コラム〜水上の若きサムライたち〜

エキサイティング・ガイ 西川昌希(後編)

西川昌希(にしかわ まさき)選手

2014年10月15日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:中尾茂幸(BOATBoy)

センセーショナルな活躍

笑顔は柔らかい
笑顔は柔らかい

 三重の注目すべき若手選手として頭角をあらわすようになってきた、西川昌希。12年頃から成績は上昇し、A級にも定着するようになった。次第にその名に目を留めるファンも増えていったのだが、彼が話題をさらうようになったのは数字的なものよりも、そのレースぶりが実にエキサイティングだったことだ。
 デビュー戦で転覆、デビュー期にF2と、当初から事故が決して少なくはなかった西川だが、その後もしばしば事故多発があった。しかし、西川はまったく怯まないのだ。たとえば、13年6月の蒲郡新鋭リーグ。西川は、シリーズ初戦でいきなりフライングを切ってしまう。普通は、フライングを切った直後はレースぶりがややおとなしくなってしまうことが多いが、西川はそれでも攻めた。シリーズ3走目には4号艇でインコースを奪取。スタートもしっかり決めている。さらに、4走目では6号艇から2コースに前付け。フライングを切ったばかりの選手とは思えない攻撃性を見せた。そして、そのレースで節間2本目のフライングを切ってしまう。この節間F2には、即日帰郷としてレースへの参加権利を奪われてしまうというペナルティがあり、もちろん誉められるような出来事ではないのだが、しかしファンはそのペナルティをも恐れることのない勝利へのこだわりに酔った。その次節でも攻める姿勢は失わず、優勝戦に進出。さらにその次節の新鋭リーグでは、予選2走目で5号艇からインを奪い、トップスタートで逃げ切り勝ち。3走目はコンマ04とスタートを踏み込んで逃げ切っており、F2の選手とはとても思えない激しい攻撃を繰り出し続けたのである。
 攻撃性といえば、西川の主武器はスタートを決めて外から内を沈めてしまう、強烈なまくりである。その勝ちっぷりは豪快にして爽快。これもファンの支持を大きく集める要因だった。また、外コースからでもまくりで攻められる力をもちながら、状況によっては前付けで内コースを奪いにいく。積極的な進入は、やはりファンの支持を集めるものであり、あらゆる戦法で勝利をもぎ取りにいこうという姿勢は、次第に高い評価を得るようにもなっていった。

ピットでは穏やかな表情も目立つ
ピットでは穏やかな表情も目立つ

 そうしたなか、今年4月には、ついにデビュー初優勝も手にした。優勝戦にはSGウイナーである山本浩次ら強い先輩が揃ったが、インコースからコンマ08のスタートを踏み込んで逃げ切り勝ち。堂々たる初優勝だった。
 これを機に、西川は完全に勢いに乗る。5月以降は1着を量産し、8月の福岡では、SG初制覇を果たしたばかりで当時艇界一の絶好調男だった吉田拡郎を、2コースからのまくりで撃破して優勝。9月に入っても宮島でコンマ02の超絶スタートからまくりを放って優勝するなど、一気に上昇気流に乗っていった。
 そして迎えたヤングダービー。GIデビュー戦となるこのシリーズで、西川はセンセーショナルを巻き起こす。6号艇で迎えた初戦で、先輩たちを押しのけて2コースを奪うと、スタート後にぐいぐい伸びてインコースを叩き切り、いきなり1着を手にしたのだ。その後も、4カドまくりで篠崎元志らを撃沈させて2勝めをあげ、さらには桐生順平らをしりぞけて3勝目をゲット。1勝目は3連単の配当が万舟券となっていたのだが、3勝目には人気サイドの低配当、一気に知名度をアップしてしまった。まさに、ヤングダービーにおける最大のシンデレラボーイとして、全国に名前を売ったのである。
 残念ながら、予選は突破できなかった。これも彼の魅力と言えるだろうが、衝撃的な勝ち方をする一方で、大敗も少なくないのだ。まさかの予選落ちを喫し、また親族に急な不幸があって、4日目を最後に途中帰郷している。一躍全国区になりはしたものの、一方で不本意な一節に終わってしまったわけだが、それでもこのヤングダービーで西川が手にしたものは大きい。今後は確実に、銘柄選手の一人として認知されていくことだろう。
 104期生ということで、これからのルーキーシリーズではもっとも上級生の一人となる。もちろん実力的にも、ルーキーシリーズでは絶対的な主役の一人となっていくことだろう。ぜひ、西川が参戦するルーキーシリーズには注目してほしい。西川昌希の魅力に酔いしれることが確実にできるし、同時にボートレースの醍醐味を西川から感じ取れることだろう。

西川昌希
西川昌希 (にしかわ まさき)選手プロフィール

登録番号4559。104期。支部・三重。出身・三重。1990年2月26日生まれ。B型。

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