やさしい 日本語 |
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(1) | |
(2) | 文は余白を空けて区切り、分かち書きにしてください |
(3) | 1文を短くして文の構造を簡単にしてください |
(4) | 「、」や「。」を使ってください |
(5) | 漢字は量に注意し、ふりがなをふってください |
(6) | 外来語を使うときは気をつけてください |
(7) | 擬態語は、外国人には伝わりにくいので使うのを避けてください |
(8) | 動詞を名詞化したものはわかりにくいので、できるだけ動詞文にしてください |
(9) | 二重否定の表現は避けてください |
(10) | 曖昧な表現は避けてください |
(11) | ローマ字は使わないでください |
(12) | 重要なことばはそのまま使い、<>で言い替えてください |
(13) | 文末表現は統一するようにしてください |
(14) | 時間や年月日の表記はわかりやすくしてください |
(1)難しいことばを避け、簡単な語彙を使ってください |
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①語彙 語彙は旧試験2級(N2相当)までの語を使います。旧試験2級(N2相当)とは、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるぐらいの能力のことを言います。 これに加えて、生活情報を伝えるのに必要な語であれば、旧試験1級(N1相当)や、級外の語でも使用することができます。生活情報を伝えるのに必要な語は、『生活情報誌作成のための「やさしい日本語」用字用語辞典』(2016)を参考にしてください。 ②助詞 助詞によって使えるものと使えないものがあります。そのため、語彙レベルを判定1してから使用してください。また、方向を表す場合は、「へ」を用いてください。これは、「に」や「で」は用法が数種類あるのに比べ、「へ」の用法は方向を示す一種類のみだからです。
1 語彙レベルの判定には、「日本語読解システムリーディングチュウ太」のホームページを用いてください。 ⇒http://language.tiu.ac.jp/ また、「やさしい日本語」作成を支援するためのソフトウェア、「やんしす」を用いると、作成した日本語のどこを 言い替えればやさしくなるかを指摘してくれます。 「やんしす」では、旧試験2級(N2相当)以上の語彙が「難しい単語です。可能なら簡単な単語に置き換えましょう」と 判断されてしまいますが、これはカテゴリーⅠ用に開発されたでソフトであるためです。 「やんしす」は近い将来、カテゴリーⅡ用に改善されます。 「やんしす」は以下のアドレスからダウンロードすることができます。 ⇒http://www.spcom.ecei.tohoku.ac.jp/~aito/YANSIS/ |
(2)文は文節で余白を空けて区切り、分かち書きにしてください |
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文節とは、意味が不自然にならない程度に文を区切ったときの最小単位のことです。基本的には、文の途中に「ね」などのことばを入れて切ってもおかしくないところで区切ります。分かち書きとは、文節のところの間隔をあけて文章を書く方法のことです。
さらに詳しい分かち書きの方法は、以下のリンクに書いてあります。2つの基本ルールと2つの例外ルールについて解説しています。 |
(3)1文を短くして文の構造を簡単にしてください |
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① 1文の拍数は最大48拍にしてください 1文の長さは最大48拍です。1拍はひらがな1文字に相当します。例えば「余震」は「よしん」なので3拍となります。小文字の「っ」や延ばす「ー」も1拍に数え、小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」は数えません。 また、長い文章の拍数を数える際は、「やんしす」(10ページの注1を参照)を使用すると、自動で拍数を計算してくれるので、作業が楽になります。「やんしす」では1文の長さが30拍を超えると「長すぎます」と判定されてしまいますが、これはカテゴリーⅠ用に開発されたソフトのためです。「やんしす」は近い将来、カテゴリーⅡ用に改善されます。
② 1文の情報量は3つまでにしてください
③ 名詞にかかる節は2節までにしてください 名詞にかかる節は最大2節です。名詞にかかる節とは、名詞についての説明をしている部分のことを指します。
④述部にかかる節は3節までにしてください 1つの述部にかかる節の数は、最大3節です。これ以上多くなると、内容が複雑になり、外国人にとって難しい文となってしまいます。 述部とは、主語についての説明をしている部分です。述部にかかる節とは、その述部について、より詳しく明確な説明を加えている部分を指します。
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(4)「、」や「。」を使ってください |
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「やさしい日本語」のカテゴリーⅠでは、文中に「、」や「。」などの句読点は使わないことにしています。これは、外国人に「、」や「。」がただの記号ではなく、意味のあるものだと誤解されるのを防ぐためです。 しかし、カテゴリーⅡでは生活情報誌の作成を目的としているため、カテゴリーⅠよりも1文が長く、文章量も多くなってしまいます。 より分かりやすく、読みやすい文にするために、文の終わりには必ず「。」を付け、また、情報のまとまりで「、」を使うようにしてください。
