緊張しない性格でもあったとは思いますが。
船で撮影した後、船酔いで歩けなくなったことも
──いまだに覚えているくらい印象的な失敗談や、大変だったことなどがあれば教えて下さい。
津賀 失敗って言ったら、ほとんど失敗ばかりしていたような気もしますが(笑)。私は何も知らず気楽にやっていましたから、特別大変だったという記憶はあまりないんです。でも、(パペット操者の)原田さんやスタッフの皆さんは、いつも大変そうでした。モグタンのパペットは、下から両手を入れて動かすので、お姉さんが抱っこしているシーン以外では、基本的に原田さんはモグタンの下にいるんです。部屋の中で話している時は、机の下に隠れたりできるんですけれど、外でのロケでは大変なことも多くて。例えば、砂浜にお姉さんが座っていて、隣にモグタンがいるシーンでは、スタッフさんが地面に大きな穴を掘って。原田さんはその穴に入って、モグタンを動かしてました。私も、原田さんに聴こえる場所でセリフを言わないと駄目なので、お店のレジの下へ一緒に隠れたりもしましたね。あ、大変だったことを思い出しました。船の上で撮影したときは、私も原田さんと一緒に操舵室の中に隠れてセリフを言ったんです。そこが、すごく油臭くて、船酔いしちゃって。船から降りた後、歩けなくなりました。