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（三津）松永三津といいます。　初めまして。
かわはら工房に新しい弟子が住み込みで入ることになりました。
すいません。（喜美子）近いなぁ。
こないだ　ハチさんがな…すばらしい作品て　何やろなぁ言うたんよ…。
道に迷ってんねん…。
これまでの自分をな　超えられへんできっと苦しんではる。
よし。
♪～
♪「涙が降れば　きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火　どうかここにいて」
♪「私を創る　出会いもサヨナラも」
♪～
♪「日々　恋をして　胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら　笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も　涙に負けるもんか」
♪～
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
はいよ～　お待たせ～。（三津）お～！（八郎）ありがとう。
おいしそう！　頂きます！
おっ　ここ片づけてな。あ…　はい。
ほんで　ぬれ布巾かけてな。はい。
おむすび食べたら　三津はしまいやなあ。はい。
こっからは夫婦の時間や。　なっ？うん。
・（百合子）お姉ちゃ～ん！
えっ！？（八郎）えっ。
（百合子）お姉ちゃ～ん！何　何　何　何！？
酔っ払ってるやん！　何？どこで飲んでたん？　誰と飲んでたんよ？
う～ん？　チ　ミ　ツ！信作ちゃうの？
チミツ　チミツ！ええ…。ああ　お義兄さ～ん！
ああ…。こんな酔っ払ってんの初めてや…。
ミッちゃ～ん！ハハハハ…。
ただいま。お帰りなさい。
バンザ～イ！アホや…。
あかん　あかん　あかん　大丈夫…ああ　ああ…。
座りぃ。　一回座ろう　一回座ろう。お義兄さん！
はい　はい。銀座の…　銀座の個展に向けて…。
百合子。（百合子）言わせてぇや～。すばらしい作品作れ言われてんのやろ。
どうか頑張って下さい。
何すんねん　もう…。アッハハ…。
励ましや！酔っ払った手で触ったら　はげる！
いや　はげない…。はいはい　はいはい　ありがとうな。
今日は　もう休みぃ。　なっ？うん　もう行こう。
や～　嫌や～。行こ　行こ　行こ　行こ。　なあ。
嫌　嫌…。行こ　行こ　行こ　行こ。　ほい　ほい…。
はよ寝るで。　もう　何しに来てん。
お邪魔しました～。おやすみ。
ああ…。何しに来たんや…。はい　おやすみなさい。
はい　おやすみなさい。
・（百合子）お母ちゃ～ん！ただいま～！アッハハハッ。
・（百合子）武志～！ハハハッ。
♪～
あの　さっき…。忘れて。
喜美子さんに横におられるとしんどいって…。
もう～　忘れて言うたやん。
ヒロシがさあ。
誰？だから　さそり座の。
ああ…　つきおうてたいう。
はい。　前にも話しましたけど私がお皿一枚作るのに　ああでもないこうでもないやってる横でヒロシの野郎は自由奔放に　あっという間に花瓶やら　つぼやらを作っていきやがるので私も先生と似たような気持ちになりました。
それで　つきあってるのがしんどくなって別れました。
あのな　そういうことやないねん。
まずですね！　その　しんどいっていう気持ちを払拭させるためには喜美子さんに追い越されてしぼんでしまった才能をまた開花させれば　よろしいのでは？
朝顔ちゃうで？　才能やで？
ほんで　しぼんでしまった才能て人のこと…。
個展を成功させましょう。銀座での個展。
すばらしい作品を作れと言われているなら作ればいいんですよ。
はいはい。先生！
絶対　成功させましょう！
ほな聞くけどな　松永さんはすばらしい作品て　どういうの言う？
売れる作品です。
売れる作品。
はい。　あの　佐賀を回った時…。うん。
名もなき陶芸家を紹介されました。
