素人がプログラミングに挑んでみて見えた境地

最初に挫折しやすい壁を越えるコツはどこに

もちろん、学習の初期段階でふるい落とされれば、それまでという見方もできる。プログラミングに限らず、学習に大事なのは何より目的意識だ。あるスクール関係者は「学習を続けられる人は2通り。エンジニアになりたいか、あるいは具体的に作りたいサービスがあるとかの目的を持っている人」と話す。確かに私が通うスクールでも、上記のいずれかの条件に当てはまる人ほど、上達のスピードが速い印象があった。

とはいえ、日中は仕事に追われ、時間的制約がある中、疑問と格闘し続けるには限界もある。何とか工夫の余地はないのか。私は前述のスクールに通いながら、「平日夜にマンツーマンで質問攻めにできる人」を探すため、オンラインのスキル売買サイト「タイムチケット」で、疑問の解消に根気強く付き合ってくれるエンジニアを探した。そこで出会ったある大阪在住のエンジニアは、コードの書き方から、その裏側のコンピューターの仕組みまで、スカイプで懇切丁寧に教えてくれた。

マンツーマンの授業ほど理解が進むものはない――。そう実感したが、ネックは高価格。細かい質問を聞くのに、いちいちレッスンを予約し、1時間当たり5000円近い受講料を支払わないといけない。高コストで、小遣いに制約がある私には、恒常的には利用しにくいものだった。

工夫して抜け出す道はある

ほかにいつでも質問できるサービスはないか。改めて探すと、オンラインスクールではいくつか見つかった。短期集中プログラムを提供する「TechAcademy(テックアカデミー)」もその1つ。学習方法や具体的なコードの書き方を指導してくれる「メンター」に週2回、ビデオチャットで質問でき、それ以外の時間帯もいつでもチャットで質問できることを売りにする。

運営会社キラメックスの伏田雅輝取締役は、「メンターは現役のエンジニアが副業でやっているケースが多い。オンラインで低コスト運営だからこそ、細かい質問に答える労働集約的な対応が可能」と話す。ただし、チャットでの質問は原則としてスクールのカリキュラムに沿ったものに限られるという。ゼロから体系的に学ぶにはいいが、すでに別の方法で学習を進めている場合には、質問できる範囲に限界もありそうだ。

一方、知人のプログラミング学習者に勧められたのが、マッチングサービスの「MENTA(メンタ)」だ。月額制でいつでも気軽に質問できる「メンター」とのマッチングを売りにする。「初心者の悩みは、疑問をその都度解消できないこと。そこでオンラインでエンジニアと学習者をマッチングしようと考えた」と運営会社イリテク創業者の入江慎吾氏は語る。サービス開始後1年半で、ユーザーは1万人を超えたという。「相性がいいメンターと出会えれば学習効率は上がる」と知人が教えてくれた。

ほかにも質問できる掲示板「teratail(テラテイル)」やIT勉強会を探せる「connpass」を使う手もある――。そのような情報も経験者から教わった。学習開始後2カ月を経た私が今はっきり言えるのは、初心者がコードを書く際、疑問の山が立ちふさがっても、「工夫して抜け出す道はある」ということだ。この気づきは、今週発売の『週刊東洋経済』を手に取ってくれたプログラミング入門者の方はもちろん、真っ暗なトンネルの中でもがいていた1カ月前の私に伝えたいメッセージである。

『週刊東洋経済』1月18日号(1月14日発売)の特集は「今年こそ始めるプログラミング」です。
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • 就職四季報プラスワン
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
14

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
  • スナフキン4902932ceab5
    昔はインターネットが無かったからググる事も無かった。とにかく本や知ってそうな人に聞くか、そこは飛ばして他を考えている時に分かる時もある。今の人はこれだけ情報があれば簡単だろうと思ったが違うようだ。確かに向いている人と向いていない人もいると思う。学問としてきちっと学ぶ順序があった方が習得は格段に早いと思う。プログラミングはロジカルシンキングで人生の色んな場面でのトラブルの解消には非常に役に立っている。分かりかければその学ぶスピードは速くなるし疑問の数も飛躍的に少なくなるのでこのライターの人はもう少しです。頑張ってください。
    up105
    down8
    2020/1/16 08:41
  • Masa6796138d724c
    私は独学でプログラミングを覚えて,いまではあるベンチャーの技術担当をしているけども,プログラミング学習は「最初のハードルが最も高い」。それを超えれば,少しだけ楽になりますよ。

    意味は分からなくとも,とりあえず動くコードを書けるようになること。記事にもあるように,何か目的を持っていると身につきやすいです。「これを作るのだ」と決めて,それを実現する方法を必死で調べる。言われたことをやってみるだけでは,なぜか身にはつきません。逆に言えば,目的のない人は身につかないし,身に付ける必要もない。

    あとは時間をかけて繰り返すこと。繰り返しに意味はないと思うかもしれませんが,スポーツ選手が反復練習をするように,反復は重要です。
    up80
    down8
    2020/1/16 10:18
  • 黒田家家臣cdd6d4152032
    確かに気軽に質問できる環境は必要でしょう。ただ、プログラミングは本来はサイエンス。でも日本はアートに近い。ちゃんとした学習のためのカリュキュラムが無いことが一番の問題。昔、大学で情報工学を習ったが、その時点でも古すぎて会社に入ってからは全く役に立たなかった。

    WEB系のシステムだったら、HTML、CSSとかプログラム以外にも知ってないといけないことも多い。またWEBサーバーとどのように通信しているかもわかってないと、画面遷移する仕組みも作れないでしょう。

    いいかげんこの辺りでちゃんとサイエンスとして整理しないと無駄でしょうね。アートですから師匠に弟子入りしないと使い物にならないと思います。だから気軽に質問できる場所も必要になる。少人数なら可能な所以です。
    という私もアート派です。
    up60
    down24
    2020/1/16 08:01
  • すべてのコメントを読む
トレンドウォッチAD
鉄鋼不況の常態化は必至<br>迫られる国内リストラ

日本製鉄をはじめ、JFE、神戸製鋼所の鉄鋼3社は、強烈な不況に苦しんでいます。主力の鉄鋼事業の利益が急減し、逆風は一時的とは思えません。買収を含めた海外での拡大、国内拠点のリストラなど、生き残り策の深層をリポートします。