西村悠輔
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から25年を前に、朝日新聞デジタルは、ビジュアル特集「1.17 再現/阪神・淡路大震災」(https://www.asahi.com/special/hanshin-shinsai117/)を公開しました。震災を知らない世代が増えるなか、どうすれば実際に起きた直下型地震をリアルに感じてもらえるかを考え、企画しました。地震発生後に起きた出来事を時間ごとに、当時の写真や映像・音声で追いながら、「あの日」を再現します。
午前5時46分、最大震度7の激しい揺れが起こり、広範囲にわたり家屋が倒壊し、大規模火災が発生。主要道路や鉄道網が寸断され、報道各社の取材班はなかなか現場に入れず、被災地の情報をまとめる政府ですら被災状況の実態把握に時間がかかりました。当時は家庭用のパソコンやインターネットが普及し始めた時代、デジタルカメラもスマートフォンもありませんでした。
もしもあの時、スマホがあったなら、私たちはどのようにして情報発信したのか。そんなコンセプトで、当時の映像や音声などの記録を集め、起きた事象をタイムラインに落とし込み、疑似体験できるようにしました。当時はリアルタイムではつかめなかった様々な事実が、時間の経過とともに明らかになっていくような仕掛けとし、ページ全体をスマホを意識したデザインに統一。当時の写真や動画を集めたページや、被害の全体像がわかるページも作り、近い将来起こるとされる「首都直下地震」をはじめとした大災害への備えを促すことを狙いました。
特集ページの制作に際し、被災地の関係者から、二つの貴重な素材を提供いただきました。一つは神戸市の広報課員として被災直後の街を撮り続けた松崎太亮(たいすけ)さん(60)による記録映像です。8ミリビデオカメラを持っていた松崎さんは、地震の発生直後から、徒歩や自転車で須磨、長田、中央区などの被害の大きな現場を駆け回りました。このうち、市の公開許諾が得られた11点の動画ファイルを場面ごとに分け、デジタル処理をかけて編集しました。
もう一つは、ラジオ関西(AM神戸)が震災発生直後に放送した音声記録です。損壊した社屋のスタジオで「しゃべりましょうか…」の言葉から始まった放送再開の様子、火災が続く長田区からのリポート、行方不明者の安否確認の呼びかけなど4本の提供を受けました。これを当時の写真と組み合わせ、動画として編集し公開しています。
記録が残された経緯もたどり、関係者にもインタビュー。ビデオ映像を残した松崎さんに現場を歩いてもらったほか、当時のラジオパーソナリティーらに当時を振り返ってもらいました。
さらに、朝日新聞の記者やカメラマンが震災直後の3日間に撮影したフィルムを整理し、デジタルアーカイブ化。282枚のカットを選び、フォトギャラリーとして公開。刻一刻と時間を追うごとに、被害が大きくなっていく様子がわかります。
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一連のページには、震災当時の映像や音声を数多く使用しています。火災のシーン、がれきの街など被害を詳細に映した場面もあります。被災された方々の心情には十分配慮しておりますが、閲覧の際はご注意ください。(西村悠輔)
阪神・淡路大震災から25年。映像や音声で、あの日の出来事を「再現」します。[記事一覧へ]
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