７０ぐらいのおじいさんが　小さな工房でぐい飲みを作っていたんです。
前歯が２本　虫歯なんです。ハッハッハッ…。
それ関係ある？いや　印象的だったんで。
陶芸とは…。関係ありません。
それで　そのおじいさんがニコニコしながら何十年も焼き物を作り続けてきたって言ってました。
似たような　ぐい飲みばかりを黙々と作り続けて　黙々と売り続けて家族を養うために。
家族を養うため。
芸術を　きわめた作品もかっこいいですけど前歯が虫歯のおじいさんもかっこよかったですよ。
まあ　せやけど歯医者は行った方がええな。
アッハハハハハ…。そうですよね。
食べ。
頂きます。
♪～
（百合子）フフフフ…。もう　何がそんな楽しいん？
何があったんよ　もう。チミツ　チミツ～！
はあ　チミツ　チミツって…。うわ～。うわ～！　もう！
ちょっと　ちゃんと寝てぇ。はい　ここ枕あるから。
もう…。あっ　そやそや！
橘さんって人に会うたよ　サニーで。
橘さんって誰やねん。何かな　頼みたいことあるって言うてたよ。
何かな　何かな！頼みたいこと…　分かった　よかったなあ。
もう　姉ちゃんも幸せや。ほんま　うれしい。
もう　ほんま　よかったで　おやすみ。
うん　おやすみなさい。はあ～あ…。
橘さんって誰や…　橘さん…。
橘さん？
　回想　（橘）新しく開店するのでそこにコーヒーカップを　８０個。
百合子　百合子ごめん　ごめん。
あのさ　橘さん　何て？何を頼みたい言うてた？
♪～
あっ　ご苦労さん。あっ　ごちそうさまでした。
お先に頂きました。百合子　酒臭いで。　堪忍な？
ハハハッ　大丈夫です。　おやすみなさい。おやすみ。
♪～
えっ　何？　昔のやん。　どないしたん？
また　いろいろ考えよう思てな。
え…　やってた　これは？うん…。
ハチさん？
頂きます。
♪～
なあ　橘さん　覚えてる？
橘ひろ恵さん。
うちに初めてコーヒー茶わん　８０個注文してくれてうちには　まだできひん言うて断った人。うん。
ほんで　ハチさん橘さんに言うてくれたやん。
また　いつか　よろしく頼みますいうて。言うたな。
話　持ってきてくれたで。
百合子が会うたんやて頼みたい言うてくれはったらしいわ。
何を　どれだけ？まだ分からへんけど　連絡してみる。
うちが稼ぐよ。
また大量生産の注文受けて　働くわ。何で　そんなこと。
ここ３年ハチさんが作品作ってくれてなそれが　よう売れて　川原家始まって以来ほんま豊かな暮らしさせてもろてる。
ハッ　そんなことないで。
お金の心配せんでええなんてうち　初めてや。
何　言うてんねん。ほんまやで？
子どもの頃からお金の算段せなあかんかった。
お米　どんだけ残ってるかいつまで　もつか。
それが　どうや。　今や　毎日夜食に真っ白いごはんのおむすびや。
こんな　ぜいたくなことないわあ。
いつの話　してんねん今は　真っ白いごはんなんて当たり前や。
当たり前のことちゃうよ。
ごはん食べられるいうことは当たり前のことやない。
ほんま　もう十分　楽させてもらいました。
喜美子。　フフフ…。
今年は休んで。　橘さんから話来たんはええきっかけや思う。
陶芸の神様も　きっとそうせえ言うてくれてる。
銀座の個展は　やらんでええ。　やめよ。
何か言うて？
喜美子は優しいな。
ありがとう。
（百合子）ミッちゃん。おお。　起きてたんですか？
うちな…近いうちに　ここ出ていくことになる。ええっ。
ほしたら　この部屋ミッちゃん一人で使ってええよ。
え…　どうして？
シ～ッ。
結婚すんねん。
ええ～！シ～ッ！
まだ　ないしょやで？あ…。みんなには　まだ言えん。
うちからは　よう言わん　恥ずかしい。
えっ　えっ　お相手　誰ですか？
（武志）「お父ちゃんへ。　お父ちゃんの本当の気もちが知りたいです。つぎの３つから　えらんで丸をつけなさい。１　武志にテレビを買ってやりたい。２　武志にテレビを買ってやりたい。３　武志にテレビを買ってやりたいなぁ」。
♪～