スタイリング・デザイン賞の詳細と、ノミネート作品の総評
皆様、こんにちは。モダンリビング発行人の下田です。
12月2日にリッツ・カールトン・ホテルで開催したモダンリビング大賞。
速報は 志水編集長のブログ でお伝えしましたので、スタイリング・デザイン賞の詳細をお届けしたいと思います。
撮影/藤野充子さん
今年の受賞者は以下の通りです。
ーーーーーーーーーーーーーーー
2019年スタイリング・デザイン賞
ゴールドプライズ
ポヌールメゾン
吉岡恭子さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_15_2019
ーーーーーーーーーーーーーーー
2019年スタイリング・デザイン賞
シルバープライズ
ギャラリーのある家
荒井詩万さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_01_2019
ーーーーーーーーーーーーーーー
スタイリング・デザイン賞は今年で4回目を迎え、ハウスメーカー各社、工務店、フリーランスなど、幅広いコーディネーターの方が参加してくださるようになりました。
今年の応募作品の特徴としては、
・ラグジュアリーな物件が増えたこと。
・スタイリングをして撮影をすることが定着し、写真のクオリティが上がったこと。
・インテリアの密度が上がり、レベルアップしたこと。
・建築とのコラボレーションがはっきりと読み取れる作品が増えたこと。
・ウェブ投票が2700票以上と、昨年より35%増えたこと。
があげられると思います。
スタイリング・デザイン賞は、一般からのウェブ投票で決定していますが、それに当たってノミネート者の皆さんには「選挙活動」をお願いしています。
今、インテリア・コーディネーターに最も必要で、かつ欠けているのは「発信力」ではないでしょうか?
もちろん、個人差はありますし、お客様の対象によってはインターネットには馴染みのない年代の方が主ということもあると思います。
しかし、基本的には、どんなに良い仕事をしていても、発信しなければお客様に知って頂くことはできません。
今回の受賞者である、吉岡さん、荒井さんはお二人とも、積極的に発信してくださいました。
撮影/清嶋一雅さん
ゴールドプライズの吉岡恭子さんの作品は、投票数だけでなく、閲覧数もダントツでした。
受賞のスピーチで、吉岡さんは「昨年、この時期に、お客様と来年は絶対に受賞しようと決めました」とおっしゃっていました。
その強い決意が周囲を動かし、応援してくださる方をたくさん集めたのではないかと思います。
荒井さんは、ブログやSNSを普段から頻繁に更新。著書、講演なども活動の範囲としていらっしゃいます。
また、今回の荒井さんの作品は、建築家・西田司さんとのコラボレーションであったことも、注目に値すると思います。
欧米に比べ、日本では、建築家とインテリア・コーディネーターの協業は一般的ではありません。
これから、さらに建築とインテリアの距離が近くなってほしいと願っています。
以下、全てのノミネート作品について、私の感想をコメントをさせて頂きます。
【1】荒井詩万さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_01_2019
テレビだけでなく、庭や空を眺められるように、フレキシブルな形に置いたソファが秀逸。L字で固まりがちなリビングに、多様性を生んでいる。
【2】石本輝旭さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_02_2019
建築の要素とインテリアの要素がボーダーレスに調和している。やりすぎず、それでいて繊細なディテールが際立つ。
【3】伊藤直子さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_03_2019
リノベーションのディテールに天然素材を使うことで、以前からあるアンティークのダイニングセットが心地よく生かされている。
【4】稲田実佳さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_04_2019
西日本豪雨災害で水没してしまった家を再生させることで、暮らしも再生させようとした思いが、猫のことも配慮したインテリアの随所に現れている。
【5】江波戸浩子さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_05_2019
空間のボリュームと家具の配置、ラグジュアリー感に至るまで、建築とインテリアのバランスが取れており、緻密なプロセスを感じさせる。
【6】神崎恭子さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_06_2019
自邸のリノベーションということで、ご本人の人柄まで感じられるインテリア。ディテールから古いものを愛おしむ気持ちが伝わってくる。
【7】久保恵子さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_07_2019
空間を大きく変えられないマンション・リノベーションにおいて、カーテンをはじめとしたファブリック使いで、ラグジュアリーな雰囲気を作り出している。
【8】阪本裕香さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_08_2019
斜めの天井と天窓を生かしたダイニングと、コーナーに配した窓の多いキッチンがこの家の暮らしを体現している。アメリカに倣ったおおらかさが心地よい。
【9】清水香さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_09_2019
手抜きも迷いもない、洋館エレガンスに徹したインテリアは小気味がいいほど。住み手の思いを表現した空間であることが伝わってくる。
【10】清水由美さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_10_2019
食を中心に構成した空間だけあり、中心となるキッチンとダイニングの関係、外のキッチンと室内のつながりが特徴的。自宅レストランという将来の夢を具現化している。
【11】鈴木美和さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_11_2019
完全にリビングとつながったアウトドア空間は、天井もあり、一見外とは気づかないほど。暮らしの中でごく自然にアウトドアを使う導線をインテリアが作っている。
【12】ツジチハルさん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_12_2019
さまざまなダイニングチェアに合う要素として入れたクラシックモダンのダイニングテーブルが、全体をつなぐ役割を果たしている。
【13】マルイユ英里さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_13_2019
軽井沢の別荘ならではの広々とした室内とアウトドア空間をいっそうラグジュアリーにしているのが照明。色味を抑えたインテリアがとてもシック。
【14】柳生千恵さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_14_2019
空間からパーソナルチェアまで、デザインもディテールもオリジナルにすることで、はっきりとした個性を打ち出すことに成功している。特に図書室が魅力的。
【15】吉岡恭子さん
http://modernliving.jp/competition/2019/ic_15_2019
天井高を生かしたウィンドウトリートメントが空間をダイナミックにしてある。テレビの配し方にも暮らしを考えた細やかなディテールが感じられる。
来年はさらに多くの方が、幅広いインテリアで参加してくださることを期待しています。
ウェブ投票にご参加くださいました皆様、ありかとうございました。
下田結花(モダンリビング・パブリッシャー)