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(5)漢字は量に注意し、ふりがなをふってください |
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①漢字量 漢字の数は1文に最大13字までです。しかし、1文に同じ漢字が2回出てきた場合は、1字として数えます。 また、同音異義語を書くときは、級外の漢字でもひらがなにはせず、漢字を使用した方がわかりやすい場合があります。そのときは漢字で表記してください。
②ふりがな すべての漢字にふりがなをふります。 |
(6)外来語を使うときは気をつけてください | ||
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外来語は原語と意味や発音の異なるものが多いため、使うときは注意してください。
外来語の中でも、外来語以外での表現が難しいものは使うことができます。
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(7)擬態語は、外国人には伝わりにくいので使うのを避けてください |
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例:ふわふわ、わくわく、サッと |
(8)動詞を名詞化したものはわかりにくいので、できるだけ動詞文にしてください |
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(9)二重否定の表現は避けてください |
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「通れないことはない」「使えないわけではない」などの二重否定の表現は、外国人だけでなく、日本人にとっても混乱を招きやすい表現です。
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(10)曖昧な表現は避けてください |
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日本語は、はっきりした言い方を避け、ニュアンスで伝えようとする表現が多いため、外国人にとって理解しづらい場合があります。外国人に誤解を与えないようにするために、曖昧な表現は使わないでください。 ①単数・複数の区別を明らかにしていない曖昧な時間や数字を表す表現2
②断定的な(正確な)表現を避けた、推測の表現
ただし、地震や津波など、必ず起こるとは限らないものについて書かなければならない場合もあります。その場合は、「~かもしれない」という表現を推奨しています。これは、外国人が日本語を学ぶときに、比較的早い段階で学習する表現だからです。 2 劉 麗芸・都 恩珍・宋 晶晶(2011)「外国人日本語学習者から見た場面的意味における日本語の曖昧性について」 『桜花学園大学人文学部研究紀要』13, pp.77―86 |
(11)ローマ字は使わないでください |
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ローマ字を使って日本語の文を表記することはしないでください。 文化庁が外国人に対して行った調査3では、ローマ字よりもひらがなやカタカナの方が、読める人の割合が多いことがわかっています。 ローマ字は、あくまでも駅名や地名などの固有名詞を表記するための使用にとどめてください。 3 日本語に対する在住外国人の意識に関する実態調査(文化庁)⇒ http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/zaiju_gaikokujin.html |
(12)重要なことばはそのまま使い、<>で言い替えてください |
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日本語に不慣れな外国人にとって難しいと思われることばでも、災害時によく使われることばや、生活する上で覚えておいたほうがよいことばはそのまま使ってください。そして、そのことばの後に<>を使った言い替え表現を付記してください。
言い替えの事例を集めたものが、『用字用語辞典』の78ページに載っています。参考にしてください。 |
(13)文末表現は統一するようにしてください |
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①文体は丁寧語 普通体と丁寧体の難易度は変わりませんが、日本語教育のほとんどの教科書では、丁寧語を先に習うため、丁寧語を用いた方が馴染み深く、理解しやすいです。ただし、「いらっしゃる」「申し上げます」「差し上げます」といった尊敬語、謙譲語は使わないでください。 ②可能・不可能、指示表現 可能・不可能、指示表現は以下の表現を用いてください。 ・可能は「~することが できます」 ・不可能は「~することが できません」 ・指示は「~して ください」 可能と不可能の表現は「れる」「られる」でなく、「~ができる」という表現をはじめに習うためです。また、指示の表現には、「~しましょう」という言い方もありますが、「~しましょう」には、指示以外にも勧誘の意味もあるので「~して ください」の方がわかりやすいという理由もあります。 |
(14)時間や年月日の表記はわかりやすくしてください |
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時間や年月日を表すときには、以下の表現を使用してください。 ①時間を表す助詞は記号「~」ではなく、「・・・から」に統一してください
②時間は12時間表記で書いてください
③年月日の表記にはスラッシュを使わないでください
④元号は使わないで、西暦で書いてください